2023年6月に読んだ本まとめ

2023年6月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。


日日綴郎「青のアウトライン 天才の描く世界を凡人が塗りかえる方法」

これは好きなタイプの青春小説でした。
柏崎侑里という天才の存在を身近に感じながら、凡人であると自覚しつつも画家を夢見て努力する宗佑の対比が印象的。
分かりやすく眩しい天才は、それだけで周囲を惑わせますね……。
当然ながら侑里には嫉妬もするけれど、それ以上に天才である彼女の作品をもっと見たいという相反する心象をうまく描いていて惹き込まれました。
それにしても美少女3人(+α)に好意を持たれている宗佑は、本当に凡人か……?
努力も怠らないこいつこそ、天才とはまた異なる超人なのかもしれませんね……。


長月達平「Re:ゼロから始める異世界生活 1」

死に戻りをテーマにした作品ということで、窮地に陥りつつもそこで得た情報から未来を変えていく……というパターンがおもしろく、楽しく読めました。
あちこちに「これ絶対何かしらの伏線なんだろうな〜」という描写がありつつ、しかしその一方でこの1冊だけだとまだまだ最初の1日をトライアンドエラー繰り返してなんとか突破しただけに過ぎない状態なので、何にせよシリーズをこれから読み進めていくのが楽しみな作品です。
フェルトとロム爺の、ほのぼのした絆がかなり良かったですね。
本編には登場しないながらも巻末に有名なレムとラムが載ってるあたり、Web版の頃から人気だったのかしらん。


原作:のりしろちゃん、漫画:魚住さかな「オタクに優しいギャルはいない!? 第4巻」

1冊まるごと文化祭編。
お祭り感はあったけれど、この作品に求めているオタク感やイチャイチャ感はやや薄めでしたかね。
雨降って地固まるシリアスエピソード……というか、オタクくんが勝手に雨を降らして勝手に固めた感もありつつ。
大体想定通りのエピソードではあったものの、クライマックスの胸キュンはさすがでした。
本当にヒロインを選ぶのが不可能な領域にあるので、3人で幸せになって欲しいのです……!


東野圭吾「沈黙のパレード」

映画も良かったですが、原作も素晴らしかった。
様々な関係者の思惑が複雑に絡み合った、重厚なシナリオが素晴らしかったです。
トリックがどうとかという次元ではなく、関係者の誰もがその全貌を知らないストーリーは読み応えたっぷりでした。
それまで普通に生きてきた娘が突然命を絶たれる理不尽さや、悲しみ、怒りに満ちた作品でハラハラさせられます。
見せ場のひとつでもあるパレードのシーンでは、珍しく楽しんでいる様子の湯川が見られてよかったです。
実におもしろい、って今やあなたが言ったらただのギャグでは……。


綾辻行人「Another 2001(上)」

まずは、かつて読んだ名作「Another」のあの不気味な雰囲気、夜見山北中学を取り巻く薄気味悪さに再び触れることができたことが嬉しいです。
読み始めてすぐ、早速の違和感というか、大きなひとつの不気味な存在にぶち当たり、鳥肌が立ちました。
ホラーとミステリの共存する一筋縄にはいかない作品であるだけに、あの存在がどのように物語の根幹に関わってくるのかがとても楽しみです。
そして高校生になった見崎鳴も、元気そうな姿が見られて嬉しかったですね。
ただ、ここからどうなってしまうのかという不安はつきまといつつ……。


綾辻行人「Another 2001(下)」

夜見山北中学3年3組に襲いかかるかつてない〈災厄〉。
一度はこれでなんとかひと安心だろうか……と思わせておいてからの、さらに物語全体を包み込んでいく不穏な雰囲気に惹き込まれました。
イレギュラーな事態となった今年の〈災厄〉の真相自体は予想通りだったものの、「では誰が死者なのか?」という部分は衝撃的な真相が待ち受けていました。
上巻を読んだ時点でこれはAnotherシリーズファンのための物語だと思ったものでしたが、下巻でさらにその思いは強くなりました。
構想では2009もあるとのことなので、気長に待ちたいと思います。



個人的な今月のお気に入り作品トップ5

第1位/沈黙のパレード

第2位/Another 2001

第3位/Re:ゼロから始める異世界生活 1

第4位/オタクに優しいギャルはいない!? 第4巻

第5位/青のアウトライン 天才の描く世界を凡人が塗りかえる方法