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総合評価方式で、1.5%以上の賃上げをコミットさせるって本当?
国交省は2022年4月以降の直轄工事や建コン業務発注で、総合評価落札方式の場合に、従業員の賃上げを約束した企業に7%の加点を与えると発表しました。
また、賃上げ未達の場合は、1年間の減点という重めのペナルティも。
来年度の賃上げをコミット
賃上げの目安は、中小企業で前年度比1.5%、大企業は3%とされています。
プロポーザルならまだしも、価格競争の側面が大きい入札で賃上げ要請は酷ではないでしょうか。。。
岸田政権は21年11月19日に閣議決定した経済対策などで、分配を重視する考えから企業の賃上げの促進を掲げた。その促進策の1つとして、公共工事を含む政府調達の対象企業の選定で、賃上げをする企業を優先する方針を盛り込んでいた。
財務省はこの方針を踏まえ、賞与などを含む年間給与を所定の割合以上引き上げる計画を表明した企業を対象に、22年4月以降に契約する案件から総合評価入札で加点するよう各省庁に通知した。法人税法に基づき資本金が1億円以下の中小企業に当たる場合は総額で前年度比(前年比)1.5%、1億円を超える大企業の場合は1人当たりの平均で同3%を上げ幅の基準としている。
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出典:日経クロステック https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00142/01183/?SS=imgview&FD=-108058219
これまでも、「くるみん取得したら加点」など、ワークライフバランスを推進するために評価点でコントロールするケースはありますが、賃上げ要請はかなり直接的です。
政府の「賃上げ」への本気度を感じるとともに、公共調達の競争をゆがめないか心配が残ります。
「除算方式」の問題点
国の発注案件の場合、価格評価点の算定方法は「除算方式」を採用しており、技術評価点を7%くらいかさ上げしたとしても入札価格でそれ以上の低価格を示すことができれば、簡単に逆転できてしまいます。
想定しうる懸念事項として、ざっと上げてみると以下の通り。
資金力の豊富な大企業が有利になり、地方の中小企業の淘汰が進む?
過度な価格競争の誘発により、賃金面以外での就労者へのしわ寄せ(労働時間長時間化、残業代未払いなど?)
総合評価における価格評価方法を見直したり(除算方式→加算方式へ)、最低制限価格を設けるなど、何らかの工夫が必要ではないかと思います。
③ 総合評価の方法
技術提案の評価と価格の両者を総合的に評価した評価値を指標として、評価値の大 きい順に競争参加者に順位を付ける。 評価値の算出方法には、除算方式、加算方式等がある。
(なお、国においては、財務 大臣との包括協議で除算方式が認められているが、加算方式等その他の方式による場 合には、別途個別協議が必要となる。)
a. 除算方式
ア.評価値の算出方法
評価値=技術評価点/入札価格=(標準点+加算点)/入札価格
b. 加算方式
ア.評価値の算出方法
評価値=価格評価点+技術評価点
イ.価格評価点の算出方法の例
例1 100×(1+α-入札価格/予定価格)
α:例えば平均落札率
例2 100×最低価格/入札価格
最後に
財務省は、まずは運用してみて問題があればチューニングすればよい、という考えなのだと思いますが、実際に業者と対面している国交省は、この制度についてどのように思っているのでしょうか。
即時採用するのか、はたまた様子見するのか、あるいはプロポーザル方式に移行していくのか。。。
今後も、この動きをしっかりとウォッチしていきます。
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