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PTA本部役員の闇 110時間目 植草PTA会長の呪い 卒業式のコサージュ編 〜このお話はフィクションです〜

「コサージュ問題の整理と強力な協力者」

愛は小学校の駐車場で子どものお迎えを待ちながら、PTA用のノートに、四年前の植草PTA会長から始まった問題、課題で次に取り組むべき事をまとめはじめた。

PTA本部の仕事をしていると、四年前のPTA会長、植草会長の話になることがある。

今のPTA本部の仕事が混沌としているのは、植草PTA会長が大きく関係しているのだ。

それを愛達、PTA本部役員は「四年前の呪い」と言っている。

四年前の呪いを解決することが、きっとスムーズなPTA活動につながる。

そう信じて愛は日々、問題解決に取り組んでいる。

「次はPTAを脱退した親の子どもへの対応…ね」

愛はため息をつきながら、ノートに書き込んだ。

その時、幼馴染の久美もお迎えで駐車場に入ってくるのがわかった。

久美は愛の車の隣に車を停めて、ウィンドウを開けながら言った。

「愛、また難しい顔しているけど、それが植草会長の呪い?」

美香は苦笑いを浮かべながら聞いた。

「そうなのよ。」と愛は答える。

愛は久美に窓ごしにノートを見せながら続けた。

「彼の時代から始まった問題がいまだに続いているの。本当にどうにかしないと。」

「どんな問題なの?」

久美は興味津々で尋ねた。

「PTAを脱退した家庭の子どもには、卒業式で目に見える形で不利益な扱いをしていたの。」

「卒業式でPTAを脱退したうちの子どもにはコサージュを渡さなかったんですって。子どもたちに不必要なストレスを与えるなんて、絶対に許せない。」

久美は「コサージュが、PTA 会費から出ているからってこと?」と聞く。

愛は答える。自然と声は大きくなる。

「そう。でもそれなら、卒業式でのPTAからの贈り物は、コサージュのように身につけるように目に見える物で無くても良かったはずよ。」

「PTAはPはペアレンツの親、Tはティーチャーの教師で構成されていて、子どもは元々メンバーじゃないの。」

「植草会長のやる通りに、親が負担した人の子どもには目に見える形で与えて、親が負担していない家庭の子どもに与えられないとしたら、私の理解だと、親がプール掃除に来ていない家庭の子どもはプールに入れないことになるの」

「たとえ親がPTAに加入していないから、記念品を渡さない判断をしたとしても、他に卒業生に渡すものと一緒にしたらダメだったの?って思うわけ」

久美はうなずいた。
「本当にひどいわね。子どもに影響したのが特にひどい。愛は何か解決策は考えているの?」

愛は少し考え込んだ後、答えた。

「今話したのは私の考えでしかないので、他の役員の考えも聞いてみてかなと思うんだ。どっちにしろ子どもに嫌な思いをさせないようにだけ気をつけたいなと思ってる」

「確かに、それは解決したいし、繰り返したくないね。」
久美は愛の考えに感心したように言った。

「でも、植草会長の時代の問題点って、それだけじゃないでしょ?」

愛は再びノートを見つめ、深く息をついた。

「そうね。例えば、説明のつかない会計の不明点が多いの。四年前の会計に不明点がたくさんあって、資金の使途が不透明なのよ。」

久美は驚いたように「それは大問題じゃない!会計の透明化は必要だね。」と言った。

久美の声が大きいのを気にして、「静かに」と人差し指を口にあて、愛は続けた。

「そう、会計報告は何年後かでもわかるようにして、透明性を高める必要があるわ。」

「それに、通学路の草刈り問題もあるの。四年前にPTA本部に相談された草刈り問題が棚上げにされて、地域住民が困っているのよ。」

愛は力強く言った。

「その問題も早急に対応しなきゃね。私も協力するわ」と久美は大きくうなづいた。

子ども達が来るまでの間、久美と久しぶりに話が出来て、愛は嬉しくなった。

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