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i don't know what to say - Bring Me The Horizon【和訳】

"君は死の縁に際しても勇敢だった
ああ、もう、何も言えないよ"

Bring Me The Horizonの6thAlbum"amo"は、過去の彼らに類を見ないほどのストリーミング再生回数を誇っています。
medicineの伸びとかヤバいよね。もう700万再生越えてる……いくらMVが事前に出ていたとはいえ、spotifyで過去の曲の再生回数と比較しても、まだリリースして1週間とは信じられない数字が出ている。

そんな彼らの稀代の傑作、ロックシーンのあらゆるしきたりを破壊して生み出す、人間の真理の真相、自分自身の深いところへと迫ったリリックを紡いだ傑作"amo"。

「愛」をコンセプトとしたこのアルバムのラストトラック、
"i don't know what to say"は、何を歌うのでしょうか?


Title:i don't know what to say (2019)
Band:Bring Me The Horizon (2004-present)
Album:6th Album "amo"
Vocal:Oli Sykes & Jordan Fish
Lyrics:Oli Sykes, Matt Nicholls, Matt Kean, Lee Malia & Jordan Fish


I'll see you at the gates when it gets dark
You jump the wall, I'll find a place to park
Kill the angels if they're keeping guard
夕暮れ時、扉のそばで君を見た
君は壁を超えていく
僕は安らげる場所を探す
こいつらが悪いんだ
こいつらが君を閉じ込めてる

How do I start when you don't know what to say?
No, I don't know what to say
もう君の声も聴けない
そんな今、何から始めたらいいっていうんだ?
もう言葉すら出ない

You said the world's already full enough
Of defeated people and you would not be one
Always a choice to move yourself along
君は言ってたよな
この世の中は敗者で満たされているって
だけど君はそうはならなかった
いつだって自分を変えようとしていた

And find better and I hope that's where you are
Yeah, I know that's where you are
きっともっと、君にとって良い場所があるよ
それが君の居場所となることを願っている
ああそうさ、そこが君の居場所だ
どうか安らかに

A doppelgänger with a telling scar
I saw the universe hidden in your heart
Wish I told you this before it got too dark
Where do you start when you know it has to end?
含みがあるような傷を付けた君の分身を見て
隠された君の心の中は、あまりに広大だと知ったんだ
こんなに暗くなってしまう前に、君に伝えておけばよかったんだ……
なあ、終わりを知ってしまった時
僕らは何から始めればいいんだ?

How a flower in the rain
Only grows more when it's grey
You just shined on brighter
Making gold out of the pain
雨の中に咲く一輪の花は
灰色の景色の中で、ただ大きく育っていく
君もそんな風に、ただ輝きを増していく
あらゆる痛みを超越して、黄金の輝きを放つ

"I can die, but I can't break," you said
"You can rule, I won't obey"
As long as I'm still smiling
Well, I don't know what to say
「分かってる。きっと俺は死ぬんだ。だけど諦められないんだ」
君はそんなことを言うんだ
「やってみろよ。俺はお迎えに従ったりなんかしねえぞ」
僕が微笑む間も、君はずっとそんなことを言うんだ
君は死の縁に際しても勇敢だった
ああ、もう、何も言えないよ

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いつも以上に意訳してるんですが、これはOliと彼の友人であるAidanの関係や彼らの物語について情報を集めた結果の訳です。
たぶん筋は通ってると思う。

最初直訳で和訳を書いたら、Youの対象がなんか違和感あったりとか、Aidanの人間性に若干ブレが生じるような訳になってすごく納得いかなかったんですよね。

で、色々調べてたら彼が癌で亡くなっていることを知って、
待てよ、これってRoyal Albert HallのDrownのMCで言ってた内容じゃないか?と閃いたんです。Cancer(癌)って何度も言ってたので。

見に行ってコメント欄をよく見るとまだ真新しいコメントがちらほらあって、そこにはi don't know what to sayを聴いてAidanの死を知った人が溢れていました。
Aidanはこのライブの時、一度癌を克服し日常に戻れたらしい。Genius Lyricsを探すとこのライブを見ているAidanの写真もある。
ということで、ますます気になる。

じゃあ早速、Drown前のMCを訳してみよう......
......と思ったんですが全然歯がたちませんでした。リスニングマジで苦手なんだ。ほんとに技術不足を痛感しました。すみません。誰か聴きとってくれ.........(聴きとって写経してる人すら見つからない)


ただ、Oliのツイートや色んな情報から類推した内容があるので、以下に残したいと思います。訳は自分で付けました。

ほとんどは伝家の宝刀Genius Lyricsよりの引用です。有志の方の興味深いコメントが残りまくってます。海の向こうの皆さん本当にありがとう。

(リンク先で灰色背景になってる歌詞をクリックすると有志の推察・補足が読めます。以下の灰色部分は、英語がこのサイトからの引用、日本語が僕が付けた訳です)

