湖畔をぶらぶら散歩して、もくもく制作した
こんにちは!
前回、想定外に書きすぎてしまったので、ここから活動の振り返りをします。先日、卒業研究の実践活動として湖に訪れ、ぶらぶらとお散歩をしながら、写真をとったり、ノートに絵や文字をかき込んだりしたのちに、短歌とモビールづくりを行いました。
1.湖畔をぶらぶら散歩する
晴れた、清々しい青空で、まだ夏の暑さが残る日に湖を訪れました。
本来ならば、想定していた実践のように、複数人での吟行を行いたかったところでしたが、新型コロナウイルスの懸念もあり、今回はひとりでぶらぶらお散歩をしました。その際に、スケッチブックとカメラを持ち、都度記録しながら歩き回りました。だいたい2時間くらいのんびりとふらふらしました。
その記録がこちらです。
ところどころ、隠していたり、散歩しながら描いているので、みにくくてごめんなさい。
このお散歩を振り返ってみると、いつもより他者の鳴らす音に対してとても敏感に反応していたように思えます。
わたしはひとりで歩いていましたが、まわりは家族連れやカップルなど複数人で湖畔を楽しんでいました。そのため波のさざめきに耳を澄ませているはずが、いつの間にか他者の会話を聞いていたり、走る音にまで興味を持っていました。
また、この日は色がとても鮮やかなのですが人々の醸し出す柔らかな空気もあり、花々や木々、湖、空、雲なにもかも淡い印象を受けました。
2.短歌をつくる
このお散歩を終えて、ノートを見返したり、心が動いた出来事をもとに短歌の制作をしました。
これがお散歩中に制作した3首です。
3首とも賑やかな人々がいる湖畔から少し離れた柳の木の下に、ひっそりとあった木製のベンチの上で、うとうとしながらつくりました。お昼ご飯を食べた後だったので、とってもまどろんだ空気が心地よくてついつい昼寝をしちゃいそうな場所でした。
そこには小さなアリがいっぱいいたのですが、その中の2匹に3首制作し終えたあたりで思いっきり手首を噛まれたので、はっと目が覚めてアリが怖くなって、拠点に帰るため、制作をやめました。
3.モビールをつくる
まどろみの余韻に浸りつつもアリに噛まれたショックを抱えて、拠点では短歌をイメージしながらモビールの制作をはじめました。
今回は、この短歌を選びそこから想起して制作しました。
するすると溶け込むように沈んでく ドーナツ型の湖の前
この短歌の制作意図を少し述べたいと思います。この歌をつくっている時、すごく眠たくて空と湖の青さに境目がないような景色が視界には写っていました。夢と現実の境目を失い、思考の中に、景色の中に沈んでいく感覚を、洞爺湖というドーナツ型の湖の前で味わう自分を俯瞰してみたとき、そのまどろむ感覚に心地よさを覚え、記憶に残したいと考えたため、短歌にしました。
短歌をつくった本人であるわたしにとっては、この歌を見るだけでその時の情景にある自然や人びと、音、風、匂いが静止画ではなく動画で蘇ります。
その感覚を短歌から思い出しながら、モビールの制作に取り掛かりました。
できたモビールはこちらです。
使用した素材は流木と粘土、画用紙、カラーテープ、針金と糸です。流木は落ちていたものを分けてもらいました。ひとつは水色に塗り、ひとつはそのままの色を生かして使用しました。
この日の晴れやかさを表すために右は、鮮やかな青を基調に太陽の反射する輝きを右の輪っかで表し、波の白さと水の青さかたちないものをかたちであらわす脆さを浮いたように見える円で表現しました。左は右の湖に沈んでいくうとうとした自分の思考や身体をぐちゃぐちゃなかたちで表現して吊るしました。
4.振り返り
この活動を終えて振り返ってみると、湖畔を歩いて心動く出来事や情景、言葉を拾い集め、そこから短歌をつくり、かたちを考える。そして、バランスを考えながらモビールに落とし込むというプロセスは、さまざまな部分の脳みそを使うなと、一本道の思考ではつくれない!と感じました。また、短歌をつくることと、モビールをつくること2つの「つくる」を半日の活動で行うのは思ったよりも労力が必要であるということもわかりました。この他にもやってみないとわからなかった問題点がいくつも見つかりました。
一方でやってみないとわからなかった楽しみにも気づくことができました。
短歌をつくってから、つくったモビールを見ていると、とても心が躍りました。自宅に持ち帰ってからわたしはこのモビールを飾っていますが、モビールが揺れるたびに短歌を、そして湖の記憶を鮮明に思い出します。旅行に行ってお土産を買い、ずっと大切にしている理由や人にお土産をあげたくなる理由がわかった気がします。
ものからことへと文脈を記憶を辿るきっかけに、ものはなり、より鮮明に個々の記憶に想いを馳せるための拡散する道具に短歌はなりうるのではないかと感じました。
5.おわりに
今回の活動は、想定していた実践とは異なり、1人で行いましたが次回は複数人での実践を行うことを視野に入れ、問題点に対して、どうすれば根本的なことを実践できるプロセスになるか模索していきたいと思います。それに加えて、この、短歌を用いたプロセスの実践研究がデザインにどう役立つのか?また、それは誰にとって役立つのか?自分が目指したい研究のブレない芯は何なのか?など、さまざまな問いと向き合いながら、実践を繰り返し研究を進めていきます。では!
つづく
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