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飲み屋に恋する男のはなし

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酒抜きで語れぬ私の人生、そのほんの一部をお聞きください、、
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#日常

恋のおわりは

今日から私が以前、恋の病に取り憑かれたように始めた『立ち飲み屋』の話を綴りたく思います。 多くのお客さまに足を運んでいただきました。 多くの友人も日本中から集まってきてくれました。 やんごとなき事情で再び方向転換をするまでの一年半の時間をともに過ごしていただいた皆さんとのお付き合いの話が中心となります。 今日は簡単に店の周囲の雰囲気をご理解いただければと思います。 私は大阪の人間ではありません。大阪は人に優しい街だと思います。 その中でもこの『阿倍野』って街が、素敵に優しい

この先の世のスタイル

飲み屋になぜ私がこだわるか、『依存症』だから、ではない。 実は飲まなくとも平気で毎日を過ごすことが出来る。 サラリーマンをしてきた。その中、酒席で決め事が成ることもあれば、決め事の礼が酒席であることもあった。酒の力で場を和ませて切り拓かねばならない難解な話もあった。人を元気づける場所が場末の居酒屋であったり、ともに喜びを分かち合うのがガード下の焼き鳥屋であったりもした。 飲食店舗がニューコロナの発生源のような認識を持たれている方もいるようだが、真の発生源はモラルの欠如である

開かぬ店におもう

久しぶりに家内がレーズンバターを買って来た。 レーズンバターは家内の頭の中ではデザートに分類されるようである。 私にはもちろん酒のアテである。 30年ほど足を運んでいるJR高架下にある新梅田食堂街の立ち飲み『北京』のレーズンバターは美味かった。 早い時間に行くと親父が手作りのレーズンバターを、大きなボールでバターと干し葡萄をヘラでこねて作っていた。 カウンターに並ぶラム酒も入れていたに違いない。 いつもバーボンのロックのアテだった。 洋酒には甘い物があったりする。 チョコレ

料理が好きだということ

今の若い人達がまだよく憶えていない頃に料理店で飲酒の出来る時代があった。 美味い料理に舌鼓を打ちながら、ビールや酒が飲めたのである。 街の中華屋で脂っこい肉ニラ炒めやニンニクたっぷりの餃子をビールや紹興酒で胃袋に流し込むのはたまらなかった。 私は料理が好きである。 飲み屋をやっていたくらいだから当たり前だろうと思われる方も多いだろうが、料理の得意でない料理人はいる。 たぶんセンスの問題だと思う。 たとえばこの肉ニラ炒めを作る手順である。 下ごしらえは別として炒める順番