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Moon Drip - PerLe [ENG translated & feeling]

"Don't play innocent anymore"
"The glitter leads us"
気づかないふりはもうやめて
煌めきに導かれて


This is NOT official!
Japanese lyrics -> English translated by Seiga (just a Japanese fun)

 Description: The lunar halo is called "rings around the moon". 

見渡す限り 瑠璃色の世界
ここが私の住処
手を伸ばしても 光は掴めないまま
No more
As far as one could see everything was covered with bright blue
Here is my place
When I reach for the lights, I'm not going to get one 
No more

ひとり膝を抱え 零れた夢を追って
瞼の裏描いてる My sweet dreams
鏡は投げ捨てて 何もいらないよ
飛び出していくの さあ強く

I'm hold my knees by myself, chasing the dream spilled out
My sweet dream is appearing on the back of the curtain of my eyes
Throw the mirror away, I don't need anything anymore
So I'll jump out powerfully

気づかないふりはもうやめて
煌めきに導かれて

Don't play innocent anymore
The glitter leads us

教えて 心惹かれていくものは何?
蒼く 落とす涙 その光は
Liar 振りほどいて 自由になるの
目を開いて (信じて)
The story has just begun
Tell me something you're attracted to?
The glitter of blue teardrops
Liar, let me go, I'll be set free
Open your eyes (trust me)
The story has just begun

揺らぐ波音 耳を澄ませて
言葉にできない 色を解き放て
戦う準備はOK? その一歩 踏み出せば
Going my own way
The sound of waves
Listen carefully to this
What has no words I explain my feelings
Set them free
Are you ready for the battle?
When I take the first step
I'm just going my own way

暗闇を切り裂く 光はまだ 私のことを 呼んでいる
深く 強く 刻んだなら そっと息を吸って

A lightning in the dark sky
It's still calling me
I'll never forget it and breathe slowly it in

答えて 夜空を照らしている 月暈
白く 淡く 道を創り出して
Siren 思い出せば 教えてくれる
私だけに (聴こえる)
探してた 君のこと
もう迷わない

Tell me my way, the lunar halo
Shine your white light over there
If I remember it, it'll tell me
It's between us (only I can hear)
I've been looking for you
I'll never lose my own way

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 こんにちはSeigaです。バンドサウンドを基調とするファンタジーロックバンドPerLeから、1st Singleの表題曲Moon Dripを英訳しました。
 和訳で「月の雫」の題名、「瑠璃色の世界」「壮麗な空」「月暈」「煌めき」という歌詞からは、煌びやかで物語的な世界観を連想させます。一方で歌詞の内容そのものに目を向けると、自分の夢で彩られた光の差し込まない暗闇から脱せなかった歌い手が、自身の夢と月明かりの反射を頼りに前進していくという、冒険譚めいているようで身近な感覚で共感できるものとなっています。

 曲名Moon Dripと絡めて聞いてみると、歌詞中のモチーフの様々が煌めくように見えてきました。そのあたり、どういう風に見えたのか書き記したいと思います。

目次:
■「瑠璃色の世界」は理想であり、現実を拒絶する匣である
■Moon Dripが示す「雫、涙、夢」
■訳の理由


■「瑠璃色の世界」は理想であり、現実を拒絶する匣である

見渡す限り 瑠璃色の世界
ここが私の住処
手を伸ばしても 光は掴めないまま
No more
As far as one could see everything was covered with bright blue
Here is my place
When I reach for the lights, I'm not going to get one 
No more

 歌い出しは「見渡す限り瑠璃色の世界 ここが私の住処」と始まります。まず、この「瑠璃色の世界」とは歌い手にとって何なのか考えました。

 「瑠璃」とは七宝と呼ばれる、仏教において貴重とされる7つの宝(特に宝石)の1つとなっています。経典によって7つに該当するものが何かは様々ですが、一例として『無量寿経』では「金、銀、瑠璃(ラピスラズリと推定される)、玻璃(無色の推奨)、硨磲(しゃこ、シャコガイの殻)、珊瑚(さんご)、瑪瑙(めのう)」が七宝とされている……と、下記リンクにありました。
 「七つの宝」と言われることからも、瑠璃を含めこれらにネガティブなイメージはなく、貴重な宝として大事にされてきた宝石の類であると考えられます。

 しかし歌詞に戻ると、「瑠璃色の世界は私の住処であり、そこから手を伸ばしても"光"は掴めない」と、何やら歌い手が「瑠璃色の世界に閉じ込められているせいで光明が見えない」状況にあるということが分かります。

