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メチコ薬局 ニュース一週間 (2024年3月10日~3月16日)

一週間で気になった出来事をまとめていきます。
それではさっそく…


粉砕はアカンやろ

お薬を自分で粉砕できるアイテムが発売されるとのプレスリリースがありました。

「お薬クラッシャー」新発売。
錠剤を砕いてラクに飲める。錠剤を飲み込むのが苦手な方、ご高齢の方、お子様、ペットに。

プレスリリースより引用

このポストに対して乱れ飛んだのは、
「粉砕はアカンやろ…」といった声・声・声

粉砕しても問題のない錠剤が多数ある一方で、
粉砕することが好ましくない、またはしてはいけない錠剤というものも一定数存在します。

例えば…

【徐放錠】
薬の成分がゆっくりと溶け出し、効果が長く続くように加工したもの。
粉砕するとこの構造が崩れ、想定外に早く強く効果が発現してしまいます。

【腸溶錠】
読んで字の如し、腸をドロドロに溶かします ( ゚Д゚)ガクブル
…ウソです。
胃で溶けてしまったり分解してしまったりすると不都合が生じるお薬を加工し、胃で溶けずに腸で溶けるようにしたもの。
粉砕するとこの構造が崩れ、胃を荒らしたり、薬の効能を失ってしまったりします。

【糖衣錠】
原薬が苦い…いや苦すぎるために、糖衣で包んだもの。
粉砕自体は問題ないこともありますが、苦くて逆に飲めなくなったりするかも。
「いや、わたし苦いの大丈夫なんで」とおっしゃるあなた!
本当に苦い薬というのを舐めてはいけないよ(ダブルミーニング)
あいつら、マジでやべーから(語彙力)

さて、粉砕の可否については薬の名前からなんとなくわかるものもあれば、さっぱりわからないものもあります。
データが不足していて薬剤師ですら判断に迷うお薬なんかもあったり。

そのため、仮にこのアイテムを使うにしてもまずは粉砕の可否を薬剤師に相談してほしいなと思います。
※ 商品の説明書にもその旨の記載があるそうですが、はたしてどれだけのユーザーがそこまできっちりと読んでくれるのか…


後発品 → 先発品 変更してもいいってよ

現下の医療用医薬品の供給状況における変更調剤の取扱いについて
厚生労働省保険局医療課 事務連絡(令和6年3月15日)

・やむを得ない場合
・当面の間
などの文言はありますが、条件を満たすことで後発品銘柄 → 先発品への変更を容認する事務連絡が発出されました。

このあたり、これまで薬剤師に裁量権がないことが摩訶不思議アドベンチャーなのですが、一歩進むのと進まないのとでは大違い。

ここで「これはいいんですか?」「あれはいいんですか?」と当局へ質問をしはじめてしまうと、ことごとくダメ方向に揺れてしまう可能性があるために、グレーゾーンはグレーゾーンのままで、各自うまく解釈していただければいいんじゃないかなと思います。
前提として処方元と連携をとることは大切で、先方に不信感を与えるようなやり方は避けるべきですけどね。

「医師は全然わかってない」などというつもりはないのですが、医薬品の流通状況に関しては、実際に現場に立ち調剤をしている薬剤師のほうが圧倒的に現状を把握している状況だと思います。

だからこそ薬の剤形や先発後発など、細事のほとんどの決定権を医師側が有している現行制度が時勢に適しておらず、現場の医師と薬剤師両者を困惑させている現状があると思っています。

実際に面識のある開業医の先生方とお話ししていると、薬局からの「薬がない」の問い合わせが多かれ少なかれ業務を圧迫しているそうです。

これを機に、薬剤師の裁量権が少しずつ拡大していくといいなぁ。


ちょいとどんよりモードで記事のアップが遅れてしまいましたが、今回はここまで。
みなさま、明日からも頑張っていきましょー。

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