「さようなら」は最後に一度だけ
1977年、私は高校二年生だった。ちょうどこんな寒い時期、当時はもっと寒かった。
飼い猫ブチは自在に外との行き来をして、私の2階の部屋の窓が彼の玄関になっていた。開け放しの窓からは冷たい外気が流れ込み、私の部屋は寒かった。
外気と変わらぬ冷たい部屋で私は膝を抱きながら生まれて初めて買ったシングルレコードを聴いていた。
八代亜紀の声に魅せられて、よく理解してない歌詞に惹き込まれて『愛の終着駅』を聴いていた。
『文字の乱れは 線路の軋み
愛の迷いじゃないですか』
すごいな