2024年4月に読んだ本まとめ

2024年4月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。


知念実希人「羅針盤の殺意 天久鷹央の推理カルテ」

3つの事件の短編エピソード。
「禁断の果実」は患者の容姿が整っていることが病理に繋がっているのがとても意外に感じられて、とてもおもしろいエピソードでした。
「七色の猫」は色を塗られた猫にまつわる、軽めの小さな事件。
猫は自分の体を舐めたりとかするので、大丈夫なのかなと心配になります。
「遺された挑戦状」は鷹央の師匠である氷魚の物語。
全てが明らかになったあと氷魚の亡くなる場面を読み返すと、違った見え方ができて衝撃的でした。
『異質』同士の信頼関係、とてもかっこいい作品です。
あとこの回は成瀬刑事がちょっとかわいそうでは……?


長岡マキ子「経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。短編集 青春回想録」

ドラゴンマガジンに掲載されたエピソードを収録した短編集。
総じて読感が軽めの番外編でした。
「女の園の龍」は女子校の先生になった龍斗のエピソード。
ifの世界を楽しませてはもらえましたが、本編とそこまで大きく変わるわけでもなかったので……わざわざ先生の設定でやるなら、それでしか描けないようなものにしてほしかったなあという感じです。
時間で強制終了、みたいな尻切れとんぼなオチもあんまりでした。
「空飛ぶペンギン」はイツメンで海釣りに行くお話で、楽しい短編でとても好きです。
笑琉のために色々動いてくれるニッシーが、ずっとかっこよくて良かったです。
「ミッション・陰〜〜」でも笑琉に自分を選ぶのが当然みたいに言われてるシーンがあって、ニッシーが築き上げてきた高い親愛度が窺えてとても良かったです。
笑琉のためにこんなにも尽くしていた高校時代のニッシーのカッコよさを見てしまうと、本編の大学生での停滞期には本当にちゃんと叱りつけたくなりますね……。笑琉を大事にするんだよ……!


雨川透子「ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する3」

今回は侍女人生の時に関わった人たちとの今生での縁を結んでいくエピソード。
かつてのリーシェの主であり、巫女代理を務めることとなるミリアを中心に、様々な陰謀が渦巻いていてとてもおもしろかったです。
リーシェの過去の周回の経験がこの巻でもしっかりと生きていて、読んでいてとても楽しい。
リーシェそんなこともしてたんかい、という。
そしてなんといっても、巻を増すごとにアルノルトのデレが表層化してきてとても良かったです。
レオの勘違いを受けて、笑うのを我慢してるシーンがお気に入りでした。


賀東招二「フルメタル・パニック! Family」

フルメタ本編から約20年後、夫婦となりふたりの子をもうけた宗介とかなめの家族のお話。
さすがにここから読み始める新規ファンはあんまりいないとは思うのですが、古くからのフルメタファンは大喜びの平和(平和ではない)で楽しいエピソード。
昔なじみたちが学生時代とのギャップがありつつも、変わらないところもあったりするのが良いです。
そして相良夫婦のイチャつき方が、もはやアメリカ映画のそれでした。
懐かしくて楽しくて、非常に満足度が高い。
全編通していつもの短編集(ふもっふ?)のノリなので読みやすく、シリーズとして続くみたいなのでとても楽しみです


知念実希人「絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ」

熱帯夜に裸で凍死した、謎の男から始まる怪事件。
今回もあらゆるところに仕掛けがあり、1冊で綺麗にまとまるミステリでとてもおもしろかったです。
序盤いきなり無能な刑事が出てきたときには、どうなることやらと思いましたが……。
荒事に巻き込まれた小鳥と鴻ノ池が戦闘モードに突入するのはいいですが、巻を増すごとに強さに磨きがかかりすぎているというか……。
普段仕事に忙殺されているお医者さんなはずが、気づけばほとんどの格闘に覚えのある犯人たちを遥かに凌駕する強さになってませんか……?


中村颯希「ふつつかな悪女ではございますが8 ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~」

いよいよ禁じられた道術使用の疑念を深める皇帝との、玲琳・慧月による対決が始まりました。
弦耀と直接対峙するはめになった慧月ですが、頼れる仲間たちが次々のフォローに入ってくるのがとても熱かったです。
そしてここぞの場面で、玲琳との深い友情をさらりと見せつけてくる慧月……。
一方で玲琳は玲琳で、水害の多発する辺境の地で奇想天外なことを色々しでかします。
いつものパターンですが、やはりおもしろい……!
そしてこんだけお互いに想い合ってるのに、相変わらずすれ違いもするふたり……!


新田漣「君と笑顔が見たいだけ」

好きな娘を笑わせたい主人公が、お笑いの道へと足を踏み入れる青春ラブコメ。
自分がお笑いが好きだからというのもあるのでしょうが、明るいだけじゃない舞台裏や、過酷なプロの姿なんかも真正面から描いているのが良かったです。
お笑いがテーマである以上、漫才の台本がしっかりしていないと説得力が出ないと思うのですが、その面でもしっかりと笑えるネタが飛び出してくるのが良かったです。
決して笑いはしないものの、自らおもしろいところへ飛び込んでいく瀬音の姿はなんとも可愛くて好きでした。


個人的な今月のお気に入り作品トップ5

第1位/フルメタル・パニック! Family

第2位/ふつつかな悪女ではございますが8 ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~

第3位/羅針盤の殺意 天久鷹央の推理カルテ

第4位/ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する3

第5位/君と笑顔が見たいだけ