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この状態じゃ食べられない

過去に固執する厄介なクセがある。その時一緒にいた誰かがどうだからとか、何かがああだからとかじゃなく、ただただ戻らない時というやつを愛しむ。さらに尊んでしまうから、今様(いまさま)をおざなりにしてしまう。これがとても空しくて後悔をするのでまた過去奴(かこやつ)に囚われたことになり、負のループが終わらない。

人が関係をする時、必ず時間がその関係に付随する大きなスペックになっていて、関係という卵の中身を構成する割合はもはや人より時間の方が多いのじゃないかというくらいだから、時間を上手く扱える人は、人と関係するのも器用にやる。君は時間を扱うのが壊滅的にダメなので、人と関係する時も手先がほぼ動いていない。だいたい対象を内包した卵形で時間を扱うのが下手だし、君は対象と関係する時にまあるい卵の中身の一部でしかないのに、まるで君が“きみ”自身であるかのように、恐れ多くも時間を支配下に置こうとしてしまう。四方八方に染み込んでいく脳みそや内臓や血液などが統合されないせいで、正解を知っているのに間違える。正解?おでがせいかいだ!と豪語する小さい君もいる。

時をしばらく触っていたら、空間をもらった。君は今様から過去奴にアクセスするとたいていノスタルジーに溺れ死にかけるが、過去様から今奴をノックすれば、ピヨピヨと孵化した合図がちゃんと聴こえる。
そうして、未来は遠くに放り投げておくのが秘密の掟だ。ただただ時がそうであるように。

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