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博多織とは?博多帯はなぜ締めやすいのか?折りジワが残らない理由も

(※この記事は以前こちらのサイトで掲載していたものを引っ越ししてきました。https://mewlifestyle271889071.com/)

私は博多織(はかたおり)の帯を持っていて、購入したのは2017年くらいだったでしょうか。その年と翌年と4~5回使って、1年ほど空いてまた使おうと引っ張りだしたんですが…

「これ新品だっけ?まだ1回も使ってなかったっけ??」と思ってしまったんです。(買ってまだ1回も着ていないのが他にもあるので、そういう記憶障害が起こることが私の場合あり得てしまうんですが)

引っ張りだして見てみたら、全く使った形跡が分からない!折りジワすらついてない!これが他の帯ではなかなか真似できない、博多織のスゴイところなんです。博多織は着物や小物もありますが、すごさが分かりやすいのが特に帯なので、今回は博多帯について書いてみようと思います。

博多織の歴史

博多織というから産地は福岡県・博多であることは容易に想像がつきますよね。ほぼ毎回言っている気がしますが、日本人の好きな3大帯の産地に西陣(京都)・桐生(群馬)と並んで博多が入ります。

では博多織はいつの時代からあって、現代まで受け継がれているのでしょうか?その歴史について紹介していきます。

 鎌倉時代

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引用元:https://hakataori.or.jp/about

博多織は鎌倉時代にまで起源が遡ります。当時の中国が宋と呼ばれていた時代、日本から海を渡って博多商人の満田彌三右衛門(みつた やそうえもん)さんが現地で織物の技を習得してきました。

日本にその技を持ち帰って、オリジナルの工夫やデザインを加えて発展させたのが博多織です。複数の模様がストライプ状に入っている柄は、博多織の特徴をよく表しています。

 江戸時代

その後時代は下り、江戸時代に黒田長政が幕府へ博多織の着物を献上しました。「独鈷華皿(どっこはなざら)」文様と呼ばれる柄を、献上したのをきっかけに「献上柄」と呼ばれるようになり、全国的に有名になった経緯があります。今では博多織の代表柄です。

独鈷と華皿はどちらも仏具のことで、この柄には厄除けの願いが込められています。この柄は現代で使ってもすごくおしゃれだと思いますし、私も好きな柄です。男性女性問わず似合うので素敵ですよね。

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引用元:https://kyo-ya.net/hanten/knowledge/

博多織の柄に使われる縞が2種類あって、中子持縞(親子縞)と両子持縞(孝行縞)があり、こちらにも意味があります。どちらの縞柄も太いのが親、細いのが子を表しています。

中子持縞(親子縞)は外側に両親・内側に子どもを表し親が子を守る様子で家内安全を、両子持縞(孝行縞)は外側に子ども・内側に親を表し親から子が広がる様子で子孫繁栄を意味しています。

 近・現代

1976年に博多織の帯が、着物地と袴が2011年に国の伝統工芸に指定されました。伝統工芸というのは経済産業省が指定するもので、伝統的技術または技法によって製造されているなどの要件を満たさないと指定されないものです。

博多織の特徴

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引用元:https://twitter.com/orionnowa/status/444274976053407744

博多織には独特の光沢があり渋めの配色でも華やかさが出るんですよね。多色使いするものもよく見られますが、使いにくそうでいて逆にどんな着物にも合う帯なんですよ。

見た目だけではない博多織の生地の特徴や締めやすさの秘密を紹介していきます。

 生地のしなやかさの秘密

博多の帯は縦糸の本数が極めて多く、1万本を超えるものもあります。普通の帯の縦糸の数は3,000本~5,000本くらいだったと思います。ごめんなさい、ちょっと普通の帯の数字はっきり覚えてなくて。

糸数は柄の画素数に影響するので多ければ多いほど柄が緻密になり、同時に重たくなるんですが、博多は重くないんですよ。糸が細くてしっかりしている証拠です。

この縦糸の多さが帯にしなやかさを生み、シワが残らないんです。シワが全くといっていいほど残らないので着物の先生には両面締められるよとか、腹部分を4パターン出せるよと言われます。残念ながら私にはそんなスキルは全然身に付いてませんが。

なのでせっかくの博多織帯はいつも同じ柄行きで使っております、はい……。もったな(笑)。

 鳴かせてこそ一人前?が締めやすさの秘密

博多織の一番の特徴は冒頭でもお伝えした折り目やシワに強いことと、一度締めると戻らないことがスゴイところです。普通の帯を締める時って、けっこう力を入れたまま結んでいかないと緩くなってしまうんですよね。</p>多織の一番の特徴は冒頭でもお伝えした折り目やシワに強いことと、一度締めると戻らないことがスゴイところです。普通の帯を締める時って、けっこう力を入れたまま結んでいかないと緩くなってしまうんですよね。

私いまだに帯の結びかた下手くそで緩くなってしまうこと多いんですが、博多帯だと緩くなりにくいんです。結び方が下手でも落ちてこない!前に生産者の人に聞いた話だと、帯の繊維同士がうまくかみ合うようにできているため、後ろに滑って戻ることが無いのだそう。

しっかりした組織で作られているので、生地をこすり合わせたときにキュッキュッと鳴って丈夫なのが特徴なんだそうです。そのため「博多織の職人は鳴かせてこそ一人前」という言葉もあります。

ちなみに伊達締めも博多織で作られています。伊達締めはしっかり着物をおさえる必要があるため、一度結ぶとしっかり留まるのを経験したことがあると思います。あの安定感が帯でも再現できるので、博多帯は締めやすいんですね。

博多織の証紙の種類

証紙にもいくつか種類があります。

組合の厳しい検査に合格した製品に付けられる伝統マーク付きの証紙です。こちらは私物です。

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金色の博多織マークは絹50%以上使用している証です。以下も私物です。

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絹の使用率が50%未満の場合の証紙です。

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引用元:https://hakataori.or.jp/about/shoshi

絹の使用率が50%以上の場合の証紙です。

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引用元:https://hakataori.or.jp/about/shoshi

絹の使用率が50%未満の場合の証紙です。

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引用元:https://hakataori.or.jp/about/shoshi

着尺・袴に使用される証紙です。

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引用元:https://hakataori.or.jp/about/shoshi

こちらは手織りの証紙です。手織りの証紙が付いているものは、まだ私自身は出会ったことが無い気がします。

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引用元:https://hakataori.or.jp/about/shoshi

博多帯のTPOとは?

八寸名古屋帯なら芯をいれないので単衣(ひとえ)の時期だけでなく、一年中締めることができます(単衣の時期とは春秋くらい)。着物だけでなく浴衣に合わせることもできるので、活躍するシーンが多い帯です。袋帯は夏以外の時期に使えます。

平織博多帯は通年使えて、カジュアルからセミフォーマルなシーンまで使えます。紗(しゃ)博多帯を使うなら7~8月、紋織博多帯は盛夏7~8月以外です。ほぼオールマイティにシーズン問わず活躍する帯といえるでしょう。

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博多織まとめ

博多帯は強くて締めやすいだけではなく、着られるシーンも多く季節もあまり問わずに使える非常に優秀な帯です。カジュアルなら普通のお太鼓ではなく、角だし結びにしてもおしゃれになります。

柄行きも豊富にあるので、献上柄以外でも探してみると楽しいと思います。博多帯を見つけたらぜひ締めやすさを体感してみてください。

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