I Have A Problem - Beartooth【和訳】
" 今更だけど認めるしかないだろ
俺はおかしいんだってことを "
ハードコアパンクバンドBeartoothの1st Album "Disgusting" から一曲です。
Disgusting以降でこそハードコアやワイルドなポップロックが中心となっていますが、この頃はメタルコアに近い音楽性となっています。
フロントマンCalebの前身であるAttack Attack!からの音楽性を継承しているのかもしれません。
この曲はCaleb自身が患ったアルコール依存についての曲です。
が……そうなった経緯のほうが彼にとっては重要なようです。後述。
Title:I Have A Problem (2014)
Band:Bring Me The Horizon (2012-present)
Album:Disgusting (2014)
Vocal:Caleb Shomo
Lyrics:Caleb Shomo
I found my vice
I found my vice
It lives in a bottle and wants me to die
俺は自由なんだって分かった
飲みすぎて息もできなくて、まるで死んでる自由だけどな
俺は自由なんだって分かった
飲みすぎてゲロ吐いて、死ねって言われてるような気分の自由だけどな
But I wanna be alive
GO!
それでも俺は、しぶといながらも生きたいって願ってるんだ
God I wanna call you my father
I'm sick of drinking my life away
I can't remember anything
あんた(God)のことを頼ってもいいか
俺は人生も酒もどうでも良くなってるんだ
それでも飲んで、飲んで、
もう何も覚えてねえ
This isn't fun anymore
My body's glued to the floor
When did my king start living inside a glass bottle?
これ以上悦びを感じることもなく、
ただ寝そべって指先一つ動かせない
憧れの王子様がグラス瓶の中にしか見えなくなったのは、いつからだっけな
I'm dying, I'm done lying to myself
If I'm living, its inside a hollow shell
俺は死にゆく自分自身を横たえる
生きていたとしても、中身は空っぽだ
My stomach is bleeding
But I'm still drinking
A hole inside me is now more than a metaphor
喉が血を噴き出しても飲み続けて
シャレにならないほど空洞は広がってる
I guess a bottle can't save my life
I guess a bottle can't tame my mind
こいつは俺を救ってはくれないし
こいつに俺を飼い慣らすなんて出来はしない
This is my reward, a barely beating heart
But I still lie to myself, I always lie to myself
これは俺の得たものだと、僅かな鼓動を携えながら
未だ自分自身を誤魔化している
My hands are in the air, and God I hope you're there
Cause I can't make it myself, I'll never make it myself
この手を空に掲げて、あんたがいるってことを願う
俺は自分自身では何も出来ないから、決して出来ないから
Standing up just to fall back down
Screaming nonsense to hear the sound
俺はぶっ倒れるために辛うじて立ってるだけ
わけもなく叫び散らすのは自分の存在を確かめるため
It doesn't matter if nobody's around
I'll hit the bottom just to feel the ground
誰もそばにいなくとも構わない
底に打ち付けられる感覚が欲しくて堪らない
Substance therapy never set me free
Substance therapy never set me free
酒やクスリに溺れたって、思うように生きられないんだ
そんなものに縋ったって、何も得られやしないんだ
I guess a bottle can't save my life
I guess a bottle can't tame my mind
酒に溺れたって俺は何にも変わらない
だから酒が俺を変えることなんてない
I guess a bottle can't save my life
I guess a bottle can't tame my mind
そんなもんが俺を操り、人生を変えてしまう
そんなわけがあるか
This is my reward, a barely beating heart
But I still lie to myself, I always lie to myself
これは俺の得たものだと、僅かな鼓動を携えながら
