赤いボタンを押したなら。

2015年3月5日。
私にとって忘れられない特別な日である。

この日、ポップンミュージックに起こったあることをみなさんは覚えているだろうか。もしくは、ご存知だろうか。

そう、コースモード専用曲だった「RINИE」が通常プレイできるようになり、イオ・ロアがプレイアブル化、2Pカラーが解禁された日である。

無限の旋律って何?

◆イオ・ロアと私

イオ・ロアはポップンミュージック22作目「ラピストリア」から登場したキャラクターだ。

使命を全うするため遣わされた二人。
歌の力で星の運命を左右する。

ポップンミュージックラピストリア公式サイト 「イオ・ロア」キャラクター紹介より


ポップン世界の神・MZDに仕える二人組の天使で、「天からの命」「使命」を遂行するために銀河を駆ける。何を言っているかわからないと思うが正直私もよくわかっていない。
彼らには「破壊の双天使」という二つ名のようなキャッチコピーのようなものがある。これらの情報から察するに、おそらく彼らの使命とは歌の力で星を破壊すること。
私はこれを「神の創世のための破壊」であると解釈しているが、このあたりはぜひ担当曲の「RINИE」「K∀MUY」「世界の果てに約束の凱歌を -Advent-」を聞いて各々考察して頂けたらと思う。イオ・ロアの魅力のひとつは楽曲の世界観とキャラクターの世界観が非常に巧く絡み合っていることだと私は思っている。考察したら教えてください。

全部殴って解決する脳筋ムキムキパワータイプのイオ。
防御に特化した能力を持つ生真面目優等生インテリタイプのロア。
彼らは見た目、性格、戦い方、趣味、好きな物といったあらゆる要素が徹底して正反対になっている。当然反りが合わないようで、何故か一本しかないマイクを二人でメチャクチャ取り合ったり、嫌いなものが「二人まとめて任務を任されること」であったりとなかなかである。まぁ、思い返せばこれ以上にはっきりとした「仲が悪い」描写があったかどうかと言われると正直かなり微妙だが(本当に仲悪いんか……?)二人の性格や考え方が合わないのは確かだろう。
さて、特定のオタクにド刺さりする要素がもりもりに詰め込まれているイオ・ロアは、ただの性格正反対ニコイチ天使ではない。
彼らは二人とも翼が片方ずつしかなく、二人の片翼が合わさることで一対の翼になるのだ。
イオの片翼はロアの片翼であり、ロアの片翼はイオの片翼でもある。

彼らは正反対の二人の天使であり、二人で一人の双天使である。

性格正反対仲悪男子二人組であり文字通りの比翼でもある。とんでもねぇ……。
そのアンバランスでありながら絶妙なバランスで成り立つキャラクターデザインと設定、正反対の二人が絆を深めていくストーリーが感じられるイラスト、アニメも彼らの魅力だ。(なお、ポップンミュージックに基本ストーリー的なものはないので6割ほどオタクの幻覚である。)
「K∀MUY」のハリアイ絵からは二人の関係性の変化、お互いに背中を預け合う信頼が感じられる。
「世界の果てに約束の凱歌を -Advent-」の新アニメでは彼らの絆がより深まり、唯一無二の相棒となったことがうかがえる。成長した二人はもう一本のマイクを取り合うこともなくなった。ロアに庇われて顔をしかめていたイオが、身を呈してロアを守っている。これまで孫を見るような気持ちで彼らを見守ってきた夢祖母オタクは泣いた。

仲が悪そうは大嘘だろ。


イオ・ロアと私の出会いについてはこちらの記事で触れている。

要約すると、「推しコンポーザーの新曲を担当する新キャラ、別にそんなに好きにならんだろうな~と高を括っていたらBADアニメで狂い転がり落ちるようにハマった」という話だ。
イオ・ロアは、当時SOUND VOLTEXを熱心に遊んでいた私をポップンに引き戻す要因となった。
彼らの担当曲はEX49。Hですら44と当時の私(一応最高43。しかし42すらギリギリ)には高すぎる壁だった。ポップンをご存知ない方に端的に説明すると、とにかくメッチャむずかしい譜面を担当している。EXはおろかHですら生半可な気持ちでちょろっと遊んですぐにクリアできる難易度ではないのだ。

しかし好きになったからにはなんとしてでもクリアしたい。それがポップンミュージックオタクのサガだから。

まずはHだけでもクリアする。そしていつかは絶対にEXをクリアする。
目標を掲げ、こうしてオタクはポップンをやり込み始めたのである──。

◆3月5日でございます

ポップンミュージックラピストリアには、「コースモード」という決められた4曲を連続でプレイするモードがあった。通常プレイとはゲージが異なり、4曲目終了時点でゲージが一粒でも残っていればクリアといった仕様だ。ⅡDXの段位認定に近いだろうか。(弐寺はあまりやらないオタクなのでもし違ったらすみません)
イオ・ロアの担当曲「RINИE」は当初このコースモードのみで遊べる楽曲で、キャラクターもここでしか見ることができなかった。2月16日から3月5日までイオ・ロアを使用キャラにすることはできなかったらしい。今の私がタイムスリップしたら間違いなく死ぬ。もしタイムスリップの機会があってもこのあたりはできるだけ避けたい。
まぁそんなこんなで3月5日に「RINИE」がついに通常プレイで遊べるようになるとBE生で告知があった。最近音ゲーを始めた方々には信じられないかもしれないが、当時は曲を作る会社員たちが生配信でゲームの最新情報をお届けしていたのである。
ついにイオ・ロアが使えるようになる。2Pカラーはどんな色なのだろう、コースモードでは見ることができないアニメはどんなものなのだろう。期待に胸を高鳴らせゲームセンターに向かったのを覚えている。

