不思議を解く旅

分からない。

最近の私は、分からない、を心の中で繰り返していたりする。この先の人生をどうしたらいいんだろいたとか、違う意味になるけど今から話すような人生で起こる不思議なことについて。


 わたしはどちらかと言うとしゃべらない方で、一人で出かける時、そこに話すは想定されていないはずなのに、話す。初めて会う、旅先で出会った人と話す。旅は旅と言えるものかしら、ただ少し離れたパン屋に出かけるという具合のものなのに。話す。わたしは口を開いて、店主に話しかけ、会話している。自分に対する思い込みは意図せずゆるやかに解けて(ほどけて)いく。
 通過するだけでなく、人と会う、話す。話の内容は主に人の話を聞く。だけどこれは思ったより不思議なこと。
 偶然に出会った、会いに行った、誰かの人生にわたしは耳を傾けている。つまり、交差する。ぴっと、その人にとっては手が触れるくらいの短いわずかぐらいかもしれないけど、交わった点の瞬間にわたしの中に違う人の人生が流れ込んできて、なんだか出会うことは必然のような気がしてしまって、戸惑う。たとえばわたしがはじめていくカフェに立ち寄らなければ、階段を登らなければそこで人と会うことはなかったから。
 

分からない。

 わたしは自分のことがよく分からないし、これからの人生もまだよく分からない。このままじゃ違う、と思っていることぐらいで、変えなきゃ、変わりたいって思っているくらいで。どう変わりたいかの達成した先の先輩には家で眠っているだけでは出会えなくて、ネットを眺めていた偶然ではなく。なのに逆にリアルからネットを追いかけたりする、不思議。

 

結びつく。

 わたしの想像力の触手は混線するので、動かないと絡まって自分の首を絞めつけるくせに、動けば少しずつ現実の中で具現化される、らしい。わたしの中には不思議が眠っていて、不思議は外に出ることでわたしを縛る結び目を解いて(ほどいて)いく。

 話を聞きたい人に会いに行く。気になったものの向こう側に存在する人に会いに行く、そういう旅を、わたしにとって大切な、今年の夏に繰り返していくのかもしれない。