見出し画像

キングサリの『ネ兎ねう』と『じゅじゅ』のこと (ネ兎ねう生誕祭 『禁じられた遊び』に添えて)

近日、推しのひとり『ネ兎ねう』の生誕ライブがある。

現在は『キングサリ』で活動している彼女だが、以前は『じゅじゅ』というグループで8年にわたり活動していた。今回の生誕ライブは、じゅじゅ最後のライブから丁度1年の節目となる。

彼女はじゅじゅの事を『自分の子供みたいな、たからもののようなグループ』と語っている。 前世 (過去のグループのこと) について特段隠してはいないどころかかなりオープンなのだが、かといって新しい目標を掲げて前に進んでいく最中に深々と過去の話ばかりしてもいられないだろう。

というわけで『じゅじゅ』と『じゅじゅのねう』の足取りを、いちファンの視点からかいつまんで纏めたのがこのNoteだ。

ネ兎ねう推しではない方には彼女を知るきっかけに、キングサリからネ兎ねうを知った方には、彼女と『たからもの』を共有するきっかけになれば嬉しい。

生誕チケット(3 /26)

誕生日当日イベント(3 /28)


キングサリについて

キングサリを知らない人のために、簡単に触れておこう。2022年4月30日にデビューしたアイドルユニットで、たいへん勢いのあるグループだ。楽曲への志向が強く、空想委員会さん、アーバンギャルドさんなど著名なアーティストから楽曲提供を頂いる。

『絶対売る』という運営の意気込みが熱く、楽曲の追加頻度もかなり高いほかMV公開やメディア露出の機会に惜しみなくリソースを投下している。直近では結成1年目の節目に向けた大きなフェスの主催なんかも行っている。


また最近では、楽曲提供を頂いているMOSHIMOさん所属のレーベル (Noisy) が送り出す新レーベル『Noisy IDOL』に、第一弾アーティストとして所属が決定した。

カラオケにも入っている。

YouTubeにもMVが豊富にアップされている。先日全曲入りのCDが発売されサブスクでも配信中なので、とりあえず聞いてみても悪くはないだろう。


じゅじゅとねう

『呪い』がコンセプトのアイドル

『じゅじゅ』は呪いがコンセプトのアイドルグループだ。現在の活動場所『キングサリ』にはメンバーごとに担当(肩書きのようなもの)があって彼女は"おまじない担当"なのだが、これもじゅじゅに由来する。

そもそもじゅじゅって何~JUJU?てひともいるかなと思うので説明するね!じゅじゅはわたしが2014年3月29日~2022年3月27日まで所属していた呪いがコンセプトのアイドルグループです✌️わたしの"おまじない担当"もここからきているよ😸呪い→御呪い→おまじない🔮

本人ブログより抜粋
https://note.com/nunuqn/n/na8b978b0fadc

じゅじゅは8年間続いた。時系列順に『2人時代』『3人時代』『4人時代』があって、最後の4人時代はほぼ5年続いた。『ねう』は2人時代からの、つまり最初期からのメンバーだ。彼女の誕生日が3月28日なので、じゅじゅは8年間ぴったりと彼女と歩んできたことになる。

呪いというテーマは『世の不条理や、嫉妬・妬み、インターネットの闇などを表現する』ものらしい (公式サイトより) 。お化けだとか死者の怨霊といった類ではなく、日常の生活に潜む酷い感情、あるいは人がもつ強すぎる執着といった類のものだろう。

呪いというテーマは、ファンの中でも特に人気が高い曲のひとつ『35席』の中に、色濃く感じられると思う。

公式MVがある中では、余談とブルーバックバウンダリー、それからノロイハジメも捨てがたい。

全曲合計で40曲程ある。ほぼ全ての楽曲がサブスク系サービスで配信されているので、興味があったら『じゅじゅ』で調べてみてほしい。

衣装は歴代いずれもゴシック調、ないしドール風味が強い。(筆者が直に見たのは4人時代のみのため、曖昧さ回避のためそちらの参考画像のみに留めさせていただく)


