【MeWSS論文コラム】 論文にしていない学会発表はありませんか

 さまざまな領域の医学系学会に参加していますが、どこも活発で多くの演題発表があります。それぞれ発表の準備には時間がかかり様々なご苦労があったと想像します。発表が終わって皆さんで打ち上げしたらそれでおしまいなのかもしれませんが、せっかく患者さんのデータをまとめて何かを考察したのであれば、やっぱり論文にしないともったいないです。

 ケースレポートや観察研究論文、総説など論文を書く方法については、これまで個別にご紹介してきました。一方で論文や研究の種類にかかわらず、根本的に学会発表から論文執筆までどうしても進められないという声がとても多いです。それぞれ色々な理由があると思いますが、これまでの経験を踏まえて事例を想定し、改めて進め方を考えていきたいと思います。
 学会発表が終わった後、それを論文にもするようにと指導教官から言われたという状況を想定します。そういうご提案があったということは、その研究と結果は論文になると指導の先生が考えたということです。たとえ自分では「こんな内容では論文にならないんじゃないか」と不安に思ったとしても、まずは指導の先生を信じて進んでみることに決めましょう。どんな小さな論文でも、完成させて投稿するのにはかなりの労力と時間が必要です。これを一つやり遂げたというだけで、大いに誇れることです。
 雑誌を選ばなければ、そして倫理的不備がなければ、どこかの雑誌に掲載される可能性はあります。どんな内容であっても、事実を報告することは世界のどこかの臨床医や患者さんの役に立つかもしれません。英語の論文にしないと海外の人の目には止まりませんので、とにかくなんでもいいので英語論文にしましょう。
 論文にする計画があったものの進んでいない学会発表データがあるのなら、この夏休みの機会に見直してみませんか?
猛暑で外に出かけるのもなあという状況であるなら、論文を進めてみるチャンスです。

 論文にすることは決めた、けれどもそこからどうやって進めていいかわからない、という声が多いことから、MeWSSという事業を立ち上げました。わからないことはまず誰かに相談したほうがいいと思います。近くの先輩でも指導教官でも、学会で知り合いになった親切な先生でも、とにかく話を聞いてくれる方がいれば捕まえて質問しましょう。
 知り合いに初歩的な質問をするのが恥ずかしいということなら、コンサルティングサービスをご利用ください。作業を始めると小さな疑問がたびたび発生します。その度に周りの先生方に聞いて回るのは気がひけるかもしれません。その点コンサルティングサービスはお気軽にいつででもご質問いただけます。ウェブミーティングは随時承りますし、疑問にはメールでもお答えします。このサービスは、一論文単位でアクセプトまで途切れなく続けます。

 論文執筆前でもご相談に乗ります。
例えば、ケースレポートでは適切な雑誌探しが最も大切です。これが決まったら作業の半分は完了したと言っても過言ではありません。だた、分野によってはどうしても雑誌が見つからないことがあります。こういう場合は、分野を変えることも検討しましょう。循環器の専門誌に出そうと思っていたが適当な雑誌が見つからなかった場合、その患者さんが小児なら小児科を、高齢者ならAging関係の雑誌も要検討です。
 今はケースレポートだけれども、5−6例たまってからケースシリーズにしようか、という考え方もあります。ターゲットとして考えている雑誌でケースシリーズの論文がどの程度掲載されているかを調べましょう。一般的にケースレポートよりもケースシリーズの方が雑誌探しは難航します。多少の例数を追加する時間をとるなら、ケースレポートとして早めに投稿することがいい場合が多いです。

 この夏もしお時間が取れることがあるのなら、お手持ちの発表データの棚卸しをしてはいかがでしょう。