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【ほぼ日更新】ヴァイオレットエヴァーガーデン 9話みた【ネタバレ注意】

 ほぼ日更新33日目。漫画やアニメを30分で視聴する時間を含め、なるべく1hに収まるよう、それに関する絵と記事を書く日課。

※作品に関するネタバレ含みます

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 ヴァイオレットエヴァーガーデンのアニメ9話。


 どれだけ重い罪を背負っていたとしても、誰にも見えない大きな傷を抱えていたとしても、結局我々はそれでもやっていくしかないし、それをやった過去もそれによって起きた影響も消えはしない。ただ茫漠と続く時間の中で引き伸ばされて、薄く広がった痛みが、徐々に体温を奪ってずうっと忘れさせてくれない。

 人は生きる時間の中で火傷を負い、その上で今もなおその傷が広がり続けているということで、それは程度や方向の違いはあれど、誰にだってあるものだとホッジンズは言う。それを包み隠さず伝えるホッジンズにカトレアは激怒するけれど、いつもそんな彼女に気圧されるホッジンズが、ここでは決して引き下がらなかった。
  「忘れたくても忘れられない、それを背負って生きるしかない」

 それならどうやってヴァイオレットは救われるのか、彼女はギルベルトも何もかも失ってしまった、と問い詰めるカトレアだけど、ここで以前ほぼ日更新で読破した東京喰種の台詞を思い出した(ネタバレしないように言います)。
 自分の主義主張に心血を注いだキャラクターがその全てを失った果てで言った、「虚無でさえも、じっと見つめ続ければ何かが生まれる」。自分のしてきたことの非合理、無為、無意味さ、無価値さ、虚無さを刻々と実感していく中でも、意味がないと切り捨てたことでさえも、人は意味を見出せる時が来る。

 ホッジンズがまるで祈りのように、しかし力強く言うのは、「彼女は失ってなんかいない」という言葉。それが、この9話のラストシーンに繋がる。
 アイリスとエリカから受け取った生まれて初めての手紙。ヴァイオレットの依頼を待つ人々。これまで彼女が仕事で縁を繋いできた人々。それらをきっかけに、閉じこもっていたヴァイオレットはホッジンズのいる社長室へ駆け出す。

 9話、ここがめちゃくちゃ好きなんだよな。何よりこのシーンが好き。ホッジンズが今までで一番輝いてた。

 「社長の仰る通り、私はたくさんの火傷をしていました。いいのでしょうか。私は、自動手記人形でいていいのでしょうか。…生きていていいのでしょうか」
 業火は周囲を燃やしながら広がっていき、火傷は誠実に生きようとする今の時間さえも永劫苦しめ続ける。ヴァイオレットが自動手記人形として誠実であればあるほど、それを通じて人となりを獲得していくほど、その傷を自覚していき、けして消えないことも、忘れられないことも、何をもってしても上書きなんてできないことを知る。どれだけ真っ当に生きても、ギルベルトは帰ってこない。命令は二度と聞けない。命令で生きてきた自分が、血に染めたその手で自ら歩む生き方をしていいか。そんなもの、答えが出るはずもない。傷は消えない。

 形は違えど、人を殺め今なお生きるホッジンズは、ヴァイオレットと同じく苦しみと涙を浮かべて、絶望と希望を綯い交ぜにしてこう答える。

 「してきたことは消せない」
  「でも。君が自動手記人形としてやってきたことも。消えないんだよ」

 誰もかも傷つけてきた過去を背負って、自分の首に手をかけてなお死に損なって、延々と引き伸ばされて続いていく今。傷は消えないし、虚無は去来するけれど、そこから分かることもある。してしまったことは消せない。けれど同様に、彼女が繋げた縁も手紙も消えない。この結論が希望でなくて何だというのか。

 この作品、話の最後は人と人が馬鹿にせず慰めもせず正対して向き合うように描かれていて、やはり誠実な作品だという印象を強く受ける。苦しみを一時のものと揶揄せず、時間が解決するなどと慰めもせず、ただ真摯にできることを重ねていくキャラクターが魅力的だと思う。
 なんかこう、ここ数話は「真面目に働くのっていいなあ」とかいう明後日な感想が出てくる。非日常を演出する作品の中で、誠実であることを表現するのってとても難しいんじゃないかと思うんだけど、そこが伝わってくるあたり、丁寧な物語だなあと酷く感心する。面白いなあ。


■絵の話

 昨日言った通り、昨日の模写の続きをやって完成させました。


画像1

 ヴァイオレット模写 昨日に加えて1hなので、9h…

画像3

 ↑はきのうの。目の位置調整、首の太さ調整(マジで分からんな)、照り返し緑追加、ぼかし追加、ソフトライトで均し、トーンカーブ補正、など

画像2

 ぶっちゃけ似せれたと思ってるけど、似てるからこそ違うところがはっきりするし、その細部があってこそ隙のない絵になってるなと痛感する気持ち。顔のバランスの些細な機微、効果によって演出される柔らかさや光の色の統一感が画面の構成としてのレベルの違いを露わにしているような…
 バランス良く線画を描くだけでも本当に難しい。大変だったけど色々試せたので良い模写でした。

 ようはまだ下手です。頑張ります


 それではまた明日