2021年ゴアグラインド名盤20選【簡易版】

今年もこの時期がやってまいりました。

2021年良かったゴアグラインドを選出する季節です。

去年は初の自主制作Zine「HDP通信 Vol.1」にて2020年ゴアグラインド20選を掲載し、こちらのnoteはそれに対しての簡易版という位置づけでしたが今年は諸事情でZine出版が困難になってしまい、こちらの簡易版のみでの発表になります。なので去年はインフォのみの掲載でしたが、今年は短めのレビューも記載させていただきたいと思います。また去年は所持している音源のみでしたが、今年はbandcamp等で試聴した音源等も含み掲載いたします。

去年と同じくランキング形式ではなく順不同にて掲載しております。また、再発、コンピレーションは抜いております。


さてゴアグラインドといえば...

私事で恐縮ですが、私が運営しております“Happy Despatch Productions”のリリース第1弾が今年の9月にリリースされました。日本のゴアグラインドを中心に様々な奇抜グラインドバンドを集めたコンピレーションになっております。まだお聴きになっていない方は弊レーベル通販サイト、またディスクユニオン各店や各CDレコードショップ、ディストロにて販売中なのでお手に取っていただけると幸いです。Bandcampにて試聴も可能です。

それでは以下本編です。


・Capsaicin Stitch Rupture “Post CPS Ingestion Disastrous Processes In Digestive Tract”

チェコ出身、PotheadDeep Throatのメンバーによるプロジェクト。マシンドラムを駆使し、ブラストが好きな人にもミドルテンポが好きな人にも突き刺さる良質で聴き心地がよい楽曲が収録されている。またこのバンドは「唐辛子」をコンセプトにしたバンドで、調味料でありながら口内から肛門まで焼き尽くすほどの攻撃力を持つ唐辛子もゴアグラインドのテーマになり得るということが個人的にも再認識できた作品でもある。

試聴・DL↓

・Sick Sinus Syndrome “Rotten To The Core”

チェコ出身、Malignant TumourAhumado GranujoPathologistという豪華メンバーによるバンド。Carcassに始まるオールドスクールゴア/デスメタルエッセンスをこれでもかと言うほどに注入しているが、それほど古臭さを感じさせないキメ細かく聴きやすいサウンドが魅力的。音の出来上がりもクリアなのでオールドスクール系サウンドに若干苦手意識を持つ方にもオススメできる作品。

試聴・DL↓

・Yakisoba “Gore Mutilation Death”

日本では特に人気、イタリア出身Yakisobaの新作。出現してすぐの頃はロウなゴアノイズ、ミンスコア系の楽曲をプレイしていたが、最近はクラシックなゴアグラインドをプレイするようになり、本作も言わば王道的なスタイルの非常に聴きやすい作品となっている。個人的には嬉しいやら寂しいやら。ショートカットだが一曲一曲が焼きそば並に濃厚なサウンドで、全体を通すと非常にボリューミーな作品に感じられる。

試聴・DL↓

・Shotgun Cock “Weltering in Cum”

昨年の20選でも紹介したBasic Torture ProcedureMaggot Vomit Afterbirthのメンバーによるプロジェクト。所謂GutやC.B.T.系統の古き良きグルーヴィポルノゴアをプレイしている。ノリノリなミドルテンポの曲に水気たっぷりの下水道ヴォーカルが乗っかるクラシックだが勢いと重量が感じられるスタイル。ギターの音なんかも割と重め。踊れるゴアは好きだけどそこまでバカっぽさはいらないかも…という方には是非オススメな作品。

試聴・DL↓

・Golem of Gore / Redundant Protoplasm / Gore / Pulmonary Fibrosis “Split”

イタリア/アメリカ/ブラジル/フランスの各国代表選手が集まった新旧織り交ぜ4-Wayスプリット。ブラスト、ピッチシフター、下水道ヴォーカル好きなら最初から最後までたっぷり堪能できる1枚。昨年のデビューアルバムも素晴らしかったRedundant Protoplasmは、本作でも遅いのも速いのもメタルっぽいのもパンクっぽいのも全て卒なくこなす芸達者ぶりを発揮。

試聴・DL↓

・Pervert Of Ability “Gorecult Revolution”

東京を中心に活動するカルト(宗教)ゴア集団。グルーヴィでダンサンブルなサウンドを主軸にピッチシフターとシャウトの掛け合いなどのクラシックなゴアグラインドフレーズや時にはデスメタルっぽい一節なども組み込み、さらにはみんな大好きカルト宗教ネタを混ぜ込んだ邪悪さもファニーさも兼ね備えた作品。一発録りデモ、EPのロウな感じも素晴らしいが、プロのレコーディングによりクリアで各パートのバランスが取れたサウンドになり、楽曲の隅々まで楽しめる作品となった。

試聴・DL↓

・Organ Failure “Demo”

