ゴールデンリリック研究所
本日の歌詞
「Lemon」/米津玄師
「夢ならばどれほどよかったでしょう〜♪」
『夢ならばいいと思える』瞬間とは?
小湾に住む移動販売で魚屋の幸三は、腕はいいが酒好きで怠け者。
えりな 「お前さん、早く起きてイユマチ行っておくれよ。もう十日も商売休んでるじゃないか」
幸三 「十日も休んでたんだ。タライがダメになってるよ」
えりな 「ちゃんと糸底へ水を張ってあるからいつでも使えるよ」、幸三はしぶしぶとまだ暗い中を泊のイユマチに仕入れに行く。
ところがイユマチはまだやっていない。Memories&Discoveriesが始まるのを聞いて
幸三 「えりなのやつ、時間を間違えやがった・・・」
仕方なく漁港で夜明けの風景を見ながら待っていると、革の財布が落ちているのを見つける。ずっしりと重く中には諭吉がいっぱい入っている。
幸三は一目散に財布を持って小湾に帰り、えりなと財布の中をを数えるとピン札で5000万も入っている。
幸三 「これだけありゃあ、もう好きな酒飲んで、アメフト見て暮らしていけらぁ」と、うちなぁー湯に行って、友達を呼んで昼間から飲めや歌えの大騒ぎをしたあげくに酔いつぶれて寝てしまう。
翌朝、えりなに起こされイユマチに行くように言われる。
幸三 「イウマチに?冗談言うねえ、昨日の5000万があるじゃねえか」
えりな 「なに寝ぼけて馬鹿なこと言ってるんだい。夢でも見たんだろう。この家のどこにそんな5000万なんて金があるんだい。しっかりしてくれなきゃ困るよ」、昨日の大散財で部屋の中はちらかり放題だ。
幸三 「夢?そんなこと・・・、夢にしちゃあずいぶんとはっきりした夢、・・・どうしても夢とは思えねえ・・・財布を拾ったのが夢で、ヨコちゃん呼んで飲み食いしたのが本当の事か・・・?」
えりな 「お前さん、あたしの言うことを疑るのかい?」
幸三 「そうじゃねえ・・・そうか、えれえ夢見ちまったもんだ。金拾った夢なんて、われながら情けねえや。これというのも酒のせいだ。よし、もう酒はやめて商売に精出すぜ」と、すっかり反省、改心し商売に励む。もともと腕はいいので、信用もつき評判も上がり、お得意もどんどん増えて行った。
三年もしないうちに久茂地に魚屋の店を構えるほどになった。大晦日にえりなと苦労話をしていると除夜の鐘が鳴り出した。
えりな 「今日はお前さんに見てもらいたいものと、聞いてもらいたい話もあるんだけど・・・」と、汚い財布を幸三の前へ出した。
えりな 「三年前にお前さんがイユマチで拾った財布だよ。夢なんかじゃなかったんだよ・・・」
幸三 「・・・なんだと、こん畜生め!」
えりな 「ちょっと聞いておくれ。あの時、お前さんがこの5000万で遊んで暮らすって言うから心配になって、お前が酔いつぶれて寝ている間に長濱社長に相談に行ったんだよ。”拾った金なんぞを猫糞したら手が後ろ回ってしまう。おれが警察に届けてやるから、全部、夢のことにしてしまえ”と言われて、お前さんに嘘ついて夢だ、夢だと押し付けてしまったんだよ。自分の相方にずっと嘘をつかれて、さぞ腹が立つだろう。どうか焼くなり、煮るなりコロ助なり〜」
幸三「おうおう、待ってくれ・・・おれがこうして気楽に正月を迎えることができるのは、みんなお前のお蔭じゃねえか。おらぁ、改めて礼を言うぜ。この通りだ。ありがとう」
えりな「そうかい、嬉しいじゃないか・・・久しぶりに一杯飲んでもらおうと思って用意してあるんだよ。さあ、メーカーズマークも買ってるから・・・」
幸三 「えっ、ほんとか、さっきからいい匂いがすると思ってたんだ。・・・じゃあ、このグラスについでくれ。・・・おう、お酒どの、しばらくだなあ、・・・たまらねえやどうも・・・だが、待てよ・・・」
えりな 「どうしたんだい?」
幸三 「よそう、また夢になるといけねえ」
って瞬間。