2024年1月に読んだ本まとめ

2024年1月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。


安里アサト「86―エイティシックス―Ep.3 ―ラン・スルー・ザ・バトルフロント―〈下〉」

超長距離射撃が可能な新型〈レギオン〉が登場し、人類の存亡をかけての突撃作戦が始まる。
生きる大義名分を失って破れかぶれとなったシンの姿が、表現し難いような悲愴感があり印象的でした。
なんといっても今巻最大の見せ場は、超大型〈レギオン〉と化したキリヤと、フレデリカの対峙シーンでしょう。
追いかけ続けてきたキリヤとの、覚悟を決めた決別の場面が格好良くてとても良かったです。
それと今巻も、ちょこまか動き回ってるファイドがかわいかったです。


手塚治虫「火の鳥4 鳳凰編」

悪党として生き抜く我王と仏師の茜丸、ふたりの人間の奇妙に交わる物語。
物語の随所で登場する大仏や鬼瓦などの彫刻の迫力が凄まじく、手塚治虫先生の表現力の高さに脱帽。
例に漏れずこの作品も人間の浅ましさを壮大に描いていて、惹き込まれました。
茜丸と我王、それぞれの善性と悪性が物語の進むうちにいつの間にか逆転してしまっているのも、なんとも不思議な感じ。
人間とはまあどうしようもない浅ましい存在ではありますが、その中で我王のように生きている存在もあって、「火の鳥」らしいエピソードでとても良かったです。


雨森たきび「負けヒロインが多すぎる!6」

月之木先輩と玉木先輩の卒業式。
そして物語のメインを張るのは、焼塩との文芸部退部をかけた短距離対決。
陸上部との兼部のため出番的には少なくなりがちな焼塩ですが、今回は可愛く着飾ってデートしたり、部活に悩んだりと見せ場たっくさん!
他の負けインほど温水くんへの好意は分かりやすくないですが、友達感覚での距離の詰め方がエグすぎて悶絶モノです。
あと個人的に刺さったのはベビードール姿の志喜屋さんと、スマホ叩き捨てたり棍棒みたいなカメラを構える天愛星さん。天愛星さんの奇行はいつまでも見てられます。


白鳥士郎「りゅうおうのおしごと! 盤外編1」

1巻から8巻までの専門店特典をまとめた番外編短編集。
特典小説なので各キャラクターたちに焦点をあてた、軽めのエピソードの数々が楽しめました。
とは言いながらもエピソードによってはしっかり将棋ネタを入れているあたりもさすが。
ドラマCDを小説化した「九頭竜八一杯」も、ドタバタしてて楽しいお話でした。
コメディだけど可愛いだけじゃないシャルちゃんの成長が美しい。
銀子とシャルちゃんのメイドも良かったですね〜。
……なぜか1編だけ、『のうりん』の特典小説が入ってたわけですが。のうりんも続き読みたいですね。


西尾維新「宵物語」

神様としての真宵ちゃんにまつわる2編。
誘拐事件に巻き込まれた女の子を追いかける「まよいスネイル」は、物語が進むにつれて前提条件が二転三転していき、とてもおもしろかったです。
街中を駆け回る阿良々木くんの視点から、北白蛇神社の真宵ちゃんの元へと繋げる構成が、凄まじく鮮やかでした。
救いを求める女の子を助けてあげる真宵ちゃんはまさしく神様で、とても感動しました。
あんなふうに抱きしめられたら、真宵ちゃんを一生崇めてしまいます。
真宵と撫子の引き継ぎの「まよいスネイク」は短編ながら、さらっと重要なシーンもありつつ……。


虚淵玄「Fate/Zero6 煉獄の炎」

第四次聖杯戦争の決着。いやこれすごいですね!
まさしくゼロの物語というか、stay/nightへと繋がっていくこととなるあれやこれやが見えてくると、とても興奮します。
物語の立ち位置の特性から、各陣営ほぼほぼ何も得られるものが無いのがまたしんどい。
そんな中でライダーとの奇妙な友情を結んだウェイバーの物語は、好きでしたね。
本当に……この陣営だけでしたよ、最後までほのぼのとしていて平和だったのは……。
ウェイバーに関しては、こちらもこちらでこれからいろんな物語に繋がっていくと思うので、そちらも読んでいければと。


竹町「スパイ教室 短編集01 花嫁ロワイヤル」

ジビア、サラ、モニカ、グレーテを主役とした短編集。
こちらはラブコメ要素が強めの、日常とキャラの深堀りがメインのお話です。
『灯』メンバーの中では個人的に好きなキャラ多めの短編集だったので、そういう意味でも嬉しいですね。
本編だといまいち掴みどころの無いモニカでしたが、彼女が『灯』にいる理由や個性が垣間見えた良エピソードでした。クール気取ってるけど、肉がどうとか騒いでるときも一緒にいると考えるとかなり微笑ましい。
野性的なジビアが恋ではないけれど気になるくらいの感覚に振り回されてるのが、とても可愛かったです。


石田灯葉「宅録ぼっちのおれが、あの天才美少女のゴーストライターになるなんて。2」

音楽物語としても、ラブコメとしても、綺麗にお話がまとまった感じでしょうか。
音楽小説として優れていた1巻と比べると、恋愛小説寄りの内容になってたかなぁと。
拓人を巡る恋愛模様は、やきもきさせられたり感動したりと楽しかったです。
沙子や吾妻さんの傷心がピックアップされてる一方で、天音との仲を育むエピソードが無かったのは、消化不良かも。
急に出てきて当て馬にもなれず消えていった走詩先輩、マジで何だったんだ……。
あとがきを読むにWeb版から相当削ってるらしいので、その影響なのだとしたら残念ではありますね。



個人的な今月のお気に入り作品トップ5

第1位/宵物語

第2位/負けヒロインが多すぎる!6

第3位/86―エイティシックス―Ep.3 ―ラン・スルー・ザ・バトルフロント―〈下〉

第4位/スパイ教室 短編集01 花嫁ロワイヤル

第5位/火の鳥4 鳳凰編