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二月九日の日記と末路月雑感


※舞台のネタバレしてますよ

夜公演だったから、家でゴロゴロしてギリギリに行こうかなあと思ってたんだけど、そういえば観劇用の靴が壊れてしまったのを思い出して都心まで買い物に行くことにした。アロンアルファでくっつけようとしたけど靴下がくっついた(危ない)グローブ座がある新大久保までバスなどで行けばもう少し簡単に行けたのだがわざわざ都心で乗り換えをする。足がデカいからZARAの25.5しか入らない。巨人族の足。

無事に買い物を済ませ、時間あるしネカフェで漫画でも読もうかしら、いやでも高い喫茶店のラムが入ったココアが飲みたい気分、あれうまいよねー煙草も吸いたいし。なんて思って喫茶店まで歩いていたら随分のっぽな男性が道の真ん中でキョロキョロしていた。外国の人かなあ、大丈夫かななんて思って横を通り過ぎたらコートの裾から白い棒が見えた。

「目に障がいがある方のお手伝いをするとき、いきなり来られてもびっくりすると思うし、どうしたらいいんでしょうか」「「お手伝い必要ですか?」と声をかければいいと思います、大丈夫な場合はきちんとお断りできますので」キスマイがパーソナリティをしてるチャリティーでそんな話をしていたことを思い出した。

多分、キスマイがこういう番組をしていなかったらスルーしていたと思う。チャリティーミュージックソンを聴いてから道徳心が1%だけ上がった、気がする。なので勇気を出してお声をかけてみる。慣れている土地だけど日曜日の喧騒に呑まれて方向がわからなくなっていただけだったので、階段までご一緒してバイバイした。背が高くてニコニコして感じがいいおにいさんだったな。ちょっといい気分になり、ココアを二杯も飲んでしまった。おいしかった(よかったね)


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白杖の人を、この日はもうひとりみた。横尾くんだった。

横尾くんの役、敏幸(としゆき)は全盲の青年で最初に階段を降りるシーン、目が明後日の方向を向いていた。最初一瞬緊張しすぎか…?大丈夫か…?と思ったけど横尾くんの丁寧な歩き方や空気の感じさせ方でそうじゃないってわかった時、彼のお芝居の力は私が知らない間にぐんぐん伸びていってるんだなあ!ととても嬉しかった。

舞台すごいよかった~ああいうストレートな人情劇が好みなんだよね。変に奇をてらって面白くない舞台をたくさん見てきたから、こういうシンプルなつくりの方が日本語の美しさの際立ちとか、人の感情がきちんと立体化されている感覚という理由で好きです。Twitterでも言ったけど引っかかったのは時系列が結構混在してちょっと入ってくる文字だけではわかりにくいな~とは思ったけどほんと、引っかかったのってそのくらい。あとコメディシーン鉄板多いなwwwwwそれは面白かったからよしとしましょう。あの噂が速攻広まる感じもすごい田舎っぽくてよかった、と思う田舎育ち。

罪を秘めてルサンチマンを兄に抱える千賀さん…似合う…イイ…。近年の千賀さん、肩の力を抜いてパフォすることがすごい上手になってきたな~って感じるんだけど芝居もそうだった!最後の年のドリボにも行ったんだけどあのチャンプもどこか力強さのなかに風前の灯を感じてとてもすきなお芝居だった。陽左志(ひさし)がああいう役だからもう少し激昂したり叫んだり感情大爆発なのかなって思ってたけど、静かに病んでいく様が本当にそれこそ選択さえ間違えなかったら普通の男の子なんだなあと感じさせてくれてとってもよかった。多分一番の見せ場、陽左志が敏幸に罪を告白するシーンの温度感が本当にすばらしいよ~(泣) 

これはちょっと「そして僕は途方に暮れる」の時の藤ヶ谷くんが謝罪シーンに近いものを感じて若干地獄みたいな気持ちになった…(いい意味で…)


