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奇跡の映画 THE FIRST SLAM DUNK

THE FIRST SLAM DUNKを観てきた。
新宿バルト9のドルビーシネマ。2023年最初の映画鑑賞。

こんなに幸せな映画はないと思った。全てのカット、全てのシーンが井上雄彦先生の絵だった。これは凄いことだ。

メイキング本「re:SOURCE」によると出来上がった3DCGのカットに井上監督が直に赤入れ修正をしていた。果汁100%。源泉掛け流し。まじりっけなしのジャンプで読んでいたSLAM DUNKの世界がそのまま動き走り回る。こんな多幸感を感じる映画がこれまであったかな。

100%井上雄彦。映画に原作者が深く関わっているのはワンピースが有名だが、その次元じゃない。もしかして尾田栄一郎先生は悔しがってるんじゃないだろうか。漫画原作者が全てをコントロールしたアニメ映画。それがTHE FIRST SLAM DUNKだ。

でも「re:SOURCE」を読んでいちばん意外だったのは映画化が井上先生きっかけではなかったということ。東映アニメーションの熱心なアプローチがあってのことだったようだ。SLAM DUNKをアニメにすることの難しさは井上先生がいちばんわかっていたんだろうな。それでも「自分が関われば花道がもっと花道になる」と井上先生に言わせた東映アニメーションのパイロット制作の熱意が凄かったんだと想像に難くない。

それでも映画制作においては井上監督も東映アニメーションスタッフも相当の苦難であったようだ。おびただしいリテイク。出す方も直す方も相当の気力が必要だ。

「練習量ではウチが一番だ」

原作の中に出てきた言葉が思い浮かんだ。井上監督も東映アニメーションのスタッフも、誰よりも必死に手を動かして動かしてその積み重ねでこの奇跡的な作品は成立している。心から尊敬する。

THE FIRST SLAM DUNKは宮城リョータが主役だった。意外な気もしたが確かに原作ではいちばん掘り下げられていないキャラクターでもあった。ゴリや小暮、三井にはドラマがあり、桜木と流川は主人公とライバルで話の中心だ。宮城リョータはどこか都合の良い存在になっていたように思う。彼にもドラマがあったんだ。

メイキング本「re:SOURCE」に掲載されている読み切り漫画「ピアス」は一見の価値あり。宮城リョータのベースが描かれています。

そもそもドラマのないキャラクターなんていない。THE FIRST SLAM DUNKの舞台はテレビアニメーションでは描かれなかった原作クライマックスの山王戦。きっとあの場にいるみんなにドラマがあったはずだと宮城リョータのエピソードを観ながら思わずにはいられなかった。

映画鑑賞後、三が日も開けていないのに新宿紀伊國屋書店本店が営業中だったので、その足でコミックコーナーに行きSLAM DUNK新装再編版を全巻大人買いして帰るのだった。。2023年初散財。

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