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RESISTANCE - FELT【和訳】

絶望に打ちひしがれることはきっと簡単なんだ
 だとしても……

東方アレンジサークルFELTの21st Album "Fluster Escape"の収録曲です。
シンセをふんだんに使いながらも、プログレッシブな展開やメロウなエレクトーン、洋楽ロックなギターリフが独特な空間を演出する壮大な曲です。

歌詞はとにかく曲名の通り、「私たちは抵抗者だ」と高らかに歌っています。恐怖、暗闇、雑音など、行く手を阻む者は数多くあるけれど、それに負けて蹲ってる暇はないぜ、という。

たぶんですが、特定の誰かに対して抵抗しているのではなく、
恐れや雑念という内から来る障害を打ち破るため鼓舞する曲だと思います。

※動画はクロスフェードです。0:45から当楽曲です。
でも一曲目から最高なので是非通しで聴いてほしい。聴いてください。


[Verse]
What's this terror that I can't imagine?
A world that seems to spin up on its head.
Wake up! The fight is drawing nearer.

想像できないほど恐ろしいことがあって
世界はそいつの上でぐるぐる回っている
目を覚ますんだ
戦いはすぐ傍で始まっている

And with this pounding that just seems to resonate there's
A sense of desperation swirling deep within me.
The path in front seems so far away.

私の中で渦巻くヤケクソな気持ちは
体の中で鼓動して反響する
真っ直ぐ進めば辿り着く行き先が
酷く遠くに見えてくる

[Bridge]
Never let the fear in, concealing what should be said
When you've been surrounded by some kind of lonesome dread.
いくつもの悲しい恐怖に押し潰されそうな時は
どうか言いたいことを隠してしまわないで
恐れを己の内に隠してしまわないで

Each time they try to goad me,
I remember: This takes a different type of fighting.
This is a resistance!

ヤツらが私を刺激する度、思い出すんだ
これはいつもとは違う戦いだって
何かに抗う戦いなんだって

[Chorus]
Don't they know that fear gives way to inner strength
As hard as they may try, can't define what's "me".
Grab hold of who you are.
Don't lose your way and set it free!

ヤツらは知らない
怖いって感情が、内なる強さを作ることを
だからどれほど懸命に考えたって
私がどういう仕組みで動いてるのか、分かりもしないだろう
君も私と同じだって、私はちゃんと分かってるよ
さあ、己が道を往け、解き放て!

Even when the timer's slowly counting down
If you already know or still need to
Search a little harder for the strength to fight the panic.
Let it out!
カウントダウンはゆっくりと進むよ
知っていたって針は止まりはしないし
まだ武器を探したくても待ってはくれない
さあ、思いの丈を打ち明けて!

[Verse]
The path laid in front is ever-winding.
The noise that's echoing drowns out the voice inside.
It's easy to ignore it.

曲がりくねった道が立ち塞がり
響く雑音が内なる声をかき消していく
けれど案外、雑音を無視するのは簡単さ

Imagination sometimes gets the best of me and
Yet as it's taking charge the seeds of hope are growing.
The path in front's not so far away.

想像は最高の自分をさらに超えていく
そして今なお、希望の種は成長していく
行くべき道はそう遠くないよ

[Bridge]
Never let the unknown get to you and keep you there,
Even if it's easier to give into despair.
絶望に打ちひしがれることはきっと簡単なんだ
未知への恐怖を振りほどくことよりも
君が君でいることよりも
だとしても……

[Bridge]
Each time they try to goad me,
I remember: This takes a different type of fighting.
This is a resistance!

ヤツらが私を刺激する度、思い出すんだ
これはいつもとは違う戦いだって
ヤツらに抗う戦いなんだって

[Chorus]
Even though the world feels like it's gonna end,
Just know you're not alone in this vastness and
Remind yourself again.
Don't be afraid to take my hand.

世界の崩壊の音が聴こえたとしても
広大無辺の大地が軋んだとしても
君は一人じゃないんだ
もう一度思い出して
恐れを振り払って、この手を取って

Sometimes there are days when it's just hard to see
Beyond what lies before us in darkness.
Time to take a leap of faith.
I won't go down so easily!

