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Suicide Season - Bring Me The Horizon【和訳】

“今はきっと死にたくなる時なんだよ”


amoの全曲訳が終わっても未だにBMTHばっかり聴いてるSeigaです。

amo聴こうと思ってSpotify開いたら、いつの間にか2ndと3rdが配信されてたんです。持ってないアルバムだったからもうほんと嬉しくて。
毎晩(ここ4日間くらい)Suicide Season(曲のほう)流しながら寝てます。メンヘラなりそう。

amoを訳してから見るとすごく愚直で比喩も虚飾もない歌詞なんですが、
彼らが当時から何かを変えたくて歌ってたのは間違いないんだなと思います。
たまたまグロや死について表現するメタルのジャンルが彼らの出発点になっていましたが、
結局1番やりたかったのは、何かに呑まれる親しい人や自分自身を助けたかったんじゃないかなって思います。

内蔵が零れ落ちる衝撃的なジャケットで飾られる2ndAlbum“Suicide Season”ですが、
ただグロテスクで衝撃的なだけの表現ではないと感じました。


Title:Suicide Season (2008)
Band:Bring Me The Horizon (2004-present)
Album:2nd Album "Suicide Season" (2008)
Vocal:Oliver Sykes
Lyrics:Curtis Ward, Lee Malia, Matt Nicholls, Matt Kean & Oli Sykes


We stare at broken clocks,
the hands don't turn anymore
The days turn into nights,
empty hearts and empty places
時計の針は止まったまま
両の手はぴくりとも動かない
辺りが夜へと変わりゆく
空っぽの心と、空っぽの場所

The day you lost him,
I slowly lost you too
For when he died,
he took a part of you
君が彼を亡くしたあの日のように、
僕もまた、君を失くしつつある
彼はこの世を去ることで
君の自殺を止める身代わりになっていたんだろうね

No time for farewells,
no chances for goodbyes
No explanations, no fucking reasons why
別れを告げる時間もない
さよならは二度と言えない
どうしてこうなったのか、説明の機会はない

I watched it eat you up,
pieces falling on the floor
We stare at broken clocks,
the hands don't turn anymore
僕はそいつが君を食らうのを見ている
君の断片が床中に転がる
僕らは針の動かない時計を眺めている
僕らの手は、もう止まってしまった

If only sorrow could build a staircase,
our tears could show the way
I would climb my way to heaven,
and bring him back home again
Don't give up hope, my friend,
this is not the end
せめて、この感情が何かに繋がってくれれば
僕らの涙は意味を為すというのに
僕も天国へよじ登るんだ
そして彼をここへ帰してやろうじゃないか
なあ、諦めないでくれよ
まだ終わりじゃないだろ

We stare at broken clocks,
the hands don't turn anymore
The days turn into nights,
empty hearts and empty places
時計の針は止まったまま
両の手はぴくりとも動かない
辺りが夜へと変わりゆく
空っぽの心と、空っぽの場所

The day you lost him, I slowly lost you too
For when he died, he took a part of you
君が彼を亡くしたあの日のように、
僕もまた、君を失くしつつある
彼はこの世を去ることで、
君の身代わりになっていたんだろうな

Death is only a chapter,
so let's rip out the pages of yesterday
Death is only a horizon.
And I'm ready for the sun,
I'm ready for the sun, to set
This is Suicide Season!
死は限りない時間の一幕に過ぎない
昨日の出来事なんて破り捨ててしまえ
死はただの境界線、日常と紙一重なんだ
日が沈む時はもうそこだ
自死へと追いやられる時間は、すぐそこだ

If only sorrow could build a staircase,
or tears could show the way
We would climb our way to heaven,
and bring him home again
せめて、この悲しみが何かに繋がってくれれば
僕らの涙に意味は与えられるんだ
僕も天国へよじ登るんだ
そして彼を連れ戻してやる

This is Suicide Season
This is Suicide Season, my friend
今はきっと死にたくなる時なんだよ
今はたまたまそういう時期なんだよ、そうだろ

If only sorrow could build a staircase,
our tears could show the way
We would climb my way to heaven,
and bring him back home again
せめて、この悲しみが何かに繋がってくれれば
僕らの涙に意味は与えられるんだ
僕らで天国へよじ登ろう
そして彼を連れ戻してやる

We would do anything to bring him back to you
We would do anything to end what you're going through
僕らで彼を連れ戻すんだ
僕らは君を行かせはしない

If only sorrow could build a staircase,
our tears could show the way
I would climb my way to heaven,
and bring him home again
せめて、この悲しみが何かに繋がってくれれば
僕らの涙に意味は与えられるんだ
僕らで天国へよじ登ろう
そして彼を連れ戻してやる

I would do anything to bring him back to you
Because if you got him back,
I would get back the friend that I once knew
僕が彼を連れ戻すよ
何としてでも
そうすればきっと、かつてのよく知る君が
戻ってきてくれるだろう

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“Death is only a horizon”「死はただの境界線、日常と紙一重なんだ」……
これはめちゃくちゃに私見を含んだ意訳です。

Bring Me The "Horizon"のバンド名にある単語を使うあたり、彼らは「僕らが正しいと思ってもらたすもの = Death」と捉えていて、
つまり「僕らが正しいと思ってもたらすものでさえ、死と隣り合わせなんだ = 死なんて正の裏返しで、生きようと願うほど色濃くなる
= 生と死は紙一重だ」……という感じに行きつきました。

記事の最初に引用した訳の通り、Suicide Seasonとは「(長い一生において)自殺したくなる時期」のことを言ってるんじゃないかな、と思います。

この歌には「歌い手」と「自殺してしまった彼(him)」と「彼(him)の後を追おうとする君(you)」の3人が登場します。歌い手はyouに後を追ってほしくないから「今は死にたいと思ってしまう時期なんだよ」と必死に説得します。
今のBMTHと違うところは、本当にこのメッセージ以外に何も言わないところなんですよね。そう思う理由とか、そう思うきっかけになった出来事とか、そういうことを一切語らない。
ある種一元論で、主観に寄りすぎていて、説得力を欠いているんです。

まるで「今はそういう時期だけどいつかきっとそう思わなくなって明るくなる時が来る」という主張と大して変わらない。
「生きてればいいことあるよ」という言葉は、話者が相手に死んでほしくないという思いを押し付けるだけのこともある、と僕は思います。

つまり、この頃のBMTHは、何かを変えたくて、何かが上手くいってほしくて、それをひたむきに音楽と感情に乗せて伝えていたんだと思います。たとえ客観性を欠いていたとしても、我儘だとしても、当時はそれに気付いていなかったとしても。それでも「変えたい」思いは強かった。

BMTHの6th Album"amo"を聴いていると、彼らのメッセージはより人の深淵に向けたもの、多くの人に刺さる多面的な捉え方になっていますし、
きっとこの言葉と音楽を身に着けたのは、彼らが何を言われようと「変えたい」という思いを捨てず自分を変えていったからなんでしょう。僕は勝手にそう思っています。

何より続けることが一番難しいんだよな。成長しながら、変わりながらも、変わらない部分を持ち続けることが最も難しくて分からなくて苦しい。

そんな重荷をずっと持ち続けたBMTHが更に好きになる歌詞でした。