東大地惑専攻院試体験談

1.筆記試験感想

<TOEFL-iTP>
8:40開場→9:20締め切り ここからが長く、TOEFLの受験番号記入→写真照合が終わり15分ほど待機(この時間無駄なので9:30〆切にしてほしい)
試験は10:00-(Listening:35分Grammar:25分Reading55分)-11:55(実際には11:59)の120分程度(すべて4択)
Listening
PartAが一問一答方式で30問。ここが全ての問題の中で一番難しい。実際後半は少し置いて行かれた。しかし、事前の演習ではもっとしゃべるスピードが速くて絶望していたところ本番ではそこまで早くなかったのでまだ耐えている。
PartBが会話聞く方式で2大問各4小問で全8問。PartCが講義を聞く方式で3大問各4小問で全12問。ここはまあ普通の長文読解である。事前の予想問題では問題文が表示されていなかったが、本番では問題文が表示されていたので予想より楽。
Grammar
空欄補充15問誤文訂正25問。いつもの文法問題。時間が2-3分しか余らなくて見直しはできなかったが、いつも通り。誤文訂正は、時制・三単現・代名詞とかの文法知識が入っていればほぼ気づくレベル。
Reading
長文読解が5セットで50問。出題は、砂漠や形成学、歴史などの文章が出てきた。TOEICに比べればはるかに読みやすくてラク。とはいえ、時間は緩いというわけではなく、こちらも3分くらいしか余らなかったので、見直して終了。所々で単語の知識を問うところがあったので、難単語を知っているかどうかで時間に差がつくと思われる。
試験終了後、20分近く枚数確認で待たされる。試験監督は専攻の教員だったが、枚数確認の手際が良くなくてイライラしていた
<専門科目>
13:10締め切り→13:30-15:30試験
問題は選択式で数学・物理学・化学・生物学・地球科学から2科目選択。数学以外は各大問3つで数学のみ大問2つ。Fラン学科なので問題数が少なくて一つのミスが命取りで非常に怖い。固体地球というレベルの低い専攻に行くわけではないのでしっかりと数学と物理学を選択した。
答案用紙は6枚で各大問で1枚を使用するよう指示があった。
数学
大問Ⅰは小問集合。(1)は$${z=0,x^2+(y-2)^2\leq1}$$をx軸周りで回したとき表面積と体積を求めるものであった。これはただの高校数学(青チャにすらありそう)なのでできないと高校生以下だと思う。(2)は常微分方程式。ベルヌーイ型になおして変数分離→変数変化法の普通の流れである。ただし、計算が面倒なので自分も途中でミスってるかもしれない。(3)で$${\chi^2}$$分布の問題が出た。これを見た瞬間"あっ やっちまったなー"となった。今まで過去問ではデータ分析の問題はあったが、ガウス分布やポアソン分布とかいう素人にもできそうな問題だったので見過ごしていたが、これは予想外だったので焦った。しかし冷静に$${\chi^2}$$の値は正解した(自由度の所はミスった)小問集合の部分の難易度は去年並み。
大問Ⅱは行列。何となくジョルダン標準形出そうだなと思っていたらまさかの的中。しかし、問題自体は計算ごり押しで解ける高校生レベルの問題だったので落ち着いて全完。流れとしては固有値を求める→固有ベクトルを求める→ジョルダン標準形に変形→$${A^n}$$の導出である。この部分の難易度は去年より易しい。
数学は概して9割近くは行ってほしい。しかしどこかしらで計算ミスをしている可能性があるうえ、配点が不明なので実際獲れるかはわからない。
物理
いつも通りⅠが力学、Ⅱが電磁気学、Ⅲ熱力学。こんなカスみたいな古典物理なんか無視して摂動論とか比熱モデルとか相転移とか楽しい問題が良かった