4人時代のアー写その1 (時系列順)
4人時代のアー写その2 いずれも一番左側の人物が『ねう』だ
4人時代のアー写その3
4人時代のアー写その4

あるいはキングサリで『おまじない (呪い) 担当』という肩書を背負う事こそ、じゅじゅの事は未練タラタラだし風化させたくなはい、無かったことにはしたくないという "強すぎる執着" そのもの (= じゅじゅのテーマの"呪い"そのものの化身) と言えるのかもしれない。そんなふうに捉えて、彼女がステージに立ち続ける限り『じゅじゅ』もまた彼女と共に生き続けているのだ、と私は思っている。

実際キングサリをきっかけにネ兎ねうを知り、ネ兎ねうをきっかけに "じゅじゅ"を知った、というファンも増えてきているのだから。

『これからもじゅじゅを守っていく』という選択を出来なくてごめんなさい。

その時が来てしまった、そんな感覚です。

全然上手く言葉に出来ないな、伝えたいことがあまりにも多すぎる。

本当はじゅじゅを終わらせたくない、本当に、未練タラタラです。

『じゅじゅ全メンバー卒業・現体制終了のお知らせ』本人コメントより抜粋
https://www.jyujyu.info/post/20220110

キングサリからわたしを知ってくれたひとが「最近じゅじゅの曲聴いてるんだ~」とか「ライブDVD観たよ!」って言ってくれることがちょこちょこあってそれがすごく嬉しかった

わたしに興味を持って過去まですきになってくれるひとがいるという事実、わたしが活動している限り何も無かったことにはならないんだなあって感動しちゃったよね

本人ブログより一部抜粋
https://note.com/nunuqn/n/na8b978b0fadc

思い出を過去のものとせず、大切にしながら前へ前へと進んでいける強い人。私の目に映る『ネ兎ねう』は、そんな人物だ。

アイドルになった動機

アイドルになったきっかけは『自分のことをたくさんの人に覚えていてほしいから』らしい。曰く「私が死んだら誰も私の事覚えててくれないじゃん」とのことで、単なる承認欲求では片付けきれない含みがある。

思い出させるきっかけの仕込みにも事欠かない。じゅじゅからのメンバーカラー『紫」はもちろんのこと、バニラの香水を使い続ける、割り箸がきれいに割れない』ことを印象付けて自分を想起させるネタに使う、ねぎしの器の底にある『ね』が映ったストーリーをインスタに上げることで『ねぎしを見ると自分を思い出してしまうフック』を仕掛ける...など、なりふり構わない姿勢も昔から変わらず一貫しているようだ。

「(自分の事を) みんなに忘れてほしくない!」という動機は伊達ではない。

じゅじゅのねう

筆者が現場(ライブハウス)に足を運ぶようになったのはかなり後半の事のため、ここに綴るのはじゅじゅ最後のライブに向かていく中での『じゅじゅのねう』像になる。

キングサリではステージ・トーク共にガチ恋製造機としての才能を遺憾なく発揮するキャリアの長さに裏打ちされたパフォーマンスとちょっぴり毒のある素振りで男心をつかんで離さない彼女だが、じゅじゅの時は今とは全く異なるキャラクターだった。今の姿からは想像できないが『公としては一切私心を晒さない、お人形のような』人だった。

司会進行役を務める『大人』であろうと努め、MCなどでは一切自分を出さない人で、ステージ上での彼女は『じゅじゅ』としてのコメントのだけを口にした。刻一刻とじゅじゅ最後の日が近づいていっても、その姿勢を崩すことは一切なく、特典会で話さなければ彼女の人格が全く見えてこないと言っても過言ではない程だ。今とはまったく正反対の姿である。

ただこれは、自身で狙ったキャラクターではなくて、じゅじゅというグループを支えるためにグループの中でのでの『ねう』の立ち位置を優先した結果だろう。じゅじゅには『この人がグループのリーダー』というような取り決めはなかったが、彼女がその役割を担う事は多かった。

単に芸歴が長いことに加え、最初期からのメンバーであったこと、更には最年長のメンバーでもあったから、自分がやらなくては、という責任感からの振る舞いだったと思う (後に 『自分が最年長だからしっかりしなきゃ、大人にならなきゃ』と気を張り詰めていたことを回想している)。

