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初恋

今でもハッキリと覚えている。
ドキドキと恥ずかしさと彼を見ているだけでキュンっとする感覚。

突然の一目惚れ

それは突然だった。
私が11歳小学生5年生の夏休み明けの2学期の始業式。
夜更かししていた習慣が抜けず、
まだまだ眠たくて、ボーッとした頭のまま始業式で校長先生の話を聞き流していた。

ふと、視線を横に向けると斜め前に一筋の道が開けているように感じた。
その先に立っていたのは1学年歳下の男の子。
窓から差し込む日差しがより、その男の子の横顔を印象付けた。
映画のワンシーンのようにスローモーションのような時間が流れていたように感じたのを覚えている。
私が見つめ過ぎていて視線を感じたのか、振り返った彼と目が合った。
思わず視線を逸らした瞬間にドキって胸が痛くなった。
それから、気にしていなかったはずなのに廊下を通る彼が気になって目で追っている自分に気づく。
『あれ?もしかして好きなのかも』
これが、私の初恋の始まり。

好きなのかもって思っても、まだ11歳。
相手は1学年下で接点もないし、どうしていいのか分からずモヤモヤした気持ちを抱えながら季節は秋から冬に変わっていた。
ここで初めて、友達に好きな人がいることを打ち明けた。
途端に、キャーキャー盛り上がる友達に言わなきゃ良かったって後悔しても時すでに遅し。
すぐに廊下を走り出して、相手は誰かと探しに行く友達。
その後、あっという間に私が彼を好きだという話は広まり、彼の耳に入るのもそう時間はかからなかった。

きっと、彼からしたら寝耳に水だったろうな。(この表現あたってる?笑)
彼の周りでもその噂は広まって、私が彼の教室の前を通る度に冷やかされてる彼に何とも言えない罪悪感があった。
一度も話をした事もない年上の女子から、そんな事を言われてもってきっと迷惑だったろうなー。

バレンタイン

気持ちを伝えるには絶好の日!
バレンタインが近づいて、私よりも周囲がざわつき始めていた。
もちろん、私自身はこの日にちゃんと気持ちは伝えたいのと、いきなりこういう状況になってしまった事を謝りたかった。彼からしたら思わぬ巻き込まれ事故だもんね。

貯めていたお小遣いでチョコレートだけのつもりだったのに、彼に似合いそうなフード付きトレーナーを見つけて一緒にプレゼントしようと購入!
今になって考えると、付き合ってもいないのにいきなり服あげるって!おかしくて笑えてしまうけど、当時の私は真剣に似合うと思って頑張って買ったんだけどね♪( ´θ`)

一目惚れをしてから一度も話す事なく当日を迎えた。
どう渡したらいいものか、、考えれば考えるほど、だんだんと勇気がなくなっていく。
気持ちを伝えるというよりこの数ヶ月の出来事を謝りたかった。
休憩時間にトイレに向かうと、男子トイレからなんと彼が出てきた!!
とっさに、
「放課後、保健室前の校庭に来れる?」
って自分でもびっくりするぐらい落ち着いたトーンで彼に話しかけていた。
「うん」
とだけ答えて、私に背を向けて走り去って行った彼を見ながら、心臓はドクンドクンと爆発しそうに激しかった。
多分、しばらくトイレの前でボーッと立っていたのかチャイムの音も聞こえず教室に行く先生に
話しかけられて我に返って、トイレをさっさと済ませて教室に戻った。
もうその後のことはあまり覚えていない。

あっという間に放課後になった。
恥ずかしすぎるのと緊張で、逃げ出したくなるのを友人たちが励ましてくれていた。
彼は多分来ないかもしれない。。

そう思っていた時に友達3人を連れて現れた!
え?!なんで1人じゃないの?って思ったけど、私も友達と一緒だったから、友達に彼と2人だけにして欲しいって伝えて、彼の友達も引っ張ってその場を離れてくれた。

この数ヶ月騒がせてしまったこと。
好きだということ。
勝手に好きになっただけだから私のことも好きになって欲しいって思っているわけではないけど、でも好きになってくれたら嬉しい。
と伝えて、チョコレートと服を押し付けるように渡して彼の返事を聞かずにその場を走り去った。
翌日は恥ずかしくて、彼の教室の前を通れずに
わざわざ遠回りして教室に行った。

それから何もなく、私は気持ちを伝えることができて満足をしていた。
10日ほど経った頃、それは突然起こった!

全体朝礼での出来事

バレンタイン以降、何も変わらず私も彼も特に
アクションを起こすことなく何もなかったかの
ように毎日が過ぎていた。

全体朝会があって、全生徒が体育館に集まっていた時だった。
太陽の日差しが一筋の光となって、彼を照らすように道が開けていた。
それはまるで、私が彼を見つけて一目惚れをした時のよう!

しかも!!!私がプレゼントした服を着ていて、友達をお喋りしながら笑っている彼が私を見つけて目が合うと服を摘みながら笑いかけてくれた!
嬉し過ぎてたまらず泣き出した私に、騒然とする周囲。
担任が駆けつけて、どうしたの?て聞かれても泣いてる理由を話せるわけもなく、
「お腹が痛い」と言って、保健室へ運ばれてっ行った。笑

これが私の初恋。
あの後から、お互い話をすることもなく終わった。
これがお互い中学生だったら少しは違ったのかなー?
11歳ながら、私は人を好きになるのって楽しいけど同じくらい苦しいんだって分かった。
今でも、この頃の事を考えるとギューって締め付けられる。


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