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why you gotta kick me when i'm down? - Bring Me The Horizon【和訳】

"僕をボロボロになるまで傷つけるものは
逃げたって走ったって、地の果てまで追っかけてくるんだよ"


Iとyouだけを綴り続けるOliの歌詞と、
途中で子供の声で入る(They always wanna kick you when you're down)の関係から、
「何か」が子供の声でOliに「あいつらは君をボロボロにするのが趣味なんだよ」と囁いているように聴こえます。

ダウナーなトラップであり、もはやラッパーの世界に入ってしまった楽曲です。凄いなマジで。

そしてこの歌詞、尖りすぎててほんとにヤバいです。
そこまで言っちゃっていいのか、っていう。


Title:why you gotta kick me when i'm down? (2019)
Band:Bring Me The Horizon (2004-present)
Album:6th Album "amo"
Vocal:Oli Sykes & Jordan Fish
Lyrics:Oli Sykes, Matt Nicholls, Matt Kean, Lee Malia & Jordan Fish


I see you
You on the edge of your seat
Ain't you got some place to be?
Was hoping the suspense would kill you
シートの端っこに未だ座る君を見た
他の場所に移らないのか?
突然の出来事が君を葬ってくれたらな
そんなことを思ってる

Tell me, how would you begin?
Watching and waiting to sink your teeth in
Come on and give me your expert opinion
どうやったら君は始まるんだ?
君が何かに夢中になれる時を待ってるんだ
なあ、聞かせてくれよ、専門家としての意見とやらを

Ah, fuck it
ああ、どうしてなんだ

I settle down in a dump
Heard a crowd screaming "Jump"
So I came to the window
ゴミ捨て場みたいな場所に腰を下ろしたら
「飛べ」なんて窮屈な叫びが聴こえてさ
だから窓際に飛びついたよ

(They always wanna kick you when you're down)
「奴らは君がくたばりそうな時に
 君を蹴飛ばすのが好きなのさ」

I said, "What the fuck have I done?"
They said, "We just want your blood,
You know we like you better in limbo"
「どうしてこんなことをしたんだ?」
僕がそう言うと、奴らは言うんだ
「君の血が欲しいだけなんだ。
君も分かってるんじゃないか?
僕らは足もおぼつかないでフラフラの君が見たいんだよ」

(They always wanna kick you when you're down)
「奴らは君がくたばりそうな時に
 追い討ちみたいに蹴飛ばすのが好きなのさ」

So come on and take a shot, you just can't get enough
Don't let the fact that you know nothing stop you talking now
'Cause when all is said and done, my name's still on your tongue
やれよ、試してみなよ
君らはどれだけやっても満足なんてしないんだ
君らが何にも知らない癖にべらべら喋っているのを放っておきたいのさ
だってほら、何を言っても、何をやっても、
君らの口からは僕の名前ばかりが飛び出る

But tell me, why you gotta kick me when I'm down?
教えてよ、僕が辛い時ばかり僕を蹴りつけるのは何?

You better pray I don't get up this time around
僕が二度と起き上がらないよう、精々祈りなよ

And why you tryna put me in the ground?
そんなに僕を跪かせたいのはどうして?

Don't you know I'm a seed?
I won't stop at the roof
Go ahead, bury me
This is how I grow, it's how I thrive
僕が原初の種だってことも知らないんだな
僕は屋根の上で止まったりなんかしない
やれよ、やってみろよ
これが偉大になる方法だ
これが富を得る方法だ

So why you gotta kick me when I'm down?
(Why you gotta kick me when I'm down?)
なあ、それ、そんなに楽しいか?

Yeah, I know it's all in good fun, but
Don't say it's coming from love now
I see those arms in akimbo
さぞかし楽しいんだろうけどさ
それが愛情なんだって言うことだけはやめろよ
胸を張って威張ってるのが見える

(They always wanna kick you when you're down)
「奴らは君がくたばりそうな時に
 追い討ちみたいに蹴飛ばすのが好きなのさ」

And don't set that phaser to stun
'Cause what doesn't kill me, well, it better run like hell
Yeah, you better run like hell
武器なんて構えてる場合じゃない
僕をボロボロになるまで傷つけるものは
逃げたって走ったって、地の果てまで追っかけてくるんだよ
そうだよ、ちょうど君みたいに

So come on and take a shot, you just can't get enough
Don't let the fact that you know nothing stop you talking now
'Cause when all is said and done, my name's still on your tongue
ほら、試してみなよ
君はどんな状況でも満足なんてしないんだ
君が何にも知らない癖にべらべら喋っているのを放っておきたいのさ
だってほら、何を言っても、何をやっても、
君は僕の名前を挙げずに喋れないんだよね
それが面白くてさ

So tell me, why you gotta kick me when I'm down?
教えてよ、僕が辛い時ばかり僕を蹴りつけるのは何?

