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※これは妄想小説です。私の勝手な妄想から生まれたものです。 苦手な方、不快に思われる方にはオススメしません。 -- ソクジン 6年前 春 -- ここが明日から働く場所。 柔らかな春の日差しの下、ガードレールに腰掛け、ビルを見上げる青年がいた。 彼の名前はキム・ソクジン。 まだ、あどけなさが見え隠れするその顔は、木漏れ日と明日からの希望で輝いていた。 ふと、目の前を通る女性が、携帯電話をカバンから取り出そうとした時、一冊の本がするりと歩道に落ちた。 ソクジンはガー
-- 現在 -- 明日のプレゼンの資料 最終チェックしていただきたいんですけど 時間よろしいですか? そう声をかけてきたのは、チームリーダー最年少のソクジン。 私は、新しく構築される社内システムプロジェクトのプロジェクトマネージャー。 このプロジェクトが始まって1年。 明日のプレゼンが通れば、ようやく次のフェーズに進める。 左手の腕時計を確認する。 大丈夫だ。次の予定までまだ時間はある。 わかった。 じゃ、会議室おさえて、それから 彼は、大きな
-- 現在 -- ミーティングが始まる。 アイスブレイクも彼の得意分野だ。 おやじギャグで場を和ませ、他人の意見を上手に引き出す。 褒めることはあっても、けっして意見を否定しない。 ファシリテーターとしても有能。 ふと見ると、彼の耳が赤くなっている。 注目されると赤くなるらしい。 有能さとのギャップ。 そんなところも、好かれる理由の一つなのかもしれない。 無理にでも、リーダーに引っ張ってきてよかった。 若いからと反対する声があったのも事実。 彼の仕事ぶりを見るたび
-- ソクジン 5年前 夏 -- ソクジンは社長室にいた。 「仕事は慣れたか?」 「困ったことはないか?」 社長からの質問に、ソクジンは丁寧に答える。 「そろそろ、いいんじゃないか?」 「いえ。僕はまだ未熟ですから。 まだまだ努力して、立派なところをお見せできるように頑張ります。」 ソクジンは深くお辞儀をして、部屋を出た。 -- 現在 -- 終業を知らせるチャイムがなる。 約束の時間まではまだ余裕がある。 飲み会の日の独特の忙しない空気感が、周囲から汲み取れ
-- 現在 -- 乗ってください。 顔を出した彼が言う。 大きく出した片手を振りながら見せる笑顔は、母親に向ける子供の様だ。 断る理由も見つからないまま、私は助手席のドアを開け乗り込む。 かすかに漂う香りは、車の芳香剤かソクジンの香水か。 嫌いじゃない。 驚かせました? 正面を見たまま、いたずら好きの少年のような笑みを浮かべる。 どう言う事? 私はゆっくりと聞く。 2人っきりで話したかったんです。ヌナと。 ヌナ。 ソクジンの口から初めて呼ば
-- ソクジン 2年前 春 -- 春から、新しいプロジェクトが始動する。 そして、そのプロジェクトマネージャーを彼女がやる。 彼女の席が、島から離れ上座になる。 女のくせに。 上の人とできてたりして。 全ての人がそうではない。 ごく一部の人が言っているだけだが、ソクジンの耳に嫌な言葉が入ってくる。 今時、そんなこと言うのはナンセンスですよ。 ソクジンは、怒りを抑えつつ、笑顔で告げる。 罰が悪そうにそそくさと散る人達。 そんな頃、ソクジンがそのプロジェクトチームに
通された場所は、この街の夜景が一望できるレストランのVIP席だった。 窓の下に揺らめく街の灯。 こんな風景を眺める事ができるなんて…。 やることなす事、全て面食らう。 もう、理解の範疇を超えていて、この状況を楽しもうと言う気持ちになってきた。 椅子に座り大きく深呼吸をする。 ソクジンは相変わらず浮かない顔をして、目も合わせようとしない。 私はテーブルを2回、コツンと叩いた。 ソクジンが、顔を上げる。 捨てられた子犬の様だ。 ちょっと質問していい? ここって
ヌナ。 今から話す事は、誰にも言ってはいけません。 手のひらをひらひらと動かしたり、時には手を重ねてみたり、ゆらゆらと体を揺らしながら。 さっき、ヌナが心配してくれた ここの支払いのこと。 全く気にしないでください。 僕は、ここのホテルの所有者なんで。 と、言っても経営は人任せですけど。 本当に。 今夜は何があっても、もう驚かないと思っていたけれど。 私は、背もたれにもたれかかっていた体を、勢いよく起こした。 ワインを口に含んでいなくてよか
どうすればいいか。 僕に一つ提案があります。 手を下ろし、太ももの上に置き、姿勢を正すソクジン。 真っ直ぐに私を見つめる。 ヌナ、僕と結婚しましょう。 きっと私は、鳩が豆鉄砲を食ったような、を絵に描いたような顔をしている。 もしくは、口をあんぐりを表現させたら右に出るものはいない顔をしているはずだ。 私はあなたより7つも年上なのよ? ありえない話はやめてちょうだい。 そう、7つの歳の差。 ソクジンは28歳。私は35歳。 これが逆なら理想的だっただ