唯一『メンバーのねう』として口を割ったのが、じゅじゅとしては最後の生誕ライブと、じゅじゅ最後のライブの2回だ。その時でさえ、一度はとりまとめ約としての言葉だけで締めくくろうとした。

生誕ライブでは『最高のじゅじゅをみてもらいたかった!』と一度締めくったし、じゅじゅ最後のライブではメンバーひとりひとりが泣き崩れながら思い思いの言葉を語る姿に触発されて、ようやくグループ最年長のとりまとめ役ではなく『"ねう"が言わなきゃいけないこと』として、ファンへの気持ちを爆発させた。

一転して、キングサリの活動については『わたし自身が楽しむことを大切にしている』と語っている。実際MCなどで自由に振る舞う姿はとても楽しそうである。その点において彼女は『呪いから解放された』し、何より当人が楽しんでいる姿ほど魅力的なものはないのだ。

ただ、文字通りじゅじゅの呪いから解き放たれ、メンバーが新たな未来へとつながるのであればと思い、協議を重ねた結果このような運びとなりました。

『じゅじゅ全メンバー卒業・現体制終了のお知らせ』プロデューサーコメントより抜粋
https://www.jyujyu.info/post/20220110

『ねう』の素顔 (詳しく知りたい人向け)

ここから先は、より深く彼女のことを知りたい人向けの内容だ。

昨年(キングサリ結成年)は、『ねう』個人でのラジオ・トークイベント出演の機会が多かった。キングサリ結成の年であると同時にじゅじゅの解散の年でもあるから、その辺りが多く語られている。現在でも視聴できるものから2つ紹介しよう。

裏でびラジ vol.54

Devil ANTHEM.マネージャーの佐藤海人さんを中心に様々なトークをするラジオに、ネ兎ねうゲスト回がある。キングサリの『ネ兎』になってからの事はこちらのラジオでのトークが詳しい。一時間弱と長くはない配信の中で、加入までの経緯からキャラづくり、運営にまつわる裏話などまで赤々と語られている。

裏でびラジ vol.54 ゲスト:ネ兎 ねう(キングサリ) https://stand.fm/episodes/62ecd305ea21d5242a15b3bb
*キングサリの『天神・大天使・閻魔ちゃん』もレギュラーとして出演

キングサリ加入の経緯 (3:10 ~ )

内部でじゅじゅの解散が決まってから、矢継ぎ早に決まったらしい。11月頃に『天神・大天使・閻魔ちゃん』がアンスリュームから移籍する形でキングサリ結成が決まった事を聞きつけ、閻魔ちゃんの事が好きだったことや楽曲提供アーティストに『アーバンギャルド』さんがいることなどがきっかけで興味を持ったそうだ。話を聞きたいんですけど、と言ったら入るならいいよ、今決めて、といった具合でとんとん拍子で加入が決まったとのこと。

キングサリのネ兎になってからのキャラづくり (16:30 ~)

じゅじゅとキングサリでは楽曲の方向性が全く違う。当然ターゲットも異なり、対バン相手 (同日同会場でライブをするグループの組み合わせ) も異なる。そうなると「今までやってきたことが通用しない」という事が起こるようになった。そうでなくても(キングサリというグループの中で)自分はどういう見せ方が一番いいのだろう、キングサリのネ兎になるにはどうすればいいのだろう、とかなり苦心していた様子がうかがえる。

メンバーについて (10:40 ~ 13:35)

メンバーをはじめ周りのことをよく見ているんだろうなという節はじゅじゅの頃から無数にあるが、その姿はラジオ内でも存分に披露されている。

海人さんからの『実は閻魔ちゃん...みんなにこう言われてるよ、とかある? (笑)』という失礼極まりない際どい振りの返しに「閻魔ちゃんがいるよって分かってて集まったメンバーだから、基本的にみんな閻魔ちゃん大好きっていうのは感じる」「嫌だったら絶対入らないし」と非の打ち所がないコメントを返した。

