総合評価方式で、1.5%以上の賃上げをコミットさせるって本当?
国交省は2022年4月以降の直轄工事や建コン業務発注で、総合評価落札方式の場合に、従業員の賃上げを約束した企業に7%の加点を与えると発表しました。
また、賃上げ未達の場合は、1年間の減点という重めのペナルティも。
来年度の賃上げをコミット
賃上げの目安は、中小企業で前年度比1.5%、大企業は3%とされています。
プロポーザルならまだしも、価格競争の側面が大きい入札で賃上げ要請は酷ではないでしょうか。。。
これまでも、「くるみん取得したら加点」など、ワークライフバランスを推進するために評価点でコントロールするケースはありますが、賃上げ要請はかなり直接的です。
政府の「賃上げ」への本気度を感じるとともに、公共調達の競争をゆがめないか心配が残ります。
「除算方式」の問題点
国の発注案件の場合、価格評価点の算定方法は「除算方式」を採用しており、技術評価点を7%くらいかさ上げしたとしても入札価格でそれ以上の低価格を示すことができれば、簡単に逆転できてしまいます。
想定しうる懸念事項として、ざっと上げてみると以下の通り。
資金力の豊富な大企業が有利になり、地方の中小企業の淘汰が進む?
過度な価格競争の誘発により、賃金面以外での就労者へのしわ寄せ(労働時間長時間化、残業代未払いなど?)
総合評価における価格評価方法を見直したり(除算方式→加算方式へ)、最低制限価格を設けるなど、何らかの工夫が必要ではないかと思います。
最後に
財務省は、まずは運用してみて問題があればチューニングすればよい、という考えなのだと思いますが、実際に業者と対面している国交省は、この制度についてどのように思っているのでしょうか。
即時採用するのか、はたまた様子見するのか、あるいはプロポーザル方式に移行していくのか。。。
今後も、この動きをしっかりとウォッチしていきます。
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