2021年結成(おそらく)の新生ゴアグラインド。1stデモだがフィルシーさ、安定感などから曲の構成等まで一切文句の付けどころがない超ハイクオリティな作品。ヴォーカルはゲロゲロ系ピッチシフターヴォーカルでシャウトとの掛け合いが入るなどオールドスクールなエッセンスを感じさせつつも、急にノリノリなミドルテンポを入れてきたりするような全ての需要に応えている感じも素晴らしい。4曲入り3分ほどなので何百回でも聴けちゃいますよ。

試聴・DL↓

・Nyctophagia “Terrified of Tomorrow”

テキサス州出身ゴアグラインド、現在はワンマンプロジェクト。Sulfuric CauteryのIsaac氏やらSanguisugaboggPutrid StuのCody氏やらArchagathusMeatus、その他いろいろのJoe氏やらを迎えた1stアルバム。Isaacの高速ブラスト、Codyのメロディアスなデスメタリックリフ、Joeの雄々しいグロウルが化学反応を起こし、凶暴ながらも精細で美しいゴアサウンドを作り上げている。

試聴・DL↓

・Last Days Of Humanity ‎“Horrific Compositions Of Decomposition”

ゴアグラインド界の神、新体制による最新アルバム。楽器陣が来日も果たしたFUBARのメンバーになったということで完全にグラインドコアに移行してしまうのではないかという不安もあったが、ファストなグラインドサウンドに強烈な下水道ヴォーカルが乗るという良い具合のクロスオーヴァーサウンドへと変貌している。また3rd的な作風ではなく一曲一曲がちゃんと曲として完成しているところも評価できるポイントではないだろうか。

試聴・DL↓

・Houkago Grind Time / Blue Holocaust “DO YOU LOVE ANIME? Pt. 7 / Nilbog Attack”

US/フランスのスプリット。逆輸入型アニメグラインドのスタイルで日本でも愛されているHoukago Grind TimeはRegurgitate系のオールドスクールゴアを中心に、中の人であるAndrew氏の別プロジェクトRipped To Shreds系統の速弾きリフなども導入されたグルーヴィ&メタリックな楽曲を収録。ゴア系イラストレーターとしても活躍するPierre氏によるBlue Holocaustはバンド編成になってから圧倒的に聴きやすくなったが残虐性はそのままに、本作では無慈悲にすべてをなぎ倒すかのような重量感たっぷりのブルドーザー系ゴアグラインドを収録している。

試聴・DL↓

・General Surgery “Lay Down And Be Counted”

ゴアグラインドにおける師範的存在、General Surgeryの最新作。サウンドはメロディックなリフが多用された後期Carcass系デスメタル影響下のデスグラインドといった感じだが、こざっぱりとした印象を持たれる楽曲の中にもゴアグラインド特有の血生臭さ、不気味さ、汚さが少しずつではあるが確実に滲み出ている。オールドスクールデスメタル好きな方々にももちろんおススメ。

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・Duodenal Ulcer Fermentation “Gangrenous red guts - Lupus sessions”

YakisobaのMichele氏による新プロジェクトの音源が日本のESAGOYA Recordsよりリリース。こちらはパワフルで勢いの良いロウ&ノイジーなゴアグラインド。ひたすら騒々しくほとんどの曲が1分未満のパッとやって終わりという潔いスタイルで進んでいく。時折箸休め的なパートやメロディックなリフが入ったりと緩急の付け方も素晴らしい。

試聴・DL↓

・Golem Of Gore “Madness is the Beginning: Beyond the Darkness of the Brightest Gore”

イタリア出身、2018年頃より活動する今や人気バンドの待望の1stアルバム。以前の作品ではスラッジ的要素を組み込んだゴアなどもプレイしていたが、本作ではブラスト&ピッチシフターヴォーカルをメインにひたすら突進していくストレートなゴアグラインドを収録。荒々しく、全てをグチャドロにして混ぜ込んだようなサウンドでありながらも、整えるところはきっちり整えてキメるところはしっかりキメるという「美しさ」すら感じる作風は彼らだからこそ成し遂げられる技だろう。

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・Moiscus “Oligophrenic Anthropoids”

オハイオ州出身、2020年より活動する新生ゴアグラインドデュオ。みんな大好きカンカンスネアが終始鳴り響くフルブラスティングな作風だが、要所要所にデスメタル、ブルデスっぽいグルーヴ感も入り込むちょいシブめのサウンド。ヴォーカルは終始ゴロゴロ&ゴボゴボの水気たっぷりスタイル。普段はデスメタルを愛聴してて、ゴアはSulfuric Cauteryが好きなんて方には是非オススメ。

試聴・DL (ビアボングなんかも売ってます) ↓

・Rectal Wench “Judgement Of Whore Labia From The Sewer Throne”

北京出身ポルノゴア (一部で大人気のCave Have Rodのメンバーも所属してるらしい) 。ひたすらグルーヴィで踊れるノリノリポルノゴアをプレイ。C.B.T.、Gut、SxRxOxMなどのベテランポルノゴア勢のカバーも収録されており、サウンドは昨年紹介したUnited Sperm Donorsのように古き良きグルーヴィポルノゴアをしっかり踏襲したわりとしっかりめの楽曲を収録。メンバー写真も覆面&ダッチワイフという「これぞまさに」なスタイルが素晴らしく、またSEは中国系のものもあり、母国愛が感じられるバンドでもある。さらなる情報は以下の記事を参照いただきたい。