力学問題はいつもなら剛体(去年はコリオリ)でまだ大学力学っぽい問題なのに今年はなんと完全に高校物理。さすがFラン学科といったところだ。
問題設定は斜面を持つ剛体(質量M,角度はθ)、位置は静止座標系で最初あったポイントで(X,Z)=(0,0)でZ軸は鉛直上向き、Z軸は右方向。剛体の斜面にばねがありその先に質量mのおもり。ただし大きさは無視。台静止系での座標(x,z)はxが斜面右向き、zが鉛直上向き。ただしゼロ点はばねの自然長のところ。おもりのx方向の変位を$${x=x_0+u(t)}$$として$${x_0}$$はつり合いの位置。剛体のz方向の変位をU(t)とする。ばね張力をF(t),おもりへの垂直抗力をN(t)とする。$${t=0}$$のときおもりの変位が$${x=x_0+\delta u}$$として静かにおもりをはなす。
(1)では台は完全静止として、(1-1)では$${x_0}$$の導出、(1-2)ではx方向の運動方程式導出、(1-3)ではu(t)を求めた。ここまではただの高校物理なので間違えたら中学生だろう。
(2)では台が動くとして、(2-1)ではばね張力をもとめて、(2-2),(2-3)ではx-z方向とX方向とでおもりと台の運動方程式を出す。(2-4)では4つの式からU(t),N(t),F(t)をけしてu(t)振動の角振動数を求める。運動方程式を出すところまでは多分大丈夫だが、そこから文字を消す作業がただただ面倒くさいので、角振動数までは出せたけど計算ミスが怖い。以上が力学問題。カスみたいな問題でした。
続いて電磁気学問題。今年は電気双極子でした。流れとしては電気双極子の電位を求めて電場を求めて、距離のある電気双極子へその電場がもたらす力を求めて、四重極の議論に入るみたいな感じだ。ここはかなり大学物理っぽくてまださっきのよりはましだ。電気双極子の電位から微分して電場を求めるところで詰まった人が多いと思うが、極座標微分ではなくデカルト座標微分で出せるのでなれれば詰まるところではない。ただ、私は1→3→2の順番で解いたので最後の問題は結論まで至ることができなかった。以上が電磁気学問題。
最後は熱力学問題。例年通りかなり簡単で、大学生を舐めているのかという出題だった。
最初はヘルムホルツ自由エネルギーの全微分からマクスウェル関係式求めて、そこから等温過程でエネルギーを体積で偏微分したときの表式を求めるものであった。ここは誘導に乗るだけであるが、等温過程での体積偏微分で詰まった人がいるかもしれないというくらいであとは大学一年生が全員解けるレベルの問題である。
次に、光子気体の議論に移った。P=u(エネルギー密度でU/V)/3が支配方程式(つまり等圧比熱が3R)の時を議論した。ただし、自明にP,uは温度にしかよらない条件が付く。流れとしてはPか何かしらの物理量を全微分して$${PV^3=const.}$$を示すものである。これも少々特殊だが誘導に乗れば楽勝である。
最後に光子気体のカルノーサイクルの熱効率が$${1-T_1/T_2}$$であることを示すが、等温過程はPが一定なのでQが求めやすいこと、および断熱過程では$${PV^3=const.}$$なのでこれを使えば一瞬で出てくる。第三問は余裕過ぎて間違えようがない感じだった。
物理学のまとめとしてはB1終了時の自分の方がひょっとしたら点数とれそうといったものか。出題内容が幼稚で計算をむりやり煩雑にしただけのカス問題ばかりを作り上げた地惑専攻には頭が下がるばかりである。物理学は8割以上は行っててほしい。
まあ正直内部生は10年に一度落ちるかどうかというシステムに問題があると思う。我々の代にはとてもまじめに勉強していなさそうなのが数人いるので、その人たちを蹴り落とすような試験を期待しているがこの志願者数ではそれは不可能であることがただただ残念である。

