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パルプアドカレ2022

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パルプで赤い爺さんを撃ち抜け! 今年もやるぜパルプアドカレ。
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#短編小説

セカイがオワルまでは #パルプアドベントカレンダー2022

 ――20XX年、6月のある日……俺達は衝撃の事実を告げられた。  “12月31日の24時、この世界が終わる”  そんな突拍子もない話、誰も信じる筈がない。今までだってそんな話は何度もあった。話題性を集めたい人間ってのはいつの時代もいるもんだ。  だが、今回ばかりは本当らしい。今年を最後に“この世界”が終わるのだと、みんなが信じた。信じざるを得ない理由があった。  俺達一人一人のところへ……いわゆる“天の使い”が、世界の終わりを直接告げてきたのだ。  “この世界”を管

あか、しろ、みどり  #パルプアドベントカレンダー2022

「ツモォッ!」  有線が流す竹内まりやの歌声は、牌を叩きつける音と野太い声に掻き消された。  マスターの矢島が珈琲を淹れる手を止めて卓上に目を遣る。和了ったのはまたしても大橋だった。赤五萬を引き入れての面前清一色、自摸。赤ドラを入れて八翻、一万六千点の倍満。  同卓する三人から点棒をせしめると、大橋はヤニに染まった黄色い歯をむき出しにしてがはははと笑った。  矢島がこの部屋でマンション麻雀を開いて二ヶ月になる。摘発に備え三ヶ月に一度のペースでハコを変えているが、幸い未だにガ