試聴・DL↓

・Ass Deep Tongued “Shit's All Right”

2019年に開催された“Asakusa Deathfest”にデスメタル勢と共に来日し、アウェーな環境ながら多くの人々にインパクトを与えた彼らの1stアルバム。ゲストヴォーカルにはSpasmKlysmaのメンバーや@onisirigeが参加。Spasm、Gutalax等の影響が感じられる今風なグルーヴィポルノゴアを中心にプレイしているが、彼らは単なるポルノゴアバンドではなくBackstreet BoysやOne Directionと同じく「ボーイバンド」としての一面も持ち合わせており、オートチューンや若干の古臭さも感じるエレクトロサウンドが織りなすポップ系の楽曲も聴きどころの一つである。特に最後の曲なんかは普通にいい曲。

試聴↓

・Hatefilled “Violent Disembowelment Of Hatred”

Regurgitateの同名EPを名前に冠し、純度100%のRegurgitateサウンドを炸裂させていることで話題沸騰のアルゼンチン出身ワンマンゴアプロジェクトによる最新作。Regurgitateファンはもちろんマストの作品だが、デスメタル好きの皆様やゴアグラインド入門編としてもオススメできる作品。後にリリースされ、本作も収録されているコンピレーションも要チェックである。

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・First Days Of Humanity ‎“Displayed”

名前だけが先行しつつも、好き者には確実に刺さる楽曲を制作し続けているLDOH流原始時代回帰系ゴアグラインド。毎度の如くスタイリッシュな打ち込みサウンドにオールドスクール系フレーズが組み込まれた楽曲に、本作では少しばかりメロディックでキャッチーなフレーズや下水道ヴォーカルなどが挿入されている。今年は本作のほか3作のEPが発売されたが、10月にFacebookにて活動終了が報告されている。とても悲しい。

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・Fetal Deformity "A Variety Of Horrendous Pathogenesis And Premature Death Cases"

メキシコ出身ゴア。昨年紹介したMetrorrhagia (及びBasic Torture Procedure) のZachや同郷のPostmortem Neurofetish Bionecrosisのメンバーをヴォーカルに迎えて制作されたEP。カンカンスネアと下水道ヴォーカルがあれば十分な幸福感を得られる方々には是非オススメな作品。実際ドラムはそれなりの安定感とスピードがあり、ヴォーカルもビシャビシャ具合が最大限に表現できてたりと両要素のクオリティは高い。楽曲も一辺倒な感じではないので飽きずに最後まで楽しむことができる。

試聴・DL↓

・Lymphatic Phlegm “Roughly Excised - Putrefindings, Morbidescriptions And Necrognoses”

ブラジル出身ベテランゴアグラインドデュオ、結成25周年を祝うべく制作された14年ぶりの新作。パソロジカルな世界観を追求し、無機質なマシンドラムと共にオールドスクールなゴアグラインド/デスメタルを奏でる彼らのスタイルはワンマンゴアを中心とした多くのバンドに影響を与えている。久々の新作となった本作でもその勢いは衰えておらず、彼らの代名詞と言えるマシンドラム、邪悪なピッチシフターヴォーカル、メロディックなギターリフが心ゆくまで楽しめる作品になっている。

試聴・DL↓



番外編 ゴアグラインドじゃないやつ

・Mortify “Grotesque Buzzsaw Defilement”

東京を中心に活動、世界各国で人気のHM-2グラインドコア。ショートカットだが、殺傷能力の高いギター、走り抜けるブラスト、地の底から聞こえるようなシャウトが一曲一曲余すことなくアグレッシブに暴れ回るボリューム満点な作品。

試聴・DL↓

・Face Clasher “Concave”

結成から24年の時を経てリリースされた滋賀出身2ピースパワーヴァイオレンスバンドの1stアルバム。これこそ真のパワーヴァイオレンスとも言えるファストで緩急のついた90’sサウンドを、当時の空気感や勢いなどもそのまま体現したかのような楽曲を収録した作品。

試聴↓

・Sanctioned “Annexation”

The KillUndinismなどのオーストラリアグラインドコアにおけるベテランバンドメンバーが所属するバンド。Dビート、ブラストを中心とした肉厚なグラインドコアサウンドに叙情系っぽさも感じさせるメロディックなリフなどが挿入された少しダークでオシャレな作風のアルバム。

試聴・DL↓

・ヒミツの錯乱棒 “精神白濁”

秋葉原発、各地でドス黒い感情と汚物を撒き散らす社会不適合者集団。自身のルーツでもあるパンクロックを中心にグラインドコア、ヘヴィメタルなど様々な要素を混ぜ込んだ独自のサウンドを、生々しく危険なライブの空気と一緒に真空パックしたかのような作品。ただ音源の情報を纏めただけの人間が何故か話題に上がったとの噂もあるインタビューも必読。

試聴↓



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