見出し画像

大学病院2人目の主治医、M医師のこと【後編】


地元の総合病院で、
「ここでは詳しい検査ができません。大学病院へ行ってください」

と言われた時は瞬時には受け止めきれませんでした。
大ごとになってしまったな、、困った、、、
遠いし、これからどうなるの?どうしよう? 汗、汗、、

その場で看護師さんが大学病院と連絡をとり、予約の日を3つ提示されて、咄嗟にいちば~ん遅い日を選んだ私。日頃なんでも決断が遅く、なるべく問題を先延ばしにする悪い癖が、こういう肝心な所でも出ます。

だけどね、もし他の早い日を選んでいたら、後にM先生にもヴァイオリン弾きの先生にも会えていなかったかもしれないな。

人生何が良いか悪いかなんて本当にわかりません。


さて、前の記事で書いた大学病院内分泌内科のM先生の話の続きです。よろしければ、しばらくお付き合いくださいませ。

副甲状腺機能亢進症の根本治療のため、さんざん迷った結果、手術を受けることを決めた私でしたが、併診していた内分泌外科での検査で、副甲状腺のすぐ側にある甲状腺に「画像上良性」の腫瘍があることがわかります。

外科では合わせて切除することをすすめられました。

しかし私は何故かとっても心も体もザワザワして、答えられませんでした。

おすすめであって必須ではない。
問題は、万が一腫瘍が将来大きくなったり悪さをしたりした場合に、頸部の同じ場所を再び開けるとき出血のリスクが上がる、ということでした。

そのリスクは素人の私でもわかるけど、、、
せっかくやっとの思いで手術を受けようと決心ができたばかりなのになんてこった、やれやれ。

またまた宿題を持ち帰って悩む日々でした。考えれば考えるほどイヤな気分になってきます。大きさ的には手術適応ではなくて観察してよい大きさなのですが。せっかく開いたからついでに取る、という理屈もわからないではないのだけど。
頭で理解しようとすればするほど心が置いてきぼりをくらってどんよりするばかり。

それぞれの科には独特の雰囲気があって、外科には良い意味でビシッとした厳しさがあります。瞬時の判断、決断、実行を繰り返し求められる手術などのお仕事からくるものでしょうか。
のんびりだらりんとした私には少々刺激が強すぎたよう。

次のM先生の診察の際、迷いを聞いてもらいました。受け止めてもらえただけでほっとしました。会話に「間」があることがこんなにほっとするなんて。

外科と私のどちらの肩を持つということはありません。考えていると苦しくなってしまう私の心情に、ただただ寄り添ってくれました。

そしてもともとの副甲状腺の手術をすることで良くなるイメージをたくさんすること。
疲れやすさ→軽減
骨がこれ以上カルシウムをとられることがなくなる。
腎臓が頑張りすぎることもなくなる。
頭痛→減るかも

そして次回の外科の前に、ここ内科でお話して落ち着いてから行きましょう、と、次回から予約を外科と同日にうまく組み込んでくれました。

うう、感謝。
M先生とお話していると、自分の軸が整います。頭のなかも整理されてきます。

家に持ち帰り、良いイメージを持ちながら生活していると、これまで長年お世話になった自分の体に対する感謝が湧き、取ることに決めたひとつの副甲状腺に、いままで働いてくれて本当にありがとう。働きすぎて疲れたね、切ることになってごめんね。ありがとう。と話しかけ続けて過ごしました。
そして迷う甲状腺に対しても何かと話しかけながら過ごしました。

そして、甲状腺は残そう、という結論に行き着きました。まだ起こってもいない未来の恐怖に心を囚われて過ごすのをやめよう。
決めたら明らかに身体が楽になりました。
けしてひとりで決められたわけではなく、家族の理解と、2人の友人のあたたかいアドバイスもいただいて。


自分の軸が整うと面白いもので、物事がスムーズに動いていくものですね。
おかげさまで手術に向けての検査や準備も進み、感謝と感動の手術、入院生活が無事に終わります。
私にはこの入院体験が本当に必要であったのだとはっきり思います。手術を担当する外科の先生方の真剣で壮絶な生活ぶりに接して圧倒されました。厳しさの奥にある深い愛にも触れました。入院手術のことはまた機会があれば書いてみたい気もしますが、成り行き任せといたしましょう。

術後約1年間の経過観察ときめ細かいご指導をいただき、支えてくださったM先生。


異動は本当に悲しかったけど、次の病院でもたくさんの患者さんが救われるに違いないと思ったとき、私はもう充分過ぎるほどいただいたのだ、と急に胸に満ちてくるものがありました。

どうかお元気で。
お互い頑張りましょう。
ご縁があったらまたお会いしたいけど、ご縁がない方がいい。病院って悲しいかなそういう所ですね。

そんなお話を交わしつつ。

ちょうど1年前の、春の日でした。


長い長いお話に最後までお付き合いいただいて、本当にありがとうございました!m(_ _)m















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?