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考察ノート:大規模言語モデルは(ガンダムシリーズの)サイコフレームである

単なる思い付きである。この考察は時機を見て適宜更新する。

最近の大規模言語モデル(LLM)の、素晴らしい性能を見るにつけ、その性能を発揮するメカニズムは依然ブラックボックスとして取り扱われている。それをガンダムシリーズのサイコフレームに当てはめてみた。

ユニコーンガンダムの「全セリフ集」から一部引用させていただいた。


サイコフレームとは

そもそもサイコフレームとは、ガンダムシリーズに出てくる技術であり。

サイコフレームとは、モビルスーツ(MS)のフレーム(内部骨格)に組み込まれた特殊な素材で、パイロットの精神波(サイコミュ波)を感知し、それをモビルスーツの動作に反映させる技術です。これにより、パイロットの意識と機体が高度にリンクし、MSの機動性や反応速度が飛躍的に向上します。

ChatGPT,2024.9.8

というものである、最初に、「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」(UC 0093)に登場し、主人公アムロが搭乗するνガンダムのサイコフレームが、彼の強い意志と結びついて未知の力を発揮し、そしてそれは宇宙空間にいる敵味方関係なく共鳴し、さらには、地球にある人間の思念のようなものをかき集めることで、巨大な力となり、巨大なアステロイド「アクシズ」を押し返すという奇跡的な現象「アクシズ・ショック」を引き起こす。

ユニコーンガンダム(UC)では、アナハイムエレクトロニクスの技師アーロンが、以下のように説明している

「ユニコーンにしても、NT-D発動時に装甲から露出したサイコフレームが発光しているように見えますよね? あれ、なんで光ってるのか造った我々にもわからんのです。しかもそれは時に物理的なエネルギーにも転化し得る……あぁっ、戦闘記録は観ていませんが……一方的な戦い方だったんじゃないですか?」

episode3「ラプラスの亡霊」

さらに、ユニコーンガンダム(UC)では、終盤でのバナージとユニコーンガンダムが見せる力は、物理的な次元を超えた「人の意志の力」の象徴として書かれている。

サイコフレーム=大規模言語モデル

作ってみたけど、なんでその性能を発揮しているか、専門家にもよくわからないけども、有用であるというだけで、開発が進み、使われ、想定外の性能を発揮し続けている。そんな技術の使い方って、大規模言語モデル登場以前には、考えられなかったんじゃないかな。まさに、SFの世界である。

そして、人の精神波(サイコミュ)を感知して、それを力に変える。まさに人が作りつづけた文章という、精神の記録を大量に使って、それを力に変える、さらに基本的な仕組みはエンジニアリングできる範囲のものだけども、大量の記録(精神の軌跡)が組み合わさって、非線形な性能を見せ、人の想像の範囲を軽々と超えてゆく。。これはサイコフレームなのだ。

「アクシズショック」にあったように、過去からさかのぼる全人類の記録が、LLMという物理的な形をとるが、おもわず、「何か」を彷彿させるような期待以上の性能を示し続ける。

チャットというインターフェイスがナイスだった

ChatGPTは、チャットというインターフェイスをとることに、それが広がる契機があったのだと思う。なじみやすさ、質問への回答というシンプルな使い方、壁打ち的に使うなど、人間を補助する機能が便利なんじゃなかったんだろうか。

でも、一方向なチャット利用にとどまり、多くの人は、飽きてしまった、あるいは思い通りに使えない印象が重なり、そして、忙しい日常に埋没させてしまってはないだろうか?本当は変わるべき、いや変わるチャンスを提示されたのは、自分自身なのに。

最先端のLLMは、カーネマンのいうシステム2思考の性能を持っているように見える。プロンプトでこれを引き出すために、例えばCoT(Think Step by Step)などを使う。CoTの性能をブートストラップ法を用いて、爆上げしたOpenAIのStrawberryが、人間並みの能力を持つというのはそうだろう。

チャットにより、LLM側も相手のレベルを知りつつ、回答することができる。より深く考えさすと、より多彩な、時には期待値越えの回答をすることもできるが、それにはコスト(計算、電力、時間)がかかる。なので、通常は、浅いモードで省エネ運転になる。プロンプトにより的確な指示をすれば、重い腰をあげて、より深く考えるモードが展開されて、結果、期待される、あるいは期待以上の結果が得られる。使う側からするとプロンプトに工夫をすると適切に使いこなせるように見える。というわけでプロントエンジニアリングが花咲いた。

しかし、note記事で紹介したように、チャットの本質は、対話なのである。それは複数ターンのチャットを介して、利用者側の自分が知りたいと思う課題に対するの解像度をあげつつつ、LLMにもその解像度を適切に示しつつ、動作のモードを変えて、というフィードバックループが、チャットインターフェイスの目指すべき共創の姿なんだと思う。そう、次に変わるべきは自分自身の在り方なのだ。気づいている人、できている人は少しはいるが、そこはまだ人類には早いのかもしれない。

「それでも」といいつづけろ(マリーダクルス)

ユニコーンガンダムの話にもどる。バナージが身を寄せる連邦軍と対立するネオジオンの強化人間、人工的なニュータイプもどき、であるフルフロンタルが、バナージに対して、「私も(アクシズショックの)光をみた、その先もみた、これだけの可能性を示されても、人は変わらなかった」という、虚無を吐き捨てた。

「だが、それほどの可能性が示されても、人は変わらなかった。現状を維持するためなら、可能性さえ葬る。それが人間だ。我々はその現実の中で、平和と安定を模索してゆくしかない。君が言う可能性というやつは、争いを引き起こす毒になることもあると自覚した方がいい」

episode6「宇宙と地球と」

LLMの可能性に気づき、会社あるいは社会で発信し続けている人たちも、それが定着しない。しまいには「プロの驚き屋」と揶揄されて消費されるという経験を経た人も多いだろう。

LLMは可能性の扉を開いた、それでも人は世界は変わらないのかもしれない。しかしそこで、ネオジオン側と、バナージ側を行き来する強化人間(人工的に作られたニュータイプ)であるマリーダクルスは、バナージに対し、その虚無に対して、「おまえは、「それでも」と言い続けろ」とアドバイスをする。

そして、バナージは、フルフロンタルに導かれ遠い未来の虚無の世界に連れてゆかれる。

フロンタル「君にも分かるはずだ。希望も可能性も、この虚無の入口で人が見る一刻の夢。なぐさめにもならない幻だ。それが人を間違わせ、無用な争いを生みもする。この真理を知るものがニュータイプ――」
バナージ「それでも……」
フロンタル「ただ存在し消えてゆくだけの命に、過分な期待を持たせるべきではない」
バナージ「それでも!」

episode7「虹の彼方に」

そして、フルフロンタルは、バナージが示した、光の暖かさを感じ、あとをバナージに託して消えてゆく。

われわれも、大規模言語モデルで世界が人間が変わる可能性が示されても誰も何も変わらないとしても、「それでも」と言い続ける。

ここまで。



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