阿倍野の飲み屋のものがたり その1 (鶏皮ポン酢編)
夕方五時開店、開店直後から割と忙しい店だった。
この時間帯はだいたい決まった方々だった。
自転車で乗り付けてくれる防災工事会社の社長がだいたい一番乗りだ。
美味い酒を飲むために堺市から自宅近くの私の店まで来てくれた。
地元の貸しビルのオーナーはいつもパチンコの帰り、毎回「三万負けた、五万負けた」と私の店の売り上げもしくはそれ以上のことを言ってまずはビールを乾いた喉に流し込む。
難波の百貨店にお勤めの品の良い私と同じ歳の独身女性は非番の時、この時間に出て来てくれた。
一見のお客