新版:日本語の作文技術 本田勝一著
内容
この本は、読む側にとってわかりやすい文章を書くための技術を解説している。
日本語には語順の制約がほとんどないため、適当に単語を並べても文章が成立します。そのため、思い付きで文章を作成しがちです。最悪、主語と動詞と目的語を並べてさえすればいいので。ただ、わかりやすい文章にするには、法則に基づいて文章を作成した方がいいと著者は述べています。
例えば、「①赤い昨日買った花」と「②昨日買った赤い花」では②の方がわかりやすい気がしますね。これは、「節を先にし、句を後にする」という法則にのっとっています。今回は、「昨日買った」が節で「赤い」が句となります。
この本で記述されている法則は
・修飾の仕方
・句読点の打ち方
・漢字と送り仮名
・段落
・無神経な文章
・文のリズム
と多岐にわたります。
ぼくは「無神経な文章」のセクションが最高でした。ここでは、読者が投書した旅行記を取り上げています。冒頭の「5分ごとにあくびをした」という表現に「もう嘘が見えている」、文中の「ZZZ」に「軽薄なオノマトペ」、しまいには「井戸端会議ですませておけばよい」とすさまじい評価を下します。
あまりにウケを狙うと、しらけてしまうからやめておけという教訓を伝えたかったようです。SNSで自分もやりがちだなと思いながら読んでいました。
あと、本文における例文の思想が非常に強いです。例えば次の通りです。
「下山国鉄総裁を自殺と見せかけて暗殺する。」
「うん。CIAは恐ろしいからなあ。」
「しかしね。本当の敵はだね。そのまた背後にあった米独占資本なんだ。」
筆者は、きっとアメリカに強い思い入れがあるのでしょう。
最後に
すぐにでも使える実践的な内容でした。センスだと思っていた作文が、ある程度技術で何とかなるのは面白かったです。これからも定期的に見返すつもりです。
読了日2021/09/10
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