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見えないものを信じてみること

私は見えないものを信じたいです。
お化けとか宇宙人とかね、見たことないけどいるんだろうなと思っています。そもそも「見えないもの」というのは視覚で物理的に見えるか見えないかではなく、その存在を自分が認めるかどうか、だと思います。
例え視覚で見えるものだとしても、認識しなければ存在しない、なんて誰かが言ってましたよね。

見えないものの代表で人生に関わることの一番は私にとっては「感情」です。
好き、嫌い、四文字に集約される喜怒哀楽、今あなたと同じ思いだったのか、ライブに来てくれた人は楽しんでくれたのかどうか、感情はいつも見えない。いくら言葉を声で発してくれていたとしても、それが本当なのかはいつも分からない。

思えば「音」も、視覚的には見えません。しかし聴覚で聴こえるから音がそこに存在すると信じることが出来る。
更に、その音の中にもたくさんの情報が詰まっていると思っています。音楽をやっていても、単なる1曲という枠ではない、それがライブともなると凄まじく多くの情報を発信したり受信しているのではないかと思います。

そしてようやく本題です。長いね。笑
「Mika Type は」オリジナル楽曲集の「イツカノワタシ」、特に私の弾き語りレコーディングはエンジニア泣かせだったと思います。ライブがメインの活動なのでライブと同じ聴こえ方を作ってもらいたいのですが、レコーディングエンジニアさんにとってそれは別物であり困りモノ以外の何者でもなかった。
音というのは空気を通して聴こえてきます。レコーディング時はヘッドフォンをしておりますので、ライブと同じ環境はなかなか作れないのです。そんな中での試行錯誤は初日にして約6時間も続きました。

エンジニアさんから出た一つの提案は「アナログテープで録ってみますか?」でした。今時アナログテープがあること自体すごいことですが、試してみたら一番ライブに近い音になりました!奥行きが出たという印象。
そしてこれは専門的になりますが、声の位相を逆にしたら心地よかったという・・エンジニア泣かせ過ぎ。笑

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どうやらアナログ録音というのは人間が聴こえない音まで収録されているそうです。デジタルは人間が聴こえる部分のみで聴こえない音はカットして録音しているそうで。

その説明を受けた時に私の中で合点がいきました。
実際に聴こえないまでもやはりそこには音が流れていて、それが奥行きや深さとしてこちらに届いている。
それは私が、見えないものを信じたいという理由に通じています。物事を額面通りに受け取るのではなく、人間の感情にも言葉にも奥行きや行間があり、全ての事象には一言では語り尽くせないあらゆる何かが詰まっている、それを感じていたいのです。

このような経験もあり「Mika Type は」というアルバムは、プロであり表現者である姿勢を実現した作品だと自負することが出来ました。日本のみならず各国のアーティストから楽曲を提供してもらえた「ウタウワタシは」では、それへの金銭的な対価のやり取りだけではない感情をもらいました。そこには一つ一つ言葉に変換し切れない思いがあります。

ライブで歌うということ、表現者が自身のツールを通して作品を発表することそのものには、生き方や信念や日常その他もろもろたくさんの事が必ず情報として加わっている。
これからも私自身それをたくさんの人や出来事や自然の中から受け取りながら歌い続けてゆこうと、アルバム制作後に強く思いました。

歌うことが、生きること。
次は何を信じたい、と思うのかな。
うふふふふ。

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