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不運に立ち向かう女性を描いたオムニバスストーリー『愛と憎しみ、女の一生』

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掲載作品の中でも特におすすめの作品を紹介してまいります。今回は『愛と憎しみ、女の一生』(著者:桜庭あさみ)をご紹介します。

愛と憎しみ_書影

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「人生は、何が起こるかわからない」。遠い昔から、世界中の人々が何度となくつぶやいただろうありふれたフレーズだが、これこそは「人生」を的確に言い表した言葉に違いない。できれば思わぬ幸運にめぐりあって言いいセリフだけれど。

『愛と憎しみ、女の一生』は、女性を主人公としたオムニバスストーリー。さまざまな境遇に置かれたヒロインが直面する、嵐のように厳しい試練は、もしかしたら自分にも降りかかるかもしれないものだ。

『あるがままに』(1巻収録)のヒロイン・谷川京子は膠原病という難病を患っている。膠原病は免疫が自分自身の健康な細胞を攻撃してさまざまな病気を引き起こすという厄介な病気。原因不明であり、治ることはないといわれている。
京子の場合は中学2年の時に発症して以来、症状が全身の筋肉に及ぶ。ひどい時は歩けないどころか、起き上がることもできない。

両親の支えで高校は卒業したが、入院がちのため仕事を続けることは難しい。恋人も、病気の深刻さを知ると離れていく。
しかし、京子は前向きだ。思うように体が動かなくても、体調のいい時は時間がかかっても家事に取り組む。「自分を普通の人と比べないことにしたの」と微笑みをたたえて語る強さを、自分が同じ境遇だったら持ち続けることができるだろうか? 

当初、このストーリーはいわゆる「闘病もの」だと思いこんでいたのだが……いやいや、この先にはまだ驚きの展開が控えていたのである!

思いも寄らない不運に見舞われたとき、人は「どうして私がこんなことに」と嘆くけれど、その答えはない。
努力で打開できることもあれば、自分の力ではどうにもならないこともある。努力が報われるとは限らない。
気持ちの持ちようで希望が見えることもあれば、そんな余裕すら持てない状況だってある。

だけど、本当にギリギリまで追い詰められたとき、考えるべきは「自分の人生の中で一番優先すべきこと、大切にすべきことは何か」なのだろう。

養護学校を卒業後、就職できたことがうれしくて、どんなに理不尽な仕打ちにあっても祖母の教えを守り、笑顔を絶やさず耐え続けたヒロインの最後の選択。
穏やかな笑みをたたえたベテラン臨床心理カウンセラーが、心の奥底に隠し続けた、ある復讐心。
幼い頃、親に捨てられた経験から生まれる結婚生活への不安。
バツイチ同士で再婚し、相手の連れ子が懐いてくれないことをきっかけに始まる虐待の連鎖。

多彩な社会問題をはらんだストーリーの中には、ハッピーエンドに終わらないものもある。
しかし、どのエピソードにおいても主人公たちが自分の窮状を他人に話すことによって、多少なりとも救われるのが興味深い。現実でもすぐに改善することができない問題は多いけれど、だれかに本当の気持ちを話すことで心は癒されるのではないだろうか。

もしも、自分の身にこんなことが起こったら。自分の身近にこんなケースが生じたら。そんなことを考えながら、つい夜更けまで読み続けてしまう連作集である。

書き手:粟生こずえ


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