血の味を知っている
皮膚の中の
さらに血管の中で生きている血の
なぜだか味をよく知っている
逃げも隠れも出来ない
とりつくろえないあの味を
わたしなんて、と、ふてくされて寝ている時も
たらふくお酒を飲んでほとんど記憶が無い夜も
お腹に新しい命を宿している時だって
スーパーでお豆腐を選んでいる時だって
そんなことはお構いなしに
精密で精巧な体の中を絶えず巡っている
いつでもまっすぐ自分の仕事をしている血液の
その味が愛しく思えた
好きな人の傷を舐めた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?