未だ自分自身を誤魔化している
My hands are in the air, and God I hope you're there
Cause I can't make it myself, I'll never make it myself
この手を空に掲げて、あんたがいるってことを願う
俺は自分自身では何も出来ないから、決して出来ないから
I don't know about you, but I'm admitting now that I have a problem
お前がどうなのかは関係ない
今更だけど認めるしかないだろ
俺はおかしいんだってことを
I have a problem
I have a problem
I have a problem
I have a problem
おかしいのは俺だ
イカれてるのは俺だ
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攻撃性の高い音楽ですが、その矛先はアルコール依存の自分自身に向いています。
I Have A Problemは「自分に問題があることを認める」という意味なのでしょう。
今回も伝家の宝刀Genius Lyricsを参照して歌詞の解説を行おうと試みたのですが、
Genius Lyricsで一言も言及されていないことをネットのインタビュー記事で発見しました。これがないとこの曲の一番の主張を見失うのよな。
というわけで、「なぜCalebがアルコール依存になったのか」について調べたことを書いていきます。
Genius Lyricsを調べると「アルコール依存であることを打ち明け真のセラピーに向けた第一歩」「アルコール摂取により喉に穴が開くという文献が実在する」とかいろいろ書かれていますし、
実際この曲の歌っているところのウエイトは間違いなくCaleb自身のアルコール依存が9割ですが……
「なぜアルコール依存になっているのか」の方が彼にとって重要なメッセージであることはこの発言から間違いなく、またその対象が前バンドにあるようです。
僕はメタルコア人間としては失格なくらいAttack Attack!(以下AA!)やらWoe, Is Me(以下WIM)やらOf Mice&MenやらIssuesやらを全然知らないんですが、このあたりのメタルコア全盛期バンド結成の流れにBeartoothも一枚噛んでいるようです。
もともとAA!やWIMがメタルコアシーンの立役者で、両バンドともメンバー間の問題で早期に解散し、その後のメンバーの行く先がそれぞれ分かれたって感じみたいですね。
このあたりの解散・結成の経緯はこの記事が詳しいです。(これ見て勉強しました)
この記事の通り、BeartoothフロントマンのCalebはもともとAA!のキーボーディストであり、初期フロントマンが抜けた後2アルバムにわたってフロントマンとして活躍したそうです。
ただメンバー間の軋轢があってCalebも解散直前にバンドを離れています。
そもそもBeartooth結成後すぐに制作された曲がI Have A Problemみたいですし、Caleb自身AA!でのことがかなり効いてる風ではあります。
何があったのか詳細には調べられませんでしたが、I Have A Problemの歌詞のとおり、アルコール依存になるくらいにはひどい環境だったのでしょう。
彼のWikipedia記事にはこの通り書かれています。
これを見てると「AA!のメンバーは彼の鬱の治療を優先して見送ったのでは?そんなに悪い環境だったのか?」と読んでしまいそうなのですが、
先のインタビュー記事のリンクから、Caleb自身のAA!に対する思いが語られています。Beartooth結成直後の記事なのかな?
というわけでSet Me On Fireという曲が初めに書かれ、次にI Have A Problemが生まれたそうです。
もともとAA!でもソングライティングを一人でやるほどの敏腕で、BeartoothもほぼCalebのソロプロジェクトと化しているようで。半端じゃないですね。
未だに続くバンドBeartoothが華々しい進化を遂げているのは、
鬱屈とした始まりの彼と、それを克服した出来事があってのことなんでしょう。
軋轢や抑圧があった仲間同士の問題を「俺のせいでもあった」と認めるのには時間がかかることもありますし、彼自身鬱を患っていたのであれば尚更それは困難を極めたでしょう。
ですがこの曲I Have A Problemは全編にわたって「俺が悪かった」と言っています。少々自己否定が過ぎるくらいには自分が悪かったことを認めています。
引用したインタビューの後に制作された曲のようですし、
「あいつらと一緒にいるのは辛かった」という心境から、
この曲で「俺にも問題があった」に切り替わっているように思えます。
ほんの一瞬だけこの曲にも前バンドのメンバーに対するメッセージと思われる箇所があるのですが、この部分の解決の仕方が個人的には好きですね。
お前がどれくらい悪かったのかは分からないし、それは確認のしようのないことだし、比較のしようがないことだから、俺は俺が悪かったということを認める……ていう歌詞なんですよね。多分ですけど。
曲の聞き方によっては吐き捨てるような歌詞なのですが、いろいろ調べてから聴き直すと、まるで「ようやくの思いで振り絞った謝罪の言葉」のような気もします。