追撃で『(閻魔ちゃんの)リスペクトポイントを聞きたい。特に、さりげなくフォローしてくれる、みたいな裏側の見えないところ』という普段から見ていないとありきたりな答えしかできずボロが出てしまう非常に意地の悪い本質に迫る振りにも「閻魔ちゃんって言いたい事を言えるタイプのアイドルさんだからそういう所を他のメンバーも憧れてたりリスペクトしてる部分はあるし、私も"閻魔ちゃんとしてあるべき像"が自分の中にあるところすごい良いなっていつも思っているし、感銘を受けているよ」と5億点満点の回答を見せた。

周りをよく見ているという点についてはこの話題を振られた時点で、メンバーの閻魔ちゃんから「ねうは結構いいやつだし周り見てるからこういうのホイホイ出せる (からぼろが出なくてネタとして面白くない)」と突っ込まれている程だ。普段からほんとうによく見ているのだろう。

ねうるーむ vol.30

じゅじゅ最後のライブ直前に、彼女の個人企画での配信があった。ラジオ形式の配信で、お便りを読んだり質問に答える中で彼女の素顔や「じゅじゅでの8年間」を感じ取れる内容だ。今も全編が公開されているので、興味があればこちらから視聴できる。

ただそれなりに長い動画だし当時のファンにしか分からないネタも少なくはないので、幾つかをかいつまんで紹介しよう。

素の部分 (1:10:20~1:14:30辺り)

とりわけ印象深いエピソードに、じゅじゅデビュー初期の回想がある。今の姿からは想像もできないが、デビュー当時の動画などでは下を向きがちだったらしい。

「かわいそうになってくる。自分が。あまりにも下向きすぎ」と語りつつも、直後に「いやあでも、そんな私が今やキネマ倶楽部で生誕をさせてもらって、このセトリでやりたいですって言って、一人でアネモネ*を歌い、ひとり (だけ) 違うワキ全開の衣装*を着て、あんな感動的なMCが出来るスーパーアイドルになるなんて誰が思ったことかっていうね」と談笑する姿に、彼女の8年間を感じられる。

一方で「(ソロ活動の時に) すぐ不安になっちゃうからさあ、しかもソロ踊らないから胃をずっと抑えながら下向いてて可哀そうだよねえ。なんかステージに立たされてる感出ちゃうよね。好きで立ってるくせに(笑)」 とも語っている。

万全に準備した事には自信を持って臨めるが、不慣れな事にはすぐ不安な素振りが出てしまう、というのが彼女の素顔なのかもしれない。

*アネモネ…じゅじゅ楽曲のうち比較的初期の曲。
*ワキ全開の衣装…じゅじゅ最初期『2人時代』の衣装のこと。

じゅじゅの活動を通じて (1:15:30~1:20:30辺り)

『(じゅじゅとしての) 活動を通して思い出に残っている事』と『各メンバーについて、ここが成長したなと思うこと』という質問に答える中で、まわりを注視している彼女らしさが垣間見える。

じゅじゅの思い出については「全部」「思い出っていうか人生」「思い出なんかありすぎて何がとかは言えない。全部思い出です」とコメントしている。グループ解散が発表された折の卒業コメントでも『伝えたいことがあまりにも多すぎる』と綴っていて、それに重なるものがある。

全然上手く言葉に出来ないな、伝えたいことがあまりにも多すぎる。

本当はじゅじゅを終わらせたくない、本当に、未練タラタラです。

それでもみんなが、わたしが、前に進むためにはこの選択が一番良いんだろうなあ、と、思う。きっと。

『じゅじゅ全メンバー卒業・現体制終了のお知らせ』本人コメントより抜粋
https://www.jyujyu.info/post/20220110

各メンバーの成長にはそれぞれ (加入時と比べて) ここが特に変わったな、という部分を彼女の視点から振り返っている。

(みんな) ダンスと人間力が成長したとグループ全体の活動を振り返り、最後は『みんな自分の良さを じゅじゅの活動を通して、自分はここが推しなんだな、強みなんだなというのを見つけられてると思います!』と締めくくった。

後述するでびラジでも語られているが、メンバーはもちろん、人や周囲のことをよく観察しているのだろう (だからこそ、じゅじゅでは『大人』として振舞おうと努めたのだろう)。