そんで横尾くんはもしかしたら舞台向きなのかも…?うーん甲乙つけがたい…。やっぱりあの籠る声と滑舌はネックだとは思うけどでも横尾くんのお芝居、前はそんな感じたことなかったんだけどちゃんと空気とか間合の取り方が超上手でやっぱり舞台のお芝居は声や表情だけじゃ表せないことがあるよな~とめっちゃ気づかされた!それがなんだか敏幸のセリフの「目が見えなくても声や空気で感じれることもある」につながってきて泣いちゃうな…。あと陰と陽の演技だったら陽のお芝居の方が圧倒的に上手なの、とてもらしくて好きだな。悲しい場面の顔ほんと濡れた秋田犬。

ミュージックソンで横尾くんは大学を訪ねて視覚障がい者の視覚を体験できるセミナーに参加していた。2年前かな。横尾くんの愚直さ、素直故の偏見のなさ、知らないことを恥ずかしいと思わない姿勢、彼にぴったりの取材でとても印象深かったんだけどまさかこういうエンタメの場に活きてくるなんて思いもしなかった。横尾くんがいつも言ってる「ジャニーズはいろんなことを出来なきゃいけない」「いろんなお仕事でまた次のお仕事へつながっていく」という言葉の巡り合わせがやけに感動しちゃって前半はずっとじ~んとしながら見ていた。

お友達に全盲の役だったって言ったら「わたる(と宮田くん)じゃなかったらどうにかなっちゃいそうな役だね」って言われてハ…確かに…。アイドルで重い役をやって潰れちゃったりやんじゃったりする子を何人も見てきてるからそうなっちゃう子(のお芝居)が苦手だったりするんだけどそういうところ横尾くんも宮田くんもきっちりオンオフつけていそうで素敵だな。いや別に前者が悪いというわけじゃなくただ好みね…(前者のが”すごみ”が出たりするしオタクは命かけてるの好きだからこっちの方が市民権あると思う)


敏幸は目は失っているけれど、何もかも陽左志より「持っている側」で「選ばれる側」っていう比較もとてもグっときた。横尾くんって技術的な才能だったり努力の方向性的には秀才タイプだとは思うんだけどマインドとか考え方は圧倒的天才タイプだと感じていたので、選ばれる側の持っているというだけの高慢さ…とはちょっと違うけどとにかく選ばれない側のやわらかい部分をきっちり刺してるような感じ…。うーん語彙がなくてむつかしい。とにかく存在の圧とか悪意ない光り方の雰囲気の出し方が超よかった!

私が横尾くんの今回のお芝居で一番グっときたのはここだったな~でもこのレベルの話になってくるともはや人間性の話だね(笑)

陽左志の元に伝手もないまま歩いて行って、ぶつかって、そのまま抱きしめる様、これがこの人の宗教染みているが所以の部分か…ってなんか冷静に見ちゃった…。なんで冷静かって?もう信者だからです…。

私は圧倒的にネガな方に感情移入しちゃうので陽左志の想いとかにほよほよしてたけど、オタク的にはこっちの構図の方が客観的に自担の芝居みれてよいのかね。


ていうか他の演者さん思いの外多すぎてもっと宣伝してよ!!!!!!!!!!良い役者さんばかりでした、パンフまだ買ってないからはやくみたいな。ていうかあいらちゃんの子現役JKなんだけど…おい…横尾くん…たまにおじさんの顔になってたぞ…。


結構こういうお芝居ってどんどん次の日のカレーのように煮込まれていって良いものになるイメージなので初日からかなりクオリティ高くてびっくりした!海みてないからなんともいえないけど月がどうなっていくのかめっちゃ想像つかないので後半に行くのがとても楽しみだ~。

は~自担がとても素敵な舞台に出て素敵なお芝居をすることってこんなに幸せなんだね~!知りませんでした!おさけおいしい!(?)


私もあの時白杖の方に声をかけなかったら違う人生の末路になってたのかな、なんて考えながら観劇してた。いい方にいくといいなあ。




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