手振れ補正性能差

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E-M1 Mark III と GH5M2 を、自立一脚に取り付けたときの手振れ補正性能差について取り上げたいと思います。

一般的に昔から、三脚にカメラを取り付けたときには、手振れ補正機能をOFFにしましょう、というのが定説です。

その理由としては、振動していないところでカメラが振動を分析しようとしてゲインを上げてしまい、ジャイロノイズを拾ってそのノイズ成分が振動だと勘違いしていまい、揺れ発生装置になってしまう、という原理です。

ビデオグラファーが三脚を使う場合、ザハトラーの大型三脚など、絶対に揺れない安定した大型三脚を使うことが鉄則だと思いますが、一方で小型軽量ミラーレス一眼を使った動画撮影の現場は、そういうものばかりではありません。

私の場合は、野外ライブの撮影をしたり、小劇場~中劇場規模までの舞台、ライブハウスでのライブを撮影する機会が多いのですが、どんな場合にも、観客ファースト、お客様や一般の方々の邪魔になってはいけない、ということを心がけています。

自分が電車移動になることが多く、重量的にも大型機材はキビシイという事情もありますが、殆どの場合、大型三脚を据え付けて撮影することが出来ないような制限された環境での撮影になります。

しかも、観客の邪魔にならないように、常に客先最後尾からの撮影を心がけているため、お客さんのアタマを避けて、出来るだけ高い位置から撮影する必要が出てきます。

そういうシーンでは、望遠レンズがコンパクトで、ズームレンジの広いレンズが揃ったマイクロフォーサーズシステムでの動画撮影は、この上なく素晴らしい機動力を発揮するわけです。

この時に活用するのが、自立型の一脚です。
三脚のように手を離してもなんとか倒れないが、設置するときのフットプリントは極めて小さく、人ひとりが立ち座り出来るペースがあれば設置可能です。

そんな私の撮影環境はこんな感じ。
従来までは、下記の写真の GH5M2 の場所に E-M1 Mark III が設置され、GH5M2 の場所には GX7mk2 を設置していました。

https://twitter.com/mharuka1/status/1408368609080975364

このとき、手振れ補正の設定は、あなたならどうしますか?
私は、迷わずONにします。

長い一脚の先端に重心高く設置したカメラは、ポールのしなり、床のたわみで、必ず揺れてしまいます。

しかも、舞台撮影などでは、暗がりの狭いスペースに設置しているなかで、写真撮影も同時に行っているため、頻繁にハンドルやポールに自分の手や望遠レンズのフードがぶつかってしまい、人災的に揺らしてしまうことがあるのです。

そんな酷い扱いの揺れを、手振れ補正の機能でちょっとでも抑えて欲しいわけですね。

というわけで、この条件での手振れ補正性能差をご覧頂きましょう。
レンズに関してはこんな構成になっています。

https://twitter.com/mharuka1/status/1408376159860002825

GH5M2は、仕様上、焦点距離60mmのときにボディ内手振れ補正のみで6.5段の補正性能を謳っています。

“GH”の名に相応しい基本性能 | DC-GH5M2 | Gシリーズ 一眼カメラ | 商品一覧 | デジタルカメラ LUMIX(ルミックス) | Panasonic
https://panasonic.jp/dc/products/g_series/gh5m2/performance.html#dual_is2

E-M1 Mark III は、MZD 12-100mm F4 IS PRO との組み合わせによるシンクロ手振れ補正によって、7.5段の公称値(焦点距離100mm) になります。

小型軽量・高画質 E-M1 Mark III | デジタル一眼カメラ OM-D | オリンパス
https://www.olympus-imaging.jp/product/dslr/em1mk3/feature.html

これを踏まえて、いざ動チェク(!) の結果をご覧ください。
スマホでテキトーに撮ったやつなので、クオリティーはご勘弁を。
カメラモニタに映っている、ドアのガラス枠が、モニタ画面内の絶対位置としてどのくらい左右に振れているかに着目してご覧ください。

https://twitter.com/mharuka1/status/1408376145217609728

いかがでしょうか?

上記の動画テスト条件では、12-60mm F2.8-F4 を用いており、デュアルISが効く上で、手ブレ補正ブーストをONにしているにも関わらず、E-M1 Mark III のほうが圧倒的に揺れの少ない防振性能結果を残しています。

https://twitter.com/mharuka1/status/1408376163492241409

https://twitter.com/mharuka1/status/1408376164511453188

https://twitter.com/mharuka1/status/1408377313389998092

一方で、ハンドでパニングしたときの挙動などは、オリンパスの標準設定だと、パン停止後に後から画像がヌルゥ~ンと動いて直ぐに止まらない揺れ戻しが発生します。

GH5M2を少しパニングしてみたところ、そういう挙動は見られなかったので、がっちりホールドすれば標準域ではブレ無い程度にブレを抑えられ、かつパンしたときの自然さや、意図的に揺れを表現したい (手持ち感を出したい) といような動画表現のときには、ちょうど良いブレ抑制具合なのでしょう。

ルミックスユーザーからはブーストにすればしっかり止まり、動かしたときの挙動が調度良い、と呼ばれる理由がここにあります。

でも、私の求めるところはそういうシーンではありません。
多少振れ戻しが起きても、もっともっとガッチリ止まるモードが欲しいですね。


まとめ
・一脚に据え付けたときの手振れ補正性能の効果はオリンパスが断トツに良い。
・パナソニックには、このように貧弱な一脚や三脚に取り付けられた状態で、より強力に手振れ補正をかけるモードの搭載を検討いただきたい。


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