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小手先のわざ

『小手先の技』ってのは、あまりいい意味では使われない。
その場しのぎって感じだと思う。

合気道にはその『小手先の技』の反対語のような『呼吸力』という言葉がある。

上っ面だけを耳にすれば、掛け声のもと相手を吹っ飛ばす、そんな光景を想像する方もいらっしゃるだろう。
しかし、『呼吸力』とはそんなに分かりやすいものではない。

「呼吸力とは、力、すなわち気力を主体とし、それに肉体的なあらゆる力を総合したもので、気・魂・体の三位一体によって現れた人間の真の力をいう。」と合気道二代道主植芝吉祥丸先生が『合気道技法』の中で説明されている。
一つの仕事を成就させるために多くの人々が力と気持ちを結集するように、肉体ばかりでない全身をフルに使い一つの技を完成させるような意味になると思う。
そしてその時の身体の部位一つ一つが基本の動きに則らなければならない。
合気道の基本の動きである一教運動、転換、回転、入身とそれだけを切り取り稽古するとなるとかなり退屈な基本の動きである。
でも、どんな習いごとにおいてもそれに近い事はあるに違いないと思う。
意識せずに手にして扱う茶碗と箸、のようになるまで繰り返しこの基本の動きが身につくように稽古しなければならない。

猫パンチは彼等、彼女等が全身全霊の力と気持ちを込めている。
だからそれなりの何かを私に感じさせる時がある。
あの一撃で言葉の通じない私たちに物を言おうとするのだから大した奴らかも知れない。

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この『合気道技法』は復刻版、学生時代に『江古田コンパ』のマスター原さんに初版本を頂いていたが、大阪で合気道仲間に貸したきり、流浪の旅に出てしまった。
我が青春の愛読書である。

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