 瑠璃は宝石であり貴重とされるものですが、その色は「紫みを帯びた濃い青」と説明されます。鮮やかな色であるとはいえ、青系の色は落ち着いた暗い印象を与える色であり、光とは少し遠い色であると考えられます。さらに「見渡す限り」と言うほど瑠璃色に囲まれた場所にいるのであれば、瑠璃という本来貴重で煌びやかなものが、むしろ光の差し込む間もないほど敷き詰められ、歌い手を光から閉じ込めているような光景が浮かびます。

 上記の整理と後の歌詞によって、「瑠璃色の世界に歌い手は閉じ込められ、光も見えない場所で一人膝を抱えている」と読み取ることができます。また、ひとつ説明していないこととして瑠璃色の世界を「私の住処」と言い切っていることは非常に重要です。歌い手は光を掴めない状況を嘆いているものの、その瑠璃色に閉じ込められた場所を心地よく感じていることが分かります。
 ここまでの読解はやや抽象的で、「瑠璃色の世界」や「光」が歌い手にとって具体的に何なのかを示していません。続いて、それらの正体を読み解いていきます。

■Moon Dripが示す「雫、涙、夢」

 曲紹介の冒頭にて曲名Moon Dripの訳を「月の雫」としましたが、この雫とは何なのか、独自目線ではありますが読み解きたいと思います。

気づかないふりはもうやめて
煌めきに導かれて

Don't play innocent anymore
The glitter leads us

 この「煌めき」は英語にすると非常に多くの単語(sparkle, twinkle, glitter, wink, shimmer, blink)が該当する日本語です。英英辞典を引いたところ、これらの意味の違いは、「自身が輝いているか」、「点滅しているか」、そして「反射によって輝いているか」というおよそ3種類に大別できます。

 この箇所の英訳中、ふと思い至ったのが曲名Moon Dripです。月と雫が同居する光景において発生する「光」には、「月自身の光」と「雫(液体)が月明かりに照らされて輝く反射光」の2つが考えられます。
 前述のとおり歌い手は「瑠璃色の世界からは光に届かない」と言っています。確かに一面瑠璃色に囲まれた世界は光を通さないのかもしれませんが、瑠璃は宝石であり、たとえ弱い月明かりであったとしても、光に照らされれば反射で輝くはずのものです。歌い手は、意図的に、あるいは無意識に、この瑠璃からの反射の光を無視していて、そんな過去の自分を「気づかないふり」だと断じているのではないか、と、そのフレーズが含まれる歌詞から連想して考えました。
 明かりのひとつもない、だから行くべき先が見えなくて踏み出せない。そういう理屈で瑠璃色の世界に閉塞していた歌い手は、月明かりが与えた様々な反射光を頼りに進めることに気付き、長い閉塞を打ち破る決意をしたのではないでしょうか。

 ところで、これに関連してMoon Dripを「月の反射光によって照らされる様々」だと言い換えれば、「瑠璃色の世界」以外にもいろんなものが月明かりに照らされ、歌い手の道標になっているように見えてきます。

教えて 心惹かれていくものは何?
蒼く 落とす涙 その光は
Liar 振りほどいて 自由になるの
目を開いて (信じて)
The story has just begun

Tell me something you're attracted to?
The glitter of blue teardrops
Liar, let me go, I'll be set free
Open your eyes (trust me)
The story has just begun

 コーラスのこの歌詞において、「蒼く落とす涙 その光は」と、涙が光を放っていることを明確に示しています。また、蒼はラピスラズリ、瑠璃の色であるとも考えられ、「瑠璃色の世界」の正体は歌い手の涙ではないのか、と考えられます。

ひとり膝を抱え 零れた夢を追って
瞼の裏描いてる My sweet dreams
鏡は投げ捨てて 何もいらないよ
飛び出していくの さあ強く

I'm hold my knees by myself, chasing the dream spilled out
My sweet dream is appearing on the back of the curtain of my eyes
Throw the mirror away, I don't need anything anymore
So I'll jump out powerfully

 コーラスから少し戻りますが、この「零れた夢」という表現も、液体、月明かりを反射するものを連想させます。「零れる」というのは何かの器に入ったものが許容量を超えてあふれ出す動作を示す言葉ですが、これは歌い手の中で見ていた憧れ、夢が、空想でなく物理的な何かとなって表出したことを示しているようにも見えます。つまるところ、零れた夢とは「涙」ではないかと思いますし、これもMoon Drip、月に照らされる雫のひとつであると考えることが可能だと思います。

 ここまで総括すると、前述した「蒼い涙」「瑠璃色の世界」と、この「零れた夢」を連結させると、瑠璃色の世界とは「歌い手の涙によって形作られた、光を通さない隔絶の住処」であり、その実態は「歌い手が思い描いている夢と、その夢に対する強い想いが涙となって表出した結晶」である……と考えました。