2.面接

無事筆記通過を確認(8/27)し、面接の準備をしようと思ったが情報が出てこないのでとりあえず小論文に書いたことと志望理由を確認しておいて面接に臨んだ。大気海洋科学の面接1本であった。指定された時間の約15分前にzoomに入ると待機画面になり、指定された時間の1分後に面接が始まった。教員は全部で10人くらいいた気がする。まず、冒頭に受験番号と氏名の確認と受験票を見せるように要求されて指示に応じた。その後、志望理由を説明してくださいとktmtから言われたので、「この大学で数学物理気象学を勉強してきてそれをいかして大学院で研究をしたいと思った」のような説明をした。その後、「合否に関係ないのですが、ほかの専攻を志望しているか」とktmtに言われたので、「してないです」と説明した。このあとktmtからほかの先生方から小論文について質問があるかと言われた。
<質問者1(名前忘れた)>
「すごい興味深い小論文で、前半はどうしたいか書いてあって、後半は具体的な研究室とか進路を書いてあるんだけど、なんで柏キャンパスは絶対嫌って書いてあるんですか?」という質問が来ました。(小論文では「また、柏キャンパスは私の生活範囲の都合上通学が難しいため、できれば回避したいで す。」と書いた)返答は「いま私は神奈川県南部に住んでいて院進後は東京に引っ越す予定だが、柏は遠いことと、自分の興味分野は大気力学・気象モデリング系で柏には気候変動の人しかいないからやめた ただ完全に柏にはしないと決めたわけではない」と発言した。ちょっとこの人は高圧的で嫌だった。
<質問者2(tzk)>
「明確に海洋分野が嫌と書いてあるだが、どうしてか」という質問が来ました。質問者2は海洋分野の人なのでこれを質問するのも頷ける。(小論文では「海洋分野にはあまり興味がないため回避したいと考えて います。」と書いた)返答としては「中学生のころから海洋よりも気象の方に興味があり世界各地のデータを見るなどしていた。大学の授業をたくさん受けた中でもやっぱり海洋学よりも気象学の方が興味があるので気象学の方がよい」と発言した。tzkさんはよく知ってる優しい人です。
<質問者3(ktmt)>
「あなたの考える気象学と海洋学の違いは何ですか?」という質問が来た。いやがらせのような質問だ。回答は、「何となくのイメージだが、(学問的に正しくない気がするが)海洋はデータ点が気象に比べると貧弱で個人的にはデータ解析も趣味であるので常にデータを得られるという意味で気象の方がいいかなと考えている」と回答した。正直この質問が一番想定外できつかった。
<質問者4(stokor)>
「量子コンピュータについての記述があったけど、どういうことか」みたいな質問が来た。(小論文では「また、大学での勉強を通して量子コンピュータにも興味を持つよ うになり、量子コンピュータと気象学について研究して、あわよくば量子コンピュータの知識を 気象学に応用したいという気持ちが強くなりました。」と記述)これは想定質問だったので、「後期課程で物理学科の量子力学や量子コンピュータの授業を取った経験を生かして量子コンピュータを用いた気象モデルの研究もしてみたい。MURさんのところでは実際に量子コンピュータを扱っているので、やってみようと思った。」と回答した。想定通りの質問だったのでここで落ち着きを取り戻した。
<質問者5(MUR)>
「うちのところでは学生に自由にやらせてるだけで、量子コンピュータやってる人は実際しんどそうだし、やめたら?」と質問が来た。でしょうねという質問だった。一応逃げとして、「量子コンピュータにかんしてはできたらいいなという感じなので、厳しそうならば通常の気象モデルについての研究をしようかと考えている」と回答した。
加えて、「データ解析と気象モデリングどっちの方が興味があるか」と質問が来た。「まだ迷っている。昔はデータ解析の方が興味があったが、大学での授業を通してモデリングへの興味も増してきたので現時点では五分五分」と回答した。
<質問者6(KIK)>
最初に、「修士課程修了後の進路」についての質問が来た。まあこれも想定質問だったので、無難に「現時点では気象庁などの官庁に入省または一般企業への就職を考えているが」と回答して、「博士へは行かないのか」というアカハラ質問が来たので「修士は2年あるのでまだわからない。興味のある文やが発生してもっとやりたいなと感じたら博士も検討する」という嘘っぱちを述べて回避。
最後に、「データ解析にも興味があるって言ってたけど、気象のデータ解析でなにか異常な行動をしたことがあるか」と質問が来た。何だこの質問は?とりあえず、「自分は南岸低気圧による降雪が好きなので始発電車でわざわざ箱根の山奥に雪を観測しに行った(2017.4.1)ことを一応述べておいた。
ここで時間が来たので、ktmtから「以上で口頭試問は終わりです。質問があるかもしれないので三分間待機しておいてください」と言われて今これ

3分間待ってやる

これで私の院試引きこもり生活は終了した。あとは天命を待つのみ。
(追記:9/18 合格してました 次は研振り編・開示得点を11月に公開予定)

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