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地歌 船の夢 歌詞 単語検索 3 (後半)

歌詞の続きの単語を調べていきます。

流れ渡りの 船の内
それも浮世(うきよ)ぞ帰るには

● 流れ渡り … 成り行きにまかせて暮らすこと。
● 船の内 … 船に戻って中に足を一歩入れた、としました。
● 浮世(うきよ) … 現世、この世。楽しむべきこの世、享楽の世。
● かえる … 元の所・状態に戻る、帰る。
★ 船の内にかえるならば、流れ渡りの暮らしも現実なのだ、と思わなければならないが、となるかと思われました。

しかじとなきて 時帰鳥(ほととぎす) 

● しかじ … 〜に勝るものはあるまい、〜に及ぶまい
★ (逢瀬のもたらす楽しい時間にこそ)まさるものはない、とほととぎすも鳴いて、となるかと思われました。

行衛(ゆくえ)いづくと白波(しらなみ)の
夜のむしろに思ひ寝の 夢を現(うつつ)に驚かす
風は涼しき楫枕(かじまくら)

● 白波(しらなみ) … 白く立つ波。盗賊。
● むしろ … 藺(い)、藁(わら)、蒲(がま)、竹などで編んでつくった敷物の総称。
● 思ひ寝 … 思い続けながら寝ること。
● うつつ … 現実、現世、実在。正気。
● 驚かす … 目をさまさせる、起こす。気づかせる、注意をうながす。驚かせる、びっくりさせる。
● 楫枕(かじまくら)… 船の中で寝ること。船路の旅。
★ 白波(にのって自分の人生)はどこに向かうのかと、思い続けながらむしろに寝ると、涼しき風に夢から覚まさせられる、船中の夜。となるかと思いました。

〈全体訳〉

こがれこがれて、異性との出会いを得る
男女として楽しむ胸中に
世間の目など何のその
遠慮することなどあろうはずもない
うれしく過ごす時間になじんで
流れ渡りの船にまた戻らねばならないとき
これもまた現実なのだと思うけれど
ほととぎすの声が聞こえた時
まさるもののない逢瀬の楽しさを
思いかえす
白波の流れとともに
自分の人生はどこに向かうのか
そんなことを思い続けて
むしろに寝ると
風のすずしさに夢から目を覚ます
船中の夜

最後に、歌詞の意味を調べるなかで
矢木敬二師の演奏・歌をきく機会が得られて
本当によかったと思っております。

地唄FAN (矢木敬二師の演奏・歌が聞けました)https://jiuta.at.webry.info/200907/article_3.html


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