You better pray I don't get up this time around
僕が二度と起き上がらないよう、精々祈りなよ

And why you tryna put me in the ground?
そんなに僕を跪かせたいのはどうして?

Don't you know I'm a seed?
I won't stop at the roof
Go ahead, bury me
This is how I grow, it's how I thrive
僕が原初の種だってことも知らないんだな
僕は屋根の上で止まったりなんかしない
やれよ、やってみろよ
これが偉大になる方法だ
これが富を得る方法だ

Remember this line that you crossed?
Look back and stare at the dot
Know there's no turning back now
いい加減気付いてくれ
越えちゃいけない線を越えたことを
振り返ってちゃんと見つめろ
そして身を以って知れ
もう戻れないところまで来てしまったことを

Now that you've opened the gates
Corrupted the memory, error, failsafe
(Commence the countdown)
君は扉を開いた
記憶が混濁して、バグっていく
カウントダウンが始まる

(They always wanna kick you when you're down)
「奴らは君がくたばりそうな時に
 追い討ちみたいに蹴飛ばすのが好きなのさ」

Remember this line that you crossed?
Look back and stare at the dot
Know there's no way to fix us, no
越えちゃいけない線を越えたんだよ、分かってるよな
振り返ってちゃんと見つめろ
そして身を以って知れ
僕らを救う術なんて、もうないってことを

Oh, God, what the fuck have you done?
I loved you like daughters, I loved you like sons
なあ、神様
どうしてこんなことをするんだ?
僕はあなたを、愛娘のように、愛息のように……愛したっていうのに

So tell me, yeah tell me, why you gotta kick me when I'm down?
だからさ、教えてくれよ、教えろよ
その理由を
あなたは僕が辛い時ばかり僕を蹴落とす

You better pray I don't get up this time around
精々祈ってろ
今度こそ僕が起き上がらないことを

And why you tryna to put me in the ground?
そんなに僕を跪かせたいんだな

Don't you know I'm a seed?
I won't stop at the roof
Go ahead, bury me
This is how I grow, this is how I thrive
僕は先駆者だ
立ち止まってる暇なんかないんだよ
やるならやれよ、やってみろよ
これが偉大になる方法だ
これが富を得る方法だ

Why you gotta kick me when I'm down?
なあ、それ、そんなに楽しいか?

Tell me, why you gotta kick me when I'm down?
(This is how I grow, this is how I thrive)
ざまあみろ
あんたが僕を蹴り付けることで
僕は驚くほど前に進めたんだ

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"loved"が要所要所に出てくる歌詞なんですが、その意味は酷く否定的です。
(i)Don't say it's coming from love now 「それが愛情だって言うのはやめろ」
(ii)I loved you like daughters, I loved you like sons
「僕はあなたを、娘のように、息子のように愛したんだぞ」

間違いなく"amo"のコンセプトを外していない楽曲ですが、歌っているのは憎しみです。
それも、

(i) Heard a crowd screaming "Jump"
 「"跳べ"っていう窮屈な叫びが聴こえた」
(ii)Don't you know I'm a seed?
 「可哀想だな、僕が先駆者だってことを知らないのは」
(iii)This is how I grow, this is how I thrive
 「これが僕が豊かになるための方法だ」

とまあ……これって完全にアレですよね。誤解を恐れず言えば、
メタルのシーンに散々否定されたことへの報復、というか。

ブリング・ミー・ザ・ホライズン、NME独占超ロング・インタヴュー | NME Japan
シェフィールド出身のブリング・ミー・ザ・ホライズンはかつて、ロック・ファンから愛と憎しみの双方を向けられるような生意気なバ
nme-jp.com
“Why You Gotta Kick Me When I’m Down”には、自身のプライベートにケチを付けるファンへのメッセージが込められている。
「血や(デヴィル・)ホーン、スクリームから逃れたいんだ。『ロック』になる必要なんかないんだからさ。忠実で、正真正銘のロックをやりたければ、狭く制限されたルールに従わなければいけないわけでね。そんなの、どうやって生き延びろって言うのさ?」
まあ、えっと、この曲は完璧に、「ロックシーンやメタルシーン、その演者とファンに向けた」反撃であり批判です。
散々攻撃され、散々言われもないことを言われ、散々音楽と人間性を否定され続けてきた彼らが、とうとう言い放った。