 夢や憧れは非常に主観的なものであり、時に本人にとって代えがたいほど大切なものであり、そして現実と大なり小なり乖離する可能性があります。この乖離によるストレスが大きく発生した場合の逃避行動として、目に見える現実、他者から抑圧されるようにも見える現実世界よりも、自身の抱く夢の中が真実だとして閉じこもってしまう場合があります。というか僕の場合ありました。なのでこの歌詞の冒頭には共感できる部分が多くあります。
 極めて主観的である夢は本人にとって宝石のように見えるものですが、もしその理想に共感できない、あるいは知りもしない第三者が見れば、この宝石、夢という現実を隔てる厚い壁で覆われた光景はあまりに禍々しいかもしれません。そして多くの場合、この閉塞を打ち破る方法は、まばゆい光や救いといった即効性のある急峻なものではなく、自分自身で穏やかに緩やかに気付き行動することにしかありません。

 歌い手はきっとこの閉塞の中で、夢全体は到底現実に叶いやしないものであったとしても、夢のとあるひとかけら、宝石の一粒、涙の一滴であれば、確かに現実の一つを望み通り変え得る可能性があることに気付いたのではないでしょうか。あるいは気付いていて、それを「気づかないふり」でいたLiarの歌い手が、歌い手自身の中に巣食っていたのかもしれません。
 なぜ現実を変える方法があるのに気づかないふりを膝を抱えてしまうのかというと、これまた「夢と現実の乖離」と似た現象として、「大きな夢」に対して「小さな夢」が実現するもののスケールの小ささに辟易してしまった、というのが考えられます。最初にハードルを上げすぎて、実現性のあるアイデアが全然魅力的でないものに見えてしまう。だから「大きな夢に目が慣れてしまっている」という状態から少しずつ、自分ができることという現実と自分の成したいこと夢の折り合いをつけ積み上げていく考え方にシフトする必要があります。
 それは決して夢を諦めるということではありません。「長い戦いになるかもしれない」ということを受け入れ、「小さなことでも価値がある」ことを認め、その上でなお諦めないという決意をもって一歩を踏み出す。諦めるよりよっぽど大変で、よっぽど残酷で、よっぽど現実を直視しなければならない道のりです。それでも、大きな宝石を組成する小さなひとかけら、Moon Drip、物語のひとつひとつを大切にすることで、いつかはあの大きな宝石へと至れることを夢見て、瑠璃色の閉塞から抜け出した……という歌なのだと思いました。


画像1

 こちらはPerLeの現在のアー写ですが、背景はステンドグラスとなっています。ステンドグラスはガラスの小片を結合したものであり、ガラスは多くの場合水晶が原料となっています。そして水晶は前述した仏教の七宝のひとつであり、時代によって貴重な宝石であると考えられていたことが分かります。何が言いたいかというと、このアー写はまさにMoon Dripの冒頭にある「見渡す限り瑠璃色の世界 ここが私の住処」を再現しているのではないか……と思いました。夢という閉塞された世界から始まり、夢のひとかけらの反射光を目印に物語を紡いでいく。曲と合わせるとそんな世界観が思い浮かびました。まあ、ここまで長文で言ってることは全部独自視点の妄想ですが……


■訳の理由

 最後に英訳の理由です。直近で日英訳に関する本を読んだばかりだったので、その中で出てきた「なるべく英語で自然になるよう、日本語の原文の形を守りすぎて不自然で伝わらない文にならないようにする」ことを意識して全体的に訳しました。

教えて 心惹かれていくものは何?
蒼く 落とす涙 その光は
Liar 振りほどいて 自由になるの
目を開いて (信じて)

The story has just begun
Tell me something you're attracted to?
The glitter of blue teardrops
Liar, let me go, I'll be set free
Open your eyes (trust me)
The story has just begun

 この歌詞のLiar、前段の「気づかないふりはもうやめて」と繋がっていて結構好きです。
 気付かないふりをしている自分自身をLiarだと断じて、そんなLiarな自分による束縛を「振りほどいて自由に」なりたいことを示している歌詞だと解釈したので、Liarが主語であることが読み取れるように,(カンマ)で区切り、命令文let me goに繋げました。
 ところでバリバリにカンマ使ってるけど、本当に使い方あってんのかな。let me goの後のカンマとLiarの後のカンマは用途が若干違う気がするけど……同じ行で別の文として区切るときに使ってるイメージなんだけど……大丈夫か……

答えて 夜空を照らしている 月暈
白く 淡く 道を創り出して
Siren 思い出せば 教えてくれる
私だけに (聴こえる)
探してた 君のこと
もう迷わない

Tell me my way, the lunar halo
Shine your white light over there
If I remember it, it'll tell me
It's between us (only I can hear)
I've been looking for you
I'll never lose my own way