そしてポップン筐体の前で、一人のオタクの時が止まった。

2Pカラーのイオ、メチャメチャカワイイ…………。



ミルキーホワイトの髪に映える黒いラピス(らしきもの)。健康的な肌色に柔らかな髪色も相まって、どこか幼い印象を与える。赤と黒を基調とした衣装がかっこいい。そして何より、月明かりを閉じ込めたような蜂蜜色の瞳がとても綺麗だ。
一目惚れだった。すべてがかわいい……。

この瞬間私は決意した。
これからはもうずっとこの子たちとポップン頑張ろう、と。
それまで時と場合と気分で使用キャラをコロコロと変えていた私が、絶対に固定にすると決めた瞬間である。

そして、この時は2Pイオに一目惚れしたがもちろん2Pロアも非常にかわいい。
何とは言わないが私は「2Pロアの髪は赤いのでは?」と勝手に思い込んでおり、鮮やかな青はなかなか衝撃的だった。そのため、ロアは1Pのほうが好きかもしらん……などとのたまっていた。今の私が当時の私に会ったら間違いなく絞めている。首とか。
彼の髪色は鮮やかな青色だ。さながら海のような、空のような、美しいセルリアンブルー。
青は憧憬の色だ。遠く手の届かない美しさに、人々は焦がれてきた。
2Pロアも、そんな美しさを纏っている。銀河を駆ける天使が地球の海や空を連想させるような鮮やかな青色を持つ──なんとも言えない神秘的な魅力がある。
まぁ要するにじわじわ好きになっていったのである。
2Pロアの瞳の色は1Pロアと同じ赤色、服は2Pイオとお揃いのような色合い、なかなかにオタクの強めの幻覚を加速させた。なんなら今も擦り続けている。


余談だがこの日、フィーバー勝ちのイオが怖すぎるとポップン界隈がざわついていたのが印象に残っている。正直私もビビった。今でもちょっとビビる。

◆それから7年……

なんといまだに「RINИE」EXをクリアできていないのである!!!!!

一応あの頃に比べればかなり上達して、最高クリアレベル49まで辿り着いた。が、成長スピードがカタツムリすぎていまだにクリアできてません。死ィ~?
「RINИE」EXをクリアしたらポップンを引退しよう。
私はずっとそう思っていた。そしてクリアできぬまま7年の月日が経ち、その間にイオ・ロアの担当曲は2曲増えた。しかもどちらもメチャむず譜面、「K∀MUY」に至っては最高難易度の50に片足突っ込みかけている。一生引退できねぇ!推しが強いと嬉しいがオタクはムキムキにならざるを得ない。

思い返せばこの7年、本当にいろいろなことがあった。

レアカードが一発で引けて勝手に運命を感じた。エクラルで台詞が増えて気が狂った。プロフィールが判明して「嫌いなもの」を五度見した。チェンジカードを見た衝撃でシューゲイザーEXにクリアが付いた。二度目の登場に泣いた。キャラランキングという名のオタク札束殴り合いバトルイベントのストレスで逆流性食道炎になった。ホワイトデーに婚姻届を貰った。三度目の登場で赤飯を炊いた。……本当に、書ききれないぐらいいろんなことがあった。
そしてこの7年間、私は使用キャラをほとんど変えていない。
誕生日祝いで時々ちょろっと他のキャラを使うぐらいで、ほぼ2Pイオ・ロア固定だ。ハートがカンストしても気にせず使い続けている。
これまで2Pイオ・ロアとたくさんの思い出を積み重ねてきた。楽しいときも嬉しいときも、悔しいときも悲しいときもずっと一緒だった。
最高クリアレベルが上がったとき、やっとの思いでフルコンがついたとき。逆ボや1切りで悔しい思いをしたとき、物凄い詐称譜面にボコボコにされたとき。
なかなか上達しない自分に苛立って、もうポップン辞めたい。そう思ったときも、イオくんとロアくんがいるからもうちょっと頑張ろうと立ち直ってきた。
二人がいるから、私は今も楽しくポップンを続けている。
私は勝手に推しているだけのただのオタクではあるが、二人には本当に感謝しているし、大好きで大切なキャラクターだ。

2Pイオ・ロアと出会った3月5日は、私にとって忘れられない特別な日である。

まだまだ腕前はイマイチだが、これからもイオ・ロア担当曲に挑みたいし全曲クリアしたい。そして、ゆくゆくは50のクリアメダルももぎ取りたい。
いつか「あそこに孫(2Pイオ・ロアのことです)がいるんじゃ……」とポップン筐体を指差すオタクおばあちゃんになっても、イオくんロアくんとのんびり楽しく頑張っていけたら嬉しい。

これからも赤いボタンを押したなら二人に会えるように。

ポップンミュージックよ、永遠に続け……。




この記事を読んだポッパーの方はぜひ一度ラピストリア2Pイオ・ロアを使ってみてほしい。メチャクチャかわいいので……。
なんならラピストリア1Pもうさ猫もリドルズ1Pもリドルズ2Pも、気になったイオ・ロアを使ってみてほしい。どのイオ・ロアもかっこよくてかわいい。そもそもイオ・ロアにかっこよくないかわいくない瞬間などない。


そして、使用キャラとの出会いのきっかけや思いをツイートやnote、イラストなどに込めて発信してくださる方が増えると嬉しいなと思う。なぜならオタクはそういうのを見るのが大好きなので……。書いたらぜひ教えてください。健康になります。