自身の成長については「大人になった (笑) 自分じゃわからないよねー」と茶化しつつ、すごい喋れるようになった事と語っている。『大人になった部分』についても語られているのだが、こちらはぜひ動画内で確認してほしい (1:19:18 ~ 1:20:25)

『じゅじゅ=ねう, ねう=じゅじゅ』 (1:29:35 ~ 1:31:30)

実は『じゅじゅ』は彼女の誕生日の翌日に始まり、彼女の誕生日の前日に最後のライブを迎えた。だからぴったり8年間、彼女と共に始まり、彼女と共に活動を終えたグループという事になる。そうでなくても、8年間じゅじゅのメンバーとして立ち続けたという文脈から『じゅじゅ = ねう』とイメージするファンも少なくはない。

活動中、特段そういう意識は本人にはなかったようだが「 (じゅじゅ=ねう とは思ったないけど) 何かの因果でそうなっているから、ねうちゃんがじゅじゅ自身・じゅじゅそのものだって (グループが終わると) 決まってから思うようになった。 まあ偶然なんですけど(笑) 」と笑いながら語った。

じゅじゅ最後の日が彼女の誕生日前日となったのは全くの偶然らしいが 「そうなる運命だったんだと (私が) 思った」とコメントしている。

『忘れないでほしい。じゅじゅの事を』 (1:32:15 ~ 1:33:45)

アイドルを始めたきっかけと『アイドルとしての人生』の一編、じゅじゅについて回想している。

アイドル (人前に出る活動) を始めた大本の理由は 「私が死んだら、私の事だれが覚えててくれるんだろうって思い始めて、多くの人の記憶に残りたいと感じたから」らしい。経緯には人付き合いが少なかったことや「生きてても (自分の存在が) 忘れられちゃう」ことがあるそうだ。勉強・仕事・インターネットと情報に溢れかえる世の中だから、自分の存在が忘れられてしまう、というのは誰しも感じたことがあるだろう。

多くの人の記憶に残りたいという罪深い欲望以上に、自分の存在が忘れられてしまう哀しさをよく知っている。

だから彼女は、自身の『生きた証』をファンに刻むとともに、一人ひとりのファンが生きた証を自身の中に写し取っていく。アイドルという職業は、まさに彼女の天職なのだろう。

じゅじゅの事を忘れないでください。 私の人生を。

人生は、まだ続いてゆく。

*

来る3月26日に、現在活動している「キングサリ」での彼女の生誕ライブがある。じゅじゅ解散からちょうど一年という節目となるこの日もまた、彼女の人生の1部だ。

特別な1日に、あなたも足を運んでみてはいかがだろうか。

生誕チケット(3 /26)

誕生日当日イベント(3 /28)


(おまけ) : Spellの歌詞に重ねる『じゅじゅのねう』から『ネ兎ねう』へ

彼女が現在身を置く『キングサリ』には、Spellという楽曲がある。
Spellはキングサリ最初期からの楽曲のひとつで、デビューライブの最初の演目でもある。

言い換えれば彼女が「アイドル」として再びステージに立った日、いちばんはじめに披露されたパフォーマンスだ。

そのSpellには何の因果か、じゅじゅラストライブでのみ披露された楽曲と呼応する一節がある。じゅじゅの最後のライブには、その場でだけ1回きり披露された『走馬灯』という特別な楽曲がある。歌詞に『次も君を照らす光になるから』という一節があり、『じゅじゅのねう』として彼女が最後に綴ったテキストも、この一節を引用したものだった。

対するキングサリの始まりを飾ったSpellには『魔法をかけた もう大丈夫』という一節がある。

最後に語られた『次も君を照らす光になるから』にこたえるかのように、新たな幕開けは『魔法をかけた もう大丈夫』というフレーズと共に始まった、というわけだ。キングサリお披露目ライブでのこの力強さはいくら語っても語り尽くせない。

自分と同じ "大切なたからもの" を失くしてしまったファンを、自分が引っ張って未来に連れていこう。キングサリのデビューライブは、そんなやさしくて力強い愛情を感じた日だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?