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84歳寅年京子ばあちゃんの老いるを楽しむを書き留めてみる その二十七

タローは我が家に来て2日間、ほとんど何も口にしませんでした。

夫には言いませんでしたが、心の中では「あまり長くは生きられないかも…」と覚悟をしていました。

3日目、夫が会議で会社に出かけた時のことです。

洗濯を終えて、リビングでタローを抱っこしようとすると、なにやら怪しい動き方をしているので、しばらく様子を見ていると、長い便秘を我慢していたように、うーんうーんとキバっています。

しばらくすると… でるわでるわ、白い虫がうじゃうじゃと… 思わずギャーッとなりましたが、すぐに夫に電話して帰ってくるのを待ってお医者に連れて行ってもらいました。

お医者から帰ってくると、すっきりしたのか、楽にしてもらえて信用したのか、見違えるほど元気になりました♪ 

一緒に添い寝していたぬいぐるみを咥えてブルンブルンと振り回したり、一人前に唸って威嚇したり、元気になるといろんな表情を見せてくれるので、可愛さが増して夫はずーっと抱っこしていて、しつけも何もあったものではなく、あろうことか、私が誕生日に奮発してプレゼントした高級ガウンの膝の上でうんちをしたのです。

私が「こらっ!!」と怒っても、「ダイジョウブ、洗えばええだけや」といってまた抱っこ… 私が何かをこぼしたりしたら大騒ぎなのに!!!

気持ち悪い回虫も片づけるのは私。
うんちのついたガウンを洗うのも私… 
夫は本当にエエとこどりで、タローも夫にべったりでした。

タローが来てからは時間の経つのも早く、あっという間に半年が過ぎました。

娘たちから、「タローの去勢手術はどうするの?」と聞かれるたびに、夫は聞こえないふりをします。改めて聞いても、「絶対にしない。そんなかわいそうなこと」の一点張り。

また自分と置き換えて考えているのがバレバレです。
ヤレヤレ…

何度も確認しましたが、絶対に聞き入れません。
まあ、私たちも家の中で飼うのは初めてでしたので、自然に生きる方が良いか…と夫を説得する方が疲れるので、ついつい受け入れてしまい、去勢をしないことにしました。

はじめての冬は家で過ごし、春になって温かくなってきたころ、夫はタローの犬小屋を創りました。
タローと初めて一緒に暮らした家は一軒家でしたので、大きくなってからは庭で放し飼いにしたのです。

今になってわかったことですが、私たちにとっては子犬の時だけ家の中で飼って、大きくなったら庭があるのだから外に出すというのは当然のことでしたが、タローにとっては「なんで?」という思いだったようで、犬小屋に入りません。家に入るベランダのガラスにべったりくっついて開けてくれ、入れてくれと、鳴きます。

そのたびに夫は出て行って、ここで寝なさいと教え、寝るまでついています。そのうち、夫が犬小屋で一緒に寝るのではないかと思えるほど、過保護でした。

そして、困ったのは放し飼いなので、ちょっと油断をすると門を開けて逃亡するのです。

最初のうちは、「お前がちゃんと閉めておかないからだ!事故に遭ったらどうする!!」と怒鳴りながら追いかけていましたが、そのうち、タローは追いかけてほしいから逃亡することがわかり、次女が帰ってきた時も逃亡したので慌てて外に出ると、お向かいの若奥さんが「大丈夫、タローちゃんいつものことだから放っておけば勝手に帰ってくるわ」と笑っているし、近所の子供も「おばちゃん、タローちゃんあそこにいたけど」と教えに来てくれます。そして、誰も追いかけてくれないことがわかると、お向かいの奥さんの言う通り、いつの間にか犬小屋にいます。

こうして自由奔放に育ったタローですが、やはり主人の愛情をたっぷりもらったおかげで、今では、私の夜中のトイレにも付き合ってくれるようになり、長いと心配してドアを開けて確認するようになりました。ありがたい限りです。

今日は奮発してメトロマーケットのお肉でもたべましょうか、タロー君。

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