 まず、Sirenは先述した「自然な英訳」を心掛けた結果飲み込まれるように霧散しました。名残はIf I remember it, it'll tell me中のitとしてしか残っていません。無茶しやがって……
 と言いつつ、Sirenが具体的に何を示していたのか読み切れなかったのもあります。セイレーンではないと思うんだけど、サイレンだとしても他の歌詞との関連性があまりないようにも見える。単純に意味だけ切り取るなら「思い出させてくれる警報、呼び鈴」みたいなイメージだと整合取れそうですが、もしそうだとしたら訳した文のitには当たらないな……訳考え直さないといけないかもな……と思いつつ、「自然な英訳」を口実に霧散しました。もし重要な歌詞だとしたらこの削除は僕のミスです。申し訳ございません。

 ところで月暈(つきかさ、げつうん)とはある条件下で肉眼で観測できる光学現象であり、月の周りに輪のように光が浮かび上がる現象です。これは太陽verもあり、こちらは日暈(ひがさ、にちうん)と呼ばれます。原理的には薄い雲に含まれる氷晶が光学でいうプリズムのように働いて太陽光・月光が屈折することで起こるのだとか。
 歌詞にある「白く淡い光」というイメージにも月暈は合います。基本的に太陽光や月光よりも弱い光であるためです。

画像2

 拾い画です。Pinterestにありましたが出典不明。図のように月暈は専門的には部位が分かれており、この22° haloと46° haloが示すように、大きな円と小さな円として二重に発生する場合もあるそうです。画像は降雪地帯ですが、これって寒い地域の方が発生しやすかったりするのかな……。ツイッターで画像検索した程度の薄いソースだと、6月の日本でも観測されているように見えるので、必須条件ではなさそうだけど。



 記事としては以上です。ここまでご覧いただき、ありがとうございました。


(おまけ)

 20/11/22『Stay Nerd / Stay Emotional -Lasting Moments-』にて出演したPerLeのライブ映像です。この日はMoon Dripの演奏もありましたが、恐ろしいのは新曲を未発表の新曲をおそらく3曲引っ提げて登場したことです。どれもPerLeの従来の楽曲とは違う新しいアプローチがモリモリの盛りとなっているので、本当に早く音源を聴きたいという気持ち。明日12/6まで公開されているライブの配信ストリーミングなら全部聴けるので、確認してくれよな……。


-extra *.rom-

見渡す限り 瑠璃色の世界
ここが私の住処
手を伸ばしても 光は掴めないまま
No more
miwatasu kagiri ruri iro no sekai
koko ga watashi no sumika
te o nobashitemo hikari wa tsukame nai mama
No more

ひとり膝を抱え 零れた夢を追って
瞼の裏描いてる My sweet dreams
鏡は投げ捨てて 何もいらないよ
飛び出していくの さあ強く
hitori hiza o kakae koboreta yume o otte
mabuta no ura egaiteru My sweet dreams
kagami wa nage sutete nannni mo iranai yo
tobidashite iku no saa tsuyoku

気づかないふりはもうやめて
煌めきに導かれて
kizukanai furi wa mou yamete
kirameki ni michibikarete

教えて 心惹かれていくものは何?
蒼く 落とす涙 その光は
Liar 振りほどいて 自由になるの
目を開いて (信じて)
The story has just begun
oshiete kokoro hikareteku mono wa nani?
aoku otosu namida sono hikari wa
Liar huri hodoite ziyuu ni naru no
me o hiraite (shinjite)
The story has just begun

揺らぐ波音 耳を澄ませて
言葉にできない 色を解き放て
戦う準備はOK? その一歩 踏み出せば
Going my own way
yuragu nami oto mimi o sumasete
kotoba ni dekinai iro o toki hanate
tatakau junbi wa OK? sono ippo humi daseba
Going my own way

暗闇を切り裂く 光はまだ 私のことを 呼んでいる
深く 強く 刻んだなら そっと息を吸って
kurayami o kirisaku hikari wa mada watashi no koto o yonde iru
fukaku tsuyoku kizanda nara sotto iki o sutte

壮麗な空をひとり見上げ 哀しみは幻に
拐われていけばいいの
振り向かないで
sourei na sora o hitori miage kanashimi wa maboroshi ni
sarawarete ikeba ii no
furi mukanai de

答えて 夜空を照らしている 月暈
白く 淡く 道を創り出して
Siren 思い出せば 教えてくれる
私だけに (聴こえる)
探してた 君のこと
もう迷わない
kotaete yozora o terashite iru tsuki no kasa
shiroku awaku michi o tsukuri dashi te
Siren omoi daseba oshiete kureru
watashi dake ni (kikoeru)
sagashiteta kimi no koto
mou mayowanai