2021年3月に読んだ本まとめ

2021年3月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。


山形石雄「六花の勇者5」

これはおもしろい! というか、すごい!
テグネウ陣営の切り札の黒の徒花の正体が判明してからの、六花の中での殺し合いの仲間割れを描いているのですが、とにかくすっごいです!
六花のメンバーそれぞれの思惑が交錯し、息つく暇も無いひりついた戦闘が描かれて、読み応えがたっぷりでした。
特に絶対不利の状況でのアドレットの驚異的な粘りや、フレミーの心理、ナッシェタニアの暗躍など、印象に残るシーンも数多くありました。
興奮の中に驚きも詰まっていて、そのうえで愛の強さを感じられる、凄まじい1冊でした。


風見鶏「放課後は、異世界喫茶でコーヒーを2」

なぜか異世界で生きることになったユウが、異世界の町で生きるために喫茶店を切り盛りする人情系ファンタジー2冊目。
今巻はヒロインのリナリアの出番は大きく減り、その大半を1話完結の短編エピソードが占めています。
異世界での人々の人情味に触れるという、とても心温まるエピソードが多く、楽しく読むことができました。
おじさんのお客さんがメインとなる「この味を忘れない」と「花金貨」は特に印象的でした。
派手さはないですが、美味しい食事と香り高いコーヒーにぴったりな、ゆっくり静かに楽しませてくれる軽小説です。


川原礫「ソードアート・オンライン プログレッシブ2」

アインクラッド第三層編。
今回のテーマは大型キャンペーン・クエストであり、クエストの開始と同時に命を落とすはずだったダークエルフのNPC・キズメルとの交流が描かれます。
ゲームでありながら遊びではないアインクラッドの中で、命をかけて成長を続けるアスナがとても良かったです。
アスナがメインヒロインであることをより強固に感じさせつつも、キズメルと混浴してしまうキリトさん。
攻略組を罠に陥れる、謎の勢力の不気味さが際立っていました。
次回第四層、まだまだ不安が多く残り、キリトとアスナの奮闘を願わずにはいられません。


伏見つかさ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない16 黒猫if 下」

俺妹本編とは違った道を進む、黒猫ルートの完結編。
全編を通して黒猫が可愛い、の一言で話が片付きます。
黒猫の家庭的なところや、中二病なところ、友達思いなところ、そして重たくて不器用なところ、全てが愛おしく感じられます。
黒猫ルートは本編では選ばれることのなかったルートであり、桐乃にとってもしんどいルートではあります。
けれど「もしも」で描かれる遠い未来の話は、皆が幸せそうで、とても眩しく感じられました。
エピローグの京介と瑠璃の子供たちの物語を含めて、「これもひとつの俺妹!」と思える、良い作品だったと思いました。


瘤久保慎司「錆喰いビスコ2 血迫!超仙力ケルシンハ」

いやおもしろいですね!
1巻に負けず劣らずの強大かつ凶悪な敵キャラと、血だらけになりながらも喰らいついていくビスコとミロのコンビがめちゃくちゃ熱かったです。
宗教の支配する国を舞台に、5つの宗派の治める塔を攻略するという構成も、少年心をくすぐるものだったなと。
クライマックスはクライマックスであらゆる要素てんこ盛りの圧倒的バトル展開で、めちゃくちゃ楽しませてもらいました。
キノコに加えて真言という新たな要素も加わり、より一層バトルものとしておもしろくなってきた感じがします。
ヒロインズもけっこうかわいいですよね。次巻以降も出番があれば嬉しいのですが、果たして……?


宮澤伊織「裏世界ピクニック6 Tは寺生まれのT」

いや〜今回もおもしろかったです!
今回は1冊まるまるひとつのファイルで、ネットロア「寺生まれのTさん」がテーマのエピソードです。
襲われると裏世界との繋がりを断たれてしまうTさんを相手に、空魚が鳥子たちのことを忘れてしまったり、茜理がまたしても巻き込まれてしまったりとてんやわんやの1冊でした。
るなのいろいろな顔を見られたり、裏世界から連れ帰ってきた女の子のエピソードがあったりと、内容盛りだくさんで満足しました。
夏妃もこの調子で茜理と同じように巻き込まれたらおもしろいかな、なんて他人事のように思いました。


福山陽士「1LDK、そして2JK。IV 〜3つの結末、それは4人の未来〜」

あ〜〜〜〜〜なるほどそうですか。
まあ〜〜〜〜うん、そうか、そうですね。
JKふたりとサラリーマン男性のひと夏の物語は、奏音とひまりそれぞれの事情に決着がついたため、共同生活も終わることとなりました。
この1冊の中では大きなトラブルが起こることもなく平和的で、登場人物それぞれが前を向いて新たな人生へと歩み出せる、良い最終巻だったと思います。
駒村は果たしてヒロイン3人のうちの誰を選ぶのか、というのも作品の注目すべきポイントだったわけですが、なるほどそう来ましたか。
ちなみに個人的にヒロインをひとり選ぶなら、自分は奏音派でしたね……。
賛否両論あるだろうという自覚があったうえでのあのマルチエンディングは、そういうかたちで描きたかったという気持ちは尊重します。
ですが個人的意見を述べるなら、やはりあれだけ風呂敷を広げたならば少なくとも本筋としてのエンディングをひとつでも定めてくれたら、もう少し納得できたかなとは思いました。
あとマルチエンディングにするにしても、ひとりあたりのエピローグが短かったのも残念でした。


個人的な今月のお気に入り作品トップ5

第1位/錆喰いビスコ2 血迫!超仙力ケルシンハ

第2位/六花の勇者5

第3位/ソードアート・オンライン プログレッシブ2

第4位/裏世界ピクニック6 Tは寺生まれのT

第5位/俺の妹がこんなに可愛いわけがない16 黒猫if 下