Oli sets the scene in a cemetery,
where his friend Aidan (who passed away from cancer) presumably lays.
オリバーサイクスは墓の前に立ち尽くしていた。
恐らく、彼の友人であり、その命を癌で亡くしたAidanの墓を。

He imagines his spirit roaming the graves and being guarded by the angel statues that are placed around the cemetery.
まるで彼の魂が墓の中に閉じ込められているように、
まるで墓場のあちこちに鎮座している天使の像が、その魂を見張っているかのように、オリバーには見えてしまった。

He tells his friend to kill the angels in order to be able to speak again,
as the dead shouldn’t be able to talk with the living.
オリバーは友に語りかける。
どうかこの天使像を打ち壊して、もう一度言葉を発してくれ。
死人に口なしとは言うが、監視する者がいなければ関係がないだろう?

ここから冒頭の歌詞の意味が分かるんですよね。
angleが何なのか、gateとはどういう場所なのか、この情報がないと情景が全然分からなかったです。

How do I start when you don't know what to say?”
この歌詞の意味はきっとこういうことです。

「君が話さなくなってしまったら、僕は何から始めたらいいっていうんだ?」=「君はもうこの世にいない。それを認識してしまった時、何をしたらいいか分からないんだ」

他の箇所の“I don't know what to say”は、
無理と分かっても懸命に生きようとする君に何を言えばいいんだ」という意味ですが、
この箇所だけは「君がいなくなって、僕は言葉を失ってしまった」という若干違った意味と捉えられます。

Aidanが亡くなったことを彼の墓の前で再認識するところからこの歌は始まり、彼の生前に思いを馳せるように歌は進んでいく。

how can you talk to someone before they die?
You can’t tell them it’s going to be alright when you know it’s not.
死の淵に立つ者に、何か言葉をかけられると思うか?
「上手くいくよ」なんて、そうならないことが分かった上で言えると思うか?
言えるわけがないだろう?

また、こちらはAidanとOliの関係性についての興味深いインタビューです。


I spent a good chunk of my childhood with him,
but at the same time,
because we’re not related
and I don’t see him on a daily basis,
I didn’t know if I had the right to.
子供の頃はAidanとばかり過ごしていた。
だけど次第に彼とは会わなくなって、
僕らはすっかり交流が途絶えてしまった。
知る権利が無ければ、僕は何も知らないままだっただろうね。

On the wall of the studio, we had something Aidan had said before he died:
“The world’s already full enough of defeated people, I will not be one.”
I read it and thought I could write about it.
When you know someone is definitely going to die, I don’t know what to say.
You can’t go, “It’s gonna be alright.”
スタジオの壁にもたれかかって、僕らは彼の言葉を思い出した。
「結局最期は皆敗者。そんな世の中だ。だけど俺は負けない。あいつらの仲間入りなんてしない」
もう一度読んでみて、僕はこれを歌詞にしたいと思った。
Aidan、君は、死にゆくことが避けられない人間がいることを、分かってそう言ったのか?
だとしたら僕はもう何も言えないよ。
「何もかも上手くいく」なんて言った死の淵の君に、一体何を言えばいいのさ。

「僕らは」と言っているのは、バンドぐるみでAidanと交流があったからだと思います。まあライブに招いてるんだからきっとOliとの個人的な仲だけではなくメンバーみんな知ってたんだろうな。
きっとメンバーの総意のもと、彼のための歌がラストトラックになったのでしょう。

最後に、OliがAidanについて自身のTwitterで語った内容です。

この曲は僕の友人であるAidanに向けた曲なんだ。
彼は痛みや苦しみと闘い続ける全ての人のため懸命に生きた。
彼自身侵されていた癌に倒れた、その最期はあまりに悲しかった。
けれどあなたは知っているかな。
壮絶な運命に直面した時の彼らは、信じられないくらい、勇敢で、力強くて、何者も恐れない人間となることを。

このツイートはamoがリリースされた後の発言で、
I don't know what to sayにおけるOliは「何も言えなかった」ことを非常に悔いていますが、このツイートからは彼自身物事の捉え方が変わったような印象を受けます。
Oliにとって、悩み苦しみ、心の深淵から取り出した歌を世に出すことが最大のセラピーであり救済となるのかもしれません。
人に語って聴かせることで、初めて彼の悲しい出来事に意味が与えられるのでしょう。

なんか僕泣きそうなんですけど……
音楽のシーンという壮大なスケールで自己に起きたことという極小の問題に向き合ってて、それが自身とリスナーの救いになっていく。
ほんとに、ほんとにかっこいいね。

シンフォニックなオーケストラと泣くようなギターのリフが、まさに死に立ち向かう人間への賛美になってるよね。
本当に、本当に素敵な曲だと思います。
死に立ち向かった友人への畏敬と、限りない愛情を歌っているのでしょう。

↓↓↓↓↓↓amo全曲訳しました。興味があれば是非ご覧ください↓↓↓↓↓↓