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PTA本部役員の闇 40時間目 〜この話はフィクションです〜

仕事と家庭とPTAとの両立ってどうやるの?

愛は専業主婦だ。
朝5時には起きて、子どもと夫のお弁当を作る。

7時に子ども達を送り出すと、その後はPTAの資料作りに没頭する。これが15時ぐらいまで続く。

夕方はスーパーでの買い物、夕飯の準備、子どもの習い事の送り迎えと、家事も育児も忙しい。

夕飯が終わると、再びPTAの作業に取り掛かる。愛の一日は、常にPTAと時間に追われている。

「今までの書記の先輩方は、フルタイムで仕事をしながら、この作業をしていたというのか…」

愛は驚きを隠せない。

愛自身も夫の助けを借りながら、この忙しさを乗り越えているが、それでも手一杯だ。

「仕事と家庭とPTAとの両立ってどうやるの?」
と純粋な疑問が浮かぶが、答えはまだ出なさそうだ。

と、同時に作業をしながら1年先輩の書記の言葉を思い出し、内心イラだっていた。

「資料はGoogleドライブに入っている」
「Googleドライブを見ればわかる」と言われたが、アカウントの移譲、アクセス権の譲渡も上手くいっていなかった。

「その状態でどうやって見ろというのだ」
温厚な愛もイライラを隠せない。

パソコンに疎い愛は、夫に操作してもらってようやくPTAの書類、資料が入ったGoogleドライブにアクセスできるようになった。

しかし、実際に見たGoogleドライブの中の保存方法はあまりに雑だった。

どのファイルもバラバラで、どこに何があるのかすぐには見つけられない。

愛が時間がかかる理由はここにある。

彼女は今まで乱雑に保存されていたファイルを整理し、時系列に並べ直し、次の担当者のためのマニュアルを作成しているのだ。

その作業は膨大で、簡単に片付くものではなかった。

「子ども達のために取り組んでいるPTAが、自分の子ども達を置き去りにしてしまっている」という思いもありながら、

「でも、次の人に同じ思いはさせたくない」

その思いで、毎日の作業に取り掛かった。

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