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グローバルティーチャー賞について(4)

 最後は、よく聞かれる質問に私なりに答えてみようと思いますー。

 GTPって本当にスケールが大きくて、授賞式には各国の教育庁(日本でいう文科省)トップなんかが普通に出席しますし、過去にはイギリス王室メンバーからもメッセージが送られてきています。受賞者には、その国のトップ(首相や大統領)からのメッセージが送られてきます。(1)でも書きましたが、Top10でもTop50でも、選ばれたらそれなりの覚悟が必要です。

 なにせTop10の公開アナウンスも桁違い。2016年のアナウンスはスティーヴン・ホーキング博士、2018年はビル・ゲイツ、2019年はヒュー・ジャックマンでした。

 こちらは、2016年のTop10の先生方への祝福のお言葉。当時アメリカの副大統領だったジョー・バイデン氏からです。

 GESFではTop10でもTop50でも、どこかしらのメディアからインタビューされますし、ファイナリスト同士の会話でも「どんな教育システム?」「どんな教室?」「どんな課題がある?」とかは普通です。自分の発言=日本の現状と捉えられます。

 では、よくある質問集へ。

◆Top10とTop50の違いは?

 私はTop50なので、Top10の方は詳しくはわかりませんが、とりあえずわかることを。

 まず、待遇と認知度が違います、とは言っても、様々です。Top10の中でもドカンと認知度が上がる方もいれば、賞以来出てこない人もいますし、Top50の中でも、海外のカンファレンス引っ張りだこみたいな人もいます。

 私が招待された2018年と2019年、Top50はずっと同じホテルに滞在しましたが、Top10はGESFが始まると、会場のホテル・Atlantis the Palmに移動しました。

 ホテルの中に水族館はあるわ、めっちゃ広いウォーターパークはあるわ、すごいですわ。(全っ然遊ぶ暇ないけど)

 メディアに出る機会は、Top10の方が圧倒的に多いです。GESFが始まると、Top10はメディア対応が圧倒的に増えます。Top10とTop50が一緒に過ごして話せるのは、サミットの時くらいな印象。

 なので、Top10の先生達はすごく絆が深まっている印象があります。Top50は、これまでの色んなファイナリストの先生と仲良くなれますね。

◆なんとか認定とかって必要?

 よくあるのが、Google Certified Educator、Microsoft Innovative Educator Expert、Apple Distinguished Educatorですね。National GeographicやAdobeにも、確かあります。

 結論から言えば、特に必要ではありません。ただし、自分の実践の証明は必要です。「認定される=実践」が認められているということですので、証明にはなりますが、GTPに応募してくる人の中にはMIEEやADEの認定もらってる人なんて山ほどいますので、全然特別ではありません。

 あと、何かの賞を受賞したというのも、立派な証明になります。

 少し話はそれますが、ファイナリストになると、海外の得体のしれない団体から声がかかることがあります。「私たちの組織のアンバサダーになって」とか「私たちは○○賞です。あなたの実践は素晴らしい。ぜひ応募を。」など。前向きに取れば、名前が知られた証拠です(良いか悪いかは別にして)。

 自分の認知度を上げたいと、反応してしまいそうになりますが、こういった団体は、GTPのファイナリストを関わらせることで、自分たちの信用性を稼ごうとしている可能性があるとされています。「ほら、教育界のノーベル賞って言われているグローバルティーチャー賞の候補者も入ってますよ」っていう感じです。場合によっては、GTPの主催団体バーキー財団の信頼低下にもつながりかねないので、財団側からも注意を呼びかけられています。

 海外から登壇のオファーが来る場合は、基本的には財団か、GESFでのコネクションを通じて来ると思います。

◆審査員ってどんな人?選考プロセスは?

 以下がクライテリア(選考基準)。ここから選考プロセスにも飛べるみたいですが、なんかリンクが機能してないっぽいです。

 サイトに書かれてますが、選考プロセスで身辺調査が入ります

 あと、ジャッジはこちら。日本からは、ISAK(International School of Asia Karuizawa)の理事、小林りんさんが入っておられます。

 応募はオンラインのみで、Top50になったらメールで知らされます。

 どこかに書かれていたと思うんですが、地域に偏りが出ないように、全世界からまんべんなく選ばれています。

◆英語はできないとダメ?

 英語ができない方も普通に選ばれていますので、できないと選ばれないわけではありません。ただし、選考と、選ばれたあとは全て英語です。

 もしくは、FAQにもありますが、英語、フランス語、スペイン語、アラビア語、ポルトガル語、ロシア語、中国語で応募可能です。でも、会場では全て英語。

 私が呼んでもらった年度は、Top50もTop10も、英語が話せない場合、希望すれば通訳をつけてもらえましたし、実際つけておられる先生も数名いらっしゃいました。

 それでも、英語が話せることが標準なので、通訳をつけても、正直他の先生との間に壁ができてしまう感じは否めません(通訳さんとは仲良くなれます)。話せるのが当たり前の世界なので、日本の英語の授業みたいに、先生が温かく見守ってくれるような雰囲気は期待しない方がいいです(笑)

 あくまで私が受けた印象ですが、英語が話せなくても選ばれている人、特にTop10は、地域へのアプローチ規模がすごいです。「そりゃ選ばれるわ、納得」って感じですね。2018年のディエゴ先生や2019年のデボラ先生(ともにブラジル)、2018年のルイス先生(コロンビア)、2019年のウラジミール(ラド)先生(ジョージア)など。ラド先生は、GTPのジョージア版、Georgia Teacher Awardの受賞者でもあります。

 こちらが、ラド先生の紹介動画です。(英語)

 またもし質問が来たら追記しますが、とりあえずは以上です。

◆終わりに

 (2)で書いたように、私自身、選ばれたと知った時は「あわわ・・・」状態でしたし、実際にドバイに着いて財団の人と会って話すまで、実感はわきませんでした。

 「何?日本ってこんな人が選ばれてるの?」って言われるのが怖くて、出発まで、テーマだった第4次産業革命についての英文記事を何本も読んで、学生時代の教科書を引っ張り出して日本の教育史について読んだり、今の日本の課題についてのニュース読んで、それを英語で話せるようにずっと家で練習していました。

 実際、サミット初日の朝もビクビクしていて、朝食も端っこで1人で食べていたんですが、これじゃあかん!と思い直し、部屋で顔を叩いて集合時間にロビーへ向かいました。

 そこで、カナダの先生とシンガポールの先生に、「日本の先生だね!君のストーリー読んだよ!」って言われたのがめっちゃ嬉しくて、やっと実感が沸いてきました。それでも、ネットワーキングで砂漠に行く時、車の中で、私以外の全員で各国の教育事情についての議論が始まってしまい、「やっぱ場違いだったんだ、次に車を降りたら隣のEddieに席を変わってもらって端っこに行こう」とか考えてました。

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 でもその後、車内カラオケを経て、クラスサイズの話や、授業の話でやっと話題に入れて、席の移動については考え直しました。笑

(そしてこの写真撮影後、デザートサファリで全員車酔いMAXに。。。)

 今振り返ると、人生の目標を見つけられた経験だったと思います。

 この賞に関する意見は様々ですが、世界のどこにいても、尽力している先生に光を当ててくれること、大学の教授とか学者でもなく、一介の教員だけど、社会の課題に向き合って真剣に取り組んでいる人たちにスポットライトを当ててくれる点が、素晴らしい部分だと思います。

 私にとって、一緒に過ごしたファイナリストは、みんなすごい人たちですし、同年代が多かったのも刺激的でした。

 彼らの背中を追って自分も学び続けようと思いますが、きっと追いつけないので、一生学び続けることになるんだろうな。

 いつかまた会える日まで、歩み続けようと思います。

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