暗闇の中で一寸先の心配ばかりしている
そんな日もあるけれど
一か八か、成功を祈って飛び込んでもいい頃合いだ
私だって、そう簡単には倒れないよ

[Outro]
I'll go on!
I can't stop!

この道は続いていく
決して止まることなく


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アレンジ元楽曲である「門前の妖怪小娘」は山彦の妖怪のテーマソングとなっていますが、
この曲で冒頭から繰り出されるWake up!は、でかい声の山彦が叫んでいるようにも聞こえます。
「いい加減目を覚ませ!起きろ!!朝だよ!!!気持ちのいい!!!!!!朝!!!!!!!」

いやまあ、山彦は自分からは喋らないんですけど。
でもなんだか、聴き手を励ますように叫んでる気がします。

今回も気になったところを掻い摘んで解説します。

〇大サビの歌詞は哲学者の引用かも?

Sometimes there are days when it's just hard to see
Beyond what lies before us in darkness.
暗闇の中で一寸先の心配ばかりしている
そんな日もあるけれど

この歌詞、推測ですが、ある哲学者の言葉の引用に思えます。

What lies behind us and what lies before us are tiny matters compared to what lies within us.
我々の間に鎮座しているものよりも、我々の目の前に横たわるものよりも、大きな関心事がある。それは我々の心の中にあるものだ。
-ラルフ・ワルド・エマーソン-
(このサイトではさらに噛み砕いて意訳している様子。1番上の文です)
https://meigen-ijin.com/ralphwaldoemerson/3/

また、see beyond……で「……の先を知る」となるので、
it's just hard to see beyond what lies before us
で、「目の前のことに夢中にならず、先を見通すのは難しい」となります。
原文とは少し違いますが、what lies before usは同じ形ですし、原文の意図にある程度合った歌詞のようにも見えます。

狭い視野で目先の敵を憎んでばかりの日。
暗い空間で指先の障害物すら見えない日。
原文を基にするならば、それでも心の中にあるものを信じて飛び込んでみたい、という歌詞に思えます。

〇Grab hold of who you are.はかなり意訳した

Grab hold of who you are.
Don't lose your way and set it free!

君も私と同じだって、私はちゃんと分かってるよ
さあ、己が道を往け、解き放て!

grab hold of……で「……をしっかり掴んで離さない」なので、
grab hold of who you areを直訳すれば「君を離さない」です。

これがなんで「君も私と同じ」になるんだ……というと、
grab hold of who you areを「あなた(が何者であるか)をしっかりつかんで離さない」と捉えて、
君が何者なのかを忘れない」くらいの訳にしようかな…と思ったんですが、
前の歌詞からの流れを汲むと、さらに意訳が進みました。

Don't they know that fear gives way to inner strength
As hard as they may try, can't define what's "me".

ヤツらは知らない
怖いって感情が、内なる強さを作ることを
だからどれほど懸命に考えたって
私がどういう仕組みで動いてるのか、分かりもしないだろう

(前の歌詞の流れだと仮定すれば)「私はこんな人(恐れを内なる強さに変える人)だけど、君もきっとそうだって分かってる(掴んでる)よ」。
という意味になるのかなと。すみませんさすがに妄想が走ってます。でも僕はこれでもいいと思う。

押しつけ気味で、決めつけ気味で、グイグイ引っ張るような歌い手だけど、
だからこそ聴き手を元気にできる一面もあるんじゃないかと思います。

それにしても「怖いという感情が強さを育てる」という歌詞は素晴らしいと思いました。それについて「お前らには全然分からないだろうな」って言うのも中々合ってます。
恐怖や盲目や雑音。お前ら私を怯えさせられると思って来てるんだろ。でもその怯えや怖さこそが私をより強くするんだぜ」ていう。かっこええな。


今回はここまでです。お読みいただきありがとうございました。
何か新しいことに挑戦しようとか、もっと頑張ってみたい、という方は
先日訳した同サークルの楽曲Puppet in the Darkと合わせると何か見えてくるかもしれません。
どちらも、恐怖の前で立ちすくむ現状を鼓舞するような楽曲です。