幹特在特

2024年春に、乗り継ぎ割引制度が全面廃止となる。一方、新幹線と在来線の特急の乗り継ぎで割引が生じる制度が完全になくなるわけではない。それが幹特在特という制度である。今回はそれについて見ていく。

幹特在特とは

簡単に言えば、旅客営業規則57条の3第7項にしたがって発行される特急券である。なぜこの呼び名なのかと言うと、旅客営業規則188条11号により、この制度により発行された特急券には「幹特在特」という表記がなされるためである。条文は以下の通り。

旅客が、鹿児島本線門司港・佐世保線武雄温泉間に運転する特別急行列車(36ぷらす3号を除く。)と新幹線の特別急行列車とを武雄温泉駅において出場しないで乗継ぎをする場合(接続のために一時出場する場合を含む。)は、鹿児島本線門司港・佐世保線武雄温泉間の1個の特別急行列車及び新幹線の特別急行列車に対して、第57条第1項の規定にかかわらず1個の急行列車とみなして、全区間に対して特定の特別急行料金によって指定席特急券、立席特急券、自由席特急券又は特定特急券を発売する。

https://www.jreast.co.jp/ryokaku/02_hen/02_syo/07_setsu/05.html

この57条第1項というのは、特急列車1本につき特急券1枚が必要という原則である。かもめとリレーかもめの乗り継ぎであれば、本来特急券は2枚必要なのだが、この制度により1枚の特急券で乗り継ぎが可能である。

で、特定の特別急行料金、というのはどういうことなのか。

幹特在特の特急料金

幹特在特の特急料金は、125条第1号ハに定められている。

簡単にまとめると以下の通り。

  • 繁忙期は200円増し・最繁忙期は400円増し

  • 立席特急料金・自由席特急料金は530円引き

  • 嬉野温泉発着の特定特急料金(わかりやすく言えば嬉野温泉からの自由席特急料金)は880円引き

  • 嬉野温泉・新大村・諫早からの特急料金は、在来線区間の営業キロごとに以下の通り

    • 25kmまで - 2110円

    • 50kmまで - 2330円

    • 75kmまで - 2560円

    • 100kmまで - 2340円

    • 150kmまで - 3280円

    • 200kmまで - 3640円

  • 長崎からの特急料金は、在来線区間の営業キロごとに以下の通り

    • 25kmまで - 2560円

    • 50kmまで - 2780円

    • 75kmまで - 3010円

    • 100kmまで - 3190円

    • 150kmまで - 3730円

    • 200kmまで - 4090円

本来であれば、長崎から博多までの指定席特急料金は、

  • 長崎・武雄温泉間 - 2290円

  • 武雄温泉・博多間 - 1730円

の合計4020円のところ、これにより3190円に抑えられる。

営業キロごとの該当駅は以下の通り(定期便停車駅のみ)。

  • 25kmまで - 江北

  • 50kmまで - 佐賀

  • 75kmまで - 新鳥栖・鳥栖・二日市

  • 100kmまで - 博多

  • 150kmまで - 福間・東郷・赤間・折尾・黒崎・八幡・戸畑・小倉

  • 200kmまで - 門司・門司港

北陸新幹線敦賀延伸

さて、2024年春に北陸新幹線が敦賀まで延伸されるのだが、JR西日本から以下のような発表があった。

簡単に言えば、特定の特急料金を富山・敦賀間の新幹線とサンダーバード・しらさぎの間に設定するというもので、まさにこの制度の応用である。

多分125条に条文を追加して対応するとは思うが、基本は自由席特急料金相当分を割り引いて足し算し、最後に指定席相当分(530円)を1回だけ足す、というのが今回の趣旨であると発表している。

正式な認可が出て、料金制度が発表された際は改めて何か書くかもしれない。

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