【ほぼ日更新/ネタバレ御免】チェンソーマン6巻読んだ

 ほぼ日更新6日目。漫画を30分で読む時間を含め、なるべく1hに収まるよう、それに関する絵と記事を書く日課。

※作品に関するネタバレ注意です。

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 昨日に引き続きチェンソーマンの6巻。最新刊ですね。

 6巻の最後で出るイソップ寓話のネズミの話、元ネタの話の解釈として特殊な切り口をしていてかなり面白い。特にこの場合、マキマさんが他のキャラクターと異なることを端的に表している。
 そう思う根拠は3点。
 1点目。他のキャラクターと立ち位置が違う。
 2点目。「田舎を選ぶことで安心している相手を駆除する」ことに安心を覚えている。
 3点目。ネズミの駆除の仕方として「犬にかみ殺してもらう」という他人の使役を含んでいる。

 1点目、レゼ、天使、デンジくんの3人は「田舎」「田舎」「都会」という回答をして、マキマさんは「田舎」という回答をした。ただ、前者3人は「自分がネズミなら」という話をしていて、マキマさんは「自分がネズミを駆除する人間なら」という視点で話をしている。これまでの3人と別の視点。マキマさんは危険と見返りをトレードオフして選択する側ではなく、選択する側を自分の利益の拡大のために駆除する側に立っている。ここで面白いのは「3人が全員悪魔である」こと。これが2点目の話の後半に繋がります。

 また2点目、「田舎を選ぶことで安心している相手を駆除する」ことに安心を覚えている。田舎のネズミと自負する「危険が少ないから安心して作物を食べられるね」と思っている皆さんを、「何うちの作物取ってんねん」とぶっ殺すことが好きだと言っている。これは、単純に「安心しきってるならず者を駆除するのが好き」という趣味かもしれないし、「田舎でじわじわと作物というリソースを奪う奴らの方が都会のネズミよりも脅威」と実利的に捉えているのかもしれないし、また逆説的に「都会が好きと答えるような危険を省みないやつは嫌い」ということかもしれない。
 個人的には1つ目の「安心しきってる奴を殺すのが好き」も捨てがたい解釈だけど、3つ目の「危険を省みない奴が嫌い」がかなりこの作品とリンクする気がする。なぜなら都会のネズミは悪魔に対する対抗馬をそのまま表す言葉でもあるから。危険よりも報酬を求める、つまり恐怖よりも大きい動機がある人物というのは、まさしく悪魔にとって脅威そのもの。デンジくんが「美味いもん食えるなら都会がいい」と迷いなく答えるのは、悪魔に恐れられる彼のキャラクターを端的に表す言葉である。そして、「田舎のネズミが(駆除すると安心するから)好き」と答えるマキマさんは、この3つ目の解釈だけで捉えるなら、完全に悪魔サイドの人物であるといえる。自分にとってより駆除しやすい、より恐怖を想起させやすい「危険を忌避する存在=田舎のネズミ」を好んでいるのは、彼女が悪魔かそれに準ずる存在であることを表している。
 個人的には、行動原理が悪魔と同じ「恐怖させることで自分の存在を保つ」だけど、より上位の存在で悪魔を恐怖させることができるのがマキマさんの正体なのかなと思います。当てこすりだけど。

 長くなったけど3点目。前者の3人全員の報酬の得方が人任せか自分でやるかはこの漫画の描写だけでは分からないけど、少なくとも「犬を使う」という手段を明言しているのはマキマさん一人。そして犬を使うことは彼女の行動とピッタリ合っている。レゼの駆除には天使の悪魔をパシり、銃の悪魔の駆除には4課やデンジくんをパシり、部下を侍らせている。理想的な上司と言うべくかもしれないけれど、「ネズミを犬にかみ殺してもらう」という発言は自分で手を下すことよりも駒を動かすことが好きだと言っているようなもの。そして大事なのは、ただの仕事ならともかく、駆除対象であるネズミも相当に強くて、死地に近い火事場へ部下を送っても微笑んでいるような彼女はやっぱりどこかネジがおかしい。

 自分も5巻を読んでいるときは「自分ならどっちのネズミかなあ」とのんきに考えていたものだけど、世の中は田舎だろうが都会だろうがネズミを屠る側がやっぱりいるよなあと思う。非常に思う。お前がぬくぬく安心と思っている田舎は本当にそうか?
 安心・安定は田舎と都会では確率が異なるだけであって、遭遇する確率がないわけじゃない。だったら危険と恐怖の渦中で頬が緩んでいるようなネジの緩み方をしている奴の方が、屠る側にとっては難しい相手なんだろうな。とか、田舎に隠居しようがマキマさんみたいなやつにぶっ殺される未来はあるよな、とか思ったりした。


画像1

 マキマさん。25+20(調整)minくらい。この人とにかくブレないので人気なのも頷ける。



それではまた明日