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監察医という仕事を通してヒューマンドラマを描く『監察医 朝顔』

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掲載作品の中でも特におすすめの作品を紹介してまいります。今回は『監察医 朝顔』(原作:香川まさひこ 作画:木村直巳)をご紹介します。

観察医朝顔書影

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病死以外の異状死体を検査して、病気によるものなのか、あるいは事故死、自殺、殺人なのかを見極め、死因をあきらかにするーー《検死》を行う監察医を扱ったドラマやマンガ作品は近年人気である。

事故死や自殺に見えたご遺体が、実は殺人だったことを暴き、真犯人逮捕に結びつくーーといった筋立てが多いのだが、本作ではそうした場面は少ないほう。
しかし、逆パターンの「他殺かのように見えたが、実は事故だった」ということを証明するのだって難しさで言えば同等なわけで。《物語》的には一見地味だが、人の死にまつわる《真実》と死に至る事情を丁寧に解いていくのが、本作の魅力なのである。

主人公の山田朝顔は、大学の法医学教室に勤める監察医。現場をともにすることも多い刑事の父と二人暮らしで、阪神・淡路大震災の折に母親をクラッシュ・シンドロームで失った心の傷を抱えながら日々仕事に打ち込んでいる。

朝顔が対面するご遺体は実にさまざまだ。傷の有無や死斑など、体の表面に現れる手がかり、また臭いなど五感を駆使して、死因や状況を推理。必要があれば解剖を行う。検死の答えは、事件性の有無を示す道しるべになる。

朝顔は、ときに父に「それはおまえの仕事の範囲外だ」と怒鳴られながらも、死の瞬間に迫ろうとする。故人の性格や暮らしぶりを知ることで、「どのような状況があり得たか」を想像し、仮説を立てていく。それは、死を通して、目の前にいる相手を理解しようとする行為。犯罪が絡んでいようといまいと、故人が死の間際にどんな状況にあったかをできる限り明らかにすることが遺族にとってどれほど大きな意味を持つか……そんなことにも気づかされるのである。

たとえば、高校の野球部員がだれもいない早朝のグラウンドで死んでいるのを発見されるエピソードがある。腹をバットで突いたあとがあり、これが死因と考えられると、彼に厳しく当たっていた部の顧問に疑いの目が向けられる。しかし、朝顔はグラウンドの環境に目を配り、死んだ部員の仲間に聞き取りをする中で「その子だったら、こんな行動をとったのでは?」「それが事故につながったのでは?」という仮説を立て、解にたどりつくのだ。

犯罪事件の疑念をもって解剖したけれど、結果、想像したような「新しい事実」は見つからずに終わる回もある。だが、こんなとき「無駄働きだったか」とため息をつく外野に、朝顔は毅然として言うのだ。「無駄ではありません!」「解剖したからこそ確証が得られたのですから」と。

これぞ、いぶし銀のエピソード。あとで「やっぱりあのとき調べておけばよかった?」とモヤモヤしないために、胸に浮かんだ疑問の答えをきちんと出しておくのが真のプロフェッショナルだ。どんな仕事に携わる人もハッとするはず。
こんな一見地味なオチを読み応えのあるストーリーに仕上げて供する骨太な心意気こそ、本作ならではの持ち味と言えそうだ。

2020年11月より、テレビドラマの第2シリーズもスタートした『監察医朝顔』。ヒロインを演じるは2019年の第1シリーズ同様、上野樹里。原作マンガとは若干異なる部分もあるが、それぞれの朝顔先生の活躍ぶりを比較しつつ見るのも一興だ!

書き手:粟生こずえ

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