否定することの何が楽しいのか、停滞することの何が面白いのか、それで何が救われるのか、何が生まれるのか、僕らにはちっとも分からない、理解ができない。
そういう風に完全に突き放した曲ですね。

「不本意だよ。あいつらのパロディーになりたくないがために、シーンから出て行かないといけないなんてさ」
正直ここまで言ってしまうと悲喜交々賛否両論だと思うんですよね。
けどやっぱりOliは、自身の中の経験しか歌えないことをこのアルバムで悟った。
in the darkは元妻に対する憎しみだし、とにかくもう、抽象化せずに具体的に歌ってる。比喩や詩的表現を使うことはあっても核心はしっかり説明してる。
結局自分の中にあることしか人には伝えられない。だから包み隠さず歌っている。
それは実際、このアルバムに対する様々なアーティストからの評価や数字の結果として良いほうに受け取られているんですよね。

ここまで痛みを受け続けて、ここまで赤裸々に痛みを告白して、それでもなお人々の支持の集めてるんだからほんとに凄いよな。むしろそうすることで初めて大きな共感を呼べたのかもしれない。
amoはほんとに凄いアルバムですね。

ところで今回、下記のmemoコーナーが結構面白いと思います。勝手に思ってます。よければ見ていってください。

*memo*

※set that phaser to stun...... 全く日本語の文献が見当たらなかったんですが、どうもSFドラマ“Star Trek”に出てくる光線銃の名前がphaserらしくて、これに関して劇中で何かをする時、このセリフが発されるそうです。
「どうして任務が終わるときに手を挙げてこのセリフを言うんですか?」という質問で大激論が繰り広げられてました。
https://scifi.stackexchange.com/questions/64893/why-do-they-always-say-set-phasers-to-stun-when-arming-up-for-an-away-mission/64935
最も評価の高い回答では「武器が暴発しないようしっかり確認しておけよ」との意味だったんですが、
歌詞の文脈から「武器のチェックなんてしてる場合じゃねえぞ」という意味で受け取りました。
いやしかし、in the darkといい何かしら作品からの引用が多いですね。

※what doesn't kill me... これはDrownのイントロに出てくる"What doesn't kill you... "の変形なんでしょうか。僕はそう思ってしまいます。あの歌詞大好きだから。
http://oyogetaiyakukun.blogspot.com/2015/01/drown-bring-me-horizon.html
僕が和訳を始めたきっかけとも言えるブログなんですが、この訳はほんとに美しいと思います。
「人は傷つくと、強くなるんじゃなくて死にたくなるものなんだ」
この曲に関しては、
「僕をボロボロになるまで傷つけるものは、地の果てまで追っかけてくる」
そういう風に訳しました。
同情みたいで悟りのようなDrownの歌詞とは打って変わって、明確に傷つけてくる対象について歌ってます。
5thはシングルカットできるような強い曲を並べたアルバムですが、6thはメッセージが中心にあるコンセプトアルバムです。自分のことを見つめ、自分に起こったことと向き合い、それを形にした結果、抽象だった5thの楽曲が、6thの具体的な内容へと昇華されたのかもしれません。

※stare at the dot... 「点を凝視する」です。なんか1点を凝視したら周りが動いて見えるだまし絵とかありますよね。この文を画像で検索するとそれとはちょっと違う感じの白黒反転画像が大量に出てきます。「30秒見つめてから~をしてくれ」っていうのがたくさんあります。怖いわ。怖いから。
ちなみになんですが、amoの収録曲のLyric Video、どの曲も間奏で画面の中央に「・」が入ってます。(この記事のサムネイル)
これ何かの暗示なんじゃないかな……というか、この歌詞に繋がるのかな。「暗闇の中で紡ぎ出される言葉の合間に、ただ一つ浮かぶ小さな点を見つめてみろ。そうして、もうこの言葉の場所には戻れないことを思い出せ」……なんて言ってる風に聞こえますね。なんだかそういう風に捉えると、シーンへの批判に徹しているこの曲の中で唯一「これから先へ進む自分達への鼓舞」を歌っているようにも見えます。


ご覧いただきありがとうございます。
メッセージが過去になく具体性を伴うamoですが、このブログでの全曲翻訳もとうとう佳境です。よければ最後までお付き合いください。(2019/02/01全曲訳終了しました)


↓↓↓amo全曲訳しました。興味があれば是非ご覧ください↓↓↓