不毛

不毛会議 #172

「うん!お前はハンサム!!うん!」

韓国ソウル午後23時。

オンドルの床暖房が必要以上の乾燥を呼び込みカラカラの部屋は砂漠のように乾いていた。

とある大きな問題に直面していた我々は
ホテルのアズナブルの部屋で雁首揃え
対策を捻り出す為に問題に向き合っていた。

参加者は
アズナブル。
企画チームのリーダー。
社外の貿易のプロ。
僕。
こんな4人だ。

「この場合税金は還付されるのか」
「それはどのくらいのスパンで?」
「資金の空白期間がどこにあるか」
「現地の調査員のレポートには彼の資産は…」

緊張するやり取りが続いていたら突然

「うん!お前はハンサム!!うん!」

と真顔で僕に向かって発言するアズナブル。

人間は褒められて悪い気分はしない。
しかし余りにも文脈から掛け離れた文言にどう対応して良いのか皆目検討もつかず、よりによって歯に噛むような気持ち悪い笑顔を見せてしまった。

この夜、抱かれるのかなと覚悟した。

抱かれることなく辞めるまであと28日。

つづく

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