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スミフ製オフィスの素晴らしさを、つらつらと。

夜遅くにトーセイのビル云々をツイッタしていたら、ふと、穴が開くほどパンフを見て、現地に通い研究したスミフのオフィスビルを思い出したので、その素晴らしさを書き殴ってみようかと思います。

まず、独断と偏見ですが大規模オフィスのプランニングが日本一上手いのは地所でも三井不でもなくスミフです。デザインの賛否は置いといて。一度入居したら他社オフィスに移転しづらくなる、あの契約条件もリレーションも置いといて。マジスミフリスペクト。

大規模開発の企画のおしごと

とりあえず、いきなりスミフスミフ言われてもアレなんで、まず大規模オフィスの企画って実際何してんの?ってところから。

オフィスって賃料単価はエリアごとに大体固まっているので、それを前提として如何に効率的で使いやすいプランをつくるかってのが開発企画最初期の勝負になります。

念頭に置くポイントは①コスト ②床効率 ③動線 って感じです。これらを設計会社さんと上手くまとめながらキャッシュフローと睨めっこしていきます。これで大枠イケそうになったら、内装の意匠イメージや街づくりを意識したソフトの拡充検討といったフェーズに進んでいきます。

ちなみに、自社物件建替や特命提案とかだと、下手すると2~3年はこのフェーズを続けたりします。何も進まず、形にならずで異動していく人もいたり。

企画最初期のポイント① コスト

①は全体の床面積に対して如何に多くのオフィス床を確保するか。つまりオフィス貸床以外の床と設備をどれだけ縮小できるか。もちろん、競合オフィスと比較しても優れた商品性を確保しながら。

詰めれば詰めるほど夢がなくなっていきます。そしてリーシングと運営チームから非難されます。でもそんな余裕ないんです。ゴメンナサイ。

企画最初期のポイント② 床効率

②は当然の話ですが、もう少し掘り下げると「極力、地下を掘らない」「構造に無理させずシンプルな外形とする」「電気・空調設備もシンプルに、効率的に配置する」あたりが胆になります。単一用途だとスムーズなのですが、複数用途かつ中央熱源になってくると結構ややっこしい。口癖なのですが「ゼネコンに言い訳するポイントを与えない構造設備構成」を作るのです。

尚、毎回やりすぎた結果、意匠系の設計者からは、みっくさんのプラン方針は遊び皆無で夢がない、と言う憐みの目で見られてました。逆に構造設備系の方からは、コイツ分かってんじゃん!という目で見てもらえます。玄人好みっぽくて少し嬉しい。

企画最初期のポイント③ 動線

③については、大規模オフィスの場合は大体が商業と住宅、ホテルなどが複合してくるので、この利用者&管理者動線を上手く切り分けていきます。さらに言うと、収益性はオフィスが群を抜いているので、他の用途は極力小さく、オフィスの邪魔をしないようにしながらも使い勝手を良くしていきます。

ここで、街づくりに最も必要で華のある用途達が収支計画では最も邪魔というジレンマに直面します。空気読めないオジサンは、街づくりに憧れて入社した新卒に対して、商業はホント邪魔なんだよね、とか言っちゃったりします。私は何とかバランスさせようと頑張ってましたよ。ええ。

企画のハードルを上げる制約

で、これらを検討する上で敷地形状や都市計画手法、地盤の強弱、自分以外の権利者の存在といった制約がついてきます。特に港区あたりは航空法の制限がキツク、200m級の高さでも容積消化に四苦八苦します。逆に言うと、このあたりの制約が割とスッキリしていて、オフィス+足元商業の構成で行ける丸の内辺りはプランニングが比較的かんた、、、、、以下自粛

大規模オフィスの企画とは、こんな感じで各種制約をクリアしながら①②③の効率的な組み合わせを追求し、キャッシュフローを回していくパズルな仕事です。同時並行で土地取得のための交渉をしたり、あの手この手で容積率を増やしに行く行政協議もやるのですが、それはまた別のお話。

スミフさんは、、、

と、ようやく本題ですが、スミフさんは①②③の組み合わせが抜群に上手いです。正確に言うと、オフィスの使い勝手が最優先と言う明確な順位付けの元、組み合わせの中で直面する課題に対して、「一般常識、過去事例だとこれしかないよね」という前提を平気で切り捨てて、斜め上の角度から最も効率的で商品性の高いプランニングをしてます。

オフィスのコアに住宅を入れたり、外壁にエレベーター付けたり、設備フロアを地上に持ってきてその上に免震層作っちゃったり。あと、ホテルを下層に配置することでオフィスエントランスに大規模吹き抜け空間を作ったり。

これだけ聞くと、( ゚Д゚)ハァ? って感じなのですが、プラン全体を見ながらその設計意図を紐解いていくと、「あ、この課題を解決したいからコレにしたんだ!マジすげぇ、てか、思いついても本当にコレやっちゃうの!?」ってところに気づきます。このアハ体験の繰り返しにより、スミフ中毒となっていくのです。

最後に、、、

ツイッタ見ててもスミフの話題は分譲マンションばかりで、オフィスの素晴らしさに気付いている人が少なそうですので、今後、時間のある時にでも物件別の見るべきポイントを纏めとこうかと思います。役立つ人が限られる、スーパーニッチなネタですが。まぁ、いつまた開発企画屋に戻るかも分からないし(笑

あ、中の人はスミフではありませんし、脱北者でもありません。都市開発の第一線から退いた、ただの物好です。そんな人から見た一意見ということで。

ついでに熱狂的にスミフ物件を見ていたのは5~10年前なので、少し情報が古いかもしれません。最近のスミフさんは、異常なまでの長方形へのコダワリが薄れていて少し残念。

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