昭和90年に生きる/1.散兵線の華と散れ-日本男児と令和、それから『堕落論』-(2)
もの書きの端くれとして作家の技術的な読み方をしても、やはり面白い。武士道と戦陣訓を比較しながら、突然、こんなふうに書き出したりしている。
『小林秀雄は政治家のタイプを独創をもたずただ管理し支配する人種と称しているが、必ずしもそうではないようだ。政治家の大多数は常にそうであるけれども、少数の天才は管理や支配の方法に独創をもち、それが凡庸な政治家の規範となって個々の時代、個々の政治を貫く一つの歴史の形で巨大な生き物の意志を示している。政治の場合於て、歴史は個